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渚さんはガベージダンプを猫と歩む。  作者: 紫炎
第2章 ルーキーズライフ
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第081話 渚さんと襲撃犯

『な!?』

『床下に部屋だと?』


 バラバラと割れた床の破片と共に渚たち三人が落ちた先は地下室であった。

 その地下室は裏取引用に用意されたものかもしれないが、現在は穴から射す光以外に光源もなく何も置かれてはいない。


『うーん。隠し部屋みたいだけど何も残っていないね』

『それどころじゃないっての。外からいきなり撃たれたぞ』


 ミケの言葉に渚が噛み付く。

 とはいえミケの機転により、ひとまず全員無事であった。渚たちはすぐさま立ち上がって、落ちてきた穴から離れて銃を構えたが襲撃者たちがすぐさま攻撃を仕掛けてはこない。


『うーん、こちらがスキャンしたのに気付いて一気に撃って来たみたいだね。あのまま知らずに外に出てたら危なかったよ』


 ミケがそう口にして上を見上げた。まだ敵は部屋の中へと入ってきてないようである。


『警告もなく実弾で撃ってきましたわよ。ガードマシンではありませんの?』

『いいや、スキャン結果から間違いなく人型のガードマシンのようだよ。全部で二十体はいる。この倉庫を取り囲むように待機していた』


 スキャナーで判明した状況をミケが説明する。


『倉庫に入り込んだ者を始末するような指示でもあったのか?』

『さあな。けど相手が攻撃しかけてんのは事実なんだろ。ルーク、こういう場合ってどうすんだ?』


 渚の問いにルークが少し考えてから口を開く。


『とりあえずは迎撃しながらこの場を離れよう。ここには何も残ってないし、もう用はない。バイクを回収したらとっとと逃げるぞ』

『みんな、閃光弾が投げられたよ』


 ルークの言葉に続いて、ミケから警告の言葉が飛んだ。

 それと同時に上から何かが投げ込まれ、その場が白い光に包まれる。警告はわずかに遅く、三人ともその光から目をそらせられなかった。


『すぐに突撃される。渚、カメラの映像を視界に映す。それで対処して』

『見えた! って、飛び降りてきてんじゃねえよ』


 光で何も見えなくなった渚の視界に代用となる全天球監視カメラの映像が映し出される。そこには天井から飛び降りてくる人型ガードマシンの姿があった。


『なろっ!』


 対して渚は瞬時にショットガンを腰から抜いて連続で撃ち放つ。

 残弾はミケが床に放った弾丸を差し引いて五発。それは不用意に突撃してきた三体の人型ガードマシンを倒すには十分な弾数だ。そして雨のような散弾を食らって破壊された人型ガードマシンたちが地下室の床へとガシャガシャと落ちてくる。


『おっしゃ。リンダ、ルーク。北側に出口がある。そっちから脱出するぞ』

『うう、見えませんわ。はう、これナギサの手ですの?』

『おう。行くぞリンダ』


 渚がリンダの手を掴んで動き出すと、ルークが『先に行け』と声をあげて天井の穴から顔を出す人型ガードマシンをライフル銃で牽制する。どうやらルークはマシンアイのおかげで視力は奪われてはいなかったようである。


『リンダ、視界が回復するまでドアの裏手にいろよ』

『うう、分かりましたわ。まだあまり見えませんのよ』


 今の己が戦力外であることを理解しているリンダの言葉に渚は頷き、出口のドアを蹴破って階段を登っていく。


『渚。外にはガードマシンはいないよ。一気に出よう』

『ミケ、スキャナーを使ってんのか? それでバレたんじゃないのかよ?』


 渚がそう疑問を口にする。そもそも最初に攻撃を受けたのもスキャナーの反応にバレたからであったのだ。だがミケは『ステルスモードがある』と返した。


『アイテールの消費は倍になるけど、ステルスモードなら相手に位置を発覚されずにスキャナーが使えるんだ』

『さっき使えよ!』

『初めての起動だったし、まさか敵が待ち構えているとは思わなかったからね。それより右側の通路から来るよ』


 渚が地下から路上に出ると、ミケの言葉通りにガシャガシャと音を立てながら近付いてくる人型ガードマシンの姿が右の角から見えた。


『来んのが分かってりゃあ問題ないっての』


 渚がそう言ってショットガンから持ち替えたライフル銃で撃ち、ガードマシンがライオットシールドを構える前に頭部を撃ち抜いた。その姿にミケが『盾か』と呟いた。


『渚、あれを使う。近付いてくれるかい?』

『おう、分かった』


 渚がすでに倒れている人型ガードマシンに接近すると、ミケが補助腕サブアームで地面に落ちているライオットシールドを掴んだ。


『ふーむ。思ったよりも軽いね。この先、さらに三体ガードマシンがいる』

『どうせこの盾持ってんだよなぁ。面倒くせえ』


 渚が眉をひそめる。ライオットシールド持ちのガードマシンはライフル銃でもショットガンでも有効なダメージを与えにくい。


『渚、今はこちらも盾持ちだ』

『そうだな。けど、どっちも銃が効かないんじゃあ』

『おいおい渚。君の右腕は飾りなのかい?』


 そのミケの言葉に渚が『あ!?』という声を上げる。


『銃弾は僕が防ぐ。突撃しよう』

『分かった』


 そしてミケの言葉に渚が頷きながら正面に向かって駆けていく。三体のガードマシンがレーザーガンを撃ち放つが、ミケが前に出したライオットシールドはそれらを防ぎ、


『つぇえええい!』


 そして渚がバスターモードによって緑の輝きを帯びた手刀を振るってガードマシンたちのライオットシールドを斬り裂き、左手のライフル銃でそれぞれを破壊したのであった。

【解説】

ライオットシールド:

 暴徒鎮圧を目的とした盾で、透明で軽く扱いやすい。

 対装甲弾も弾く硬度を持つが、グレネードランチャーの対装甲弾頭ならば破壊も可能。

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