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渚さんはガベージダンプを猫と歩む。  作者: 紫炎
第2章 ルーキーズライフ
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第073話 渚さんとダンジョン探索への道

「というわけで今日はダンジョンに潜るぞ」


 アゲオ村に辿り着いた翌日、リミナの家で一泊した渚たちの元へとやってきたルークの最初の言葉がそれであり、対して渚は手を挙げて「いえーい」とローテンションで返した。

 渚の後ろにいるリミナとリンダも若干苦笑気味で、ミミカに至っては明らさまに嫌そうな顔をしていた。

 本日は何もなければ村の中を案内するとミミカが張り切っていたので、その反応もやむなしというところではあったが、ともあれ事情も知らぬルークは首を傾げて「なんかノリ悪いな」と口にした。


「うっさい。それでルーク。村長との話はどうなったんだよ」


 渚の返しにルークが「ああ、そうだな」と答える。昨日は結局ルークからの連絡はなく、村長のバルザとどういった話が行われたのかもまだ渚たちは知らされていなかったのだ。


「まず野盗バンディットはこの村には来ていない。そもそも来ていたら真っ先にリミナに連絡が行くだろうし、お前たちもそれは把握してるだろうが」


 その言葉に渚とリンダが頷く。

 オオタキ旅団の狙いは渚であったようだし、人数を考えても村を襲うことは元々考え辛いと分かっていたのだ。ともあれ村の責任者からその言葉が聞けたのであれば、ここに来た目的は達成したといえた。


「ともかく問題がなかったんなら何より。それでダンジョンに潜るってのは下のアゲオアンダーシティに行くことだよな? なんでその話になったんだ。そうなるかもってのは聞いてたけどさ」

「外のネズミ退治も話に出たんだけどな。それよりもまずはアゲオダンジョンのガードマシンの駆除を優先して欲しいって村長に頼まれたんだよ。具体的に上層階に溜まってるガードマシンの破壊って依頼を受けた。管理局経由で報酬がもらえるヤツだ」

「であれば、ただ潜るよりは良いですわね」


 リンダがそう返す。依頼として受けて実績が累積されれば、狩猟者ハンターとしての評価にも繋がる。それはリンダに取っても渚にとっても重要なことだ。


「ま、仕方無え。ミミカ、村の案内は戻ってきてから頼めるか?」

「分かった。早く帰ってきてよね」


 ミミカの言葉に渚が頷く。それから渚はリンダを見た。


「それでリンダ。お前はダンジョンって入ったことあんだよな?」

「ええ、三度ほどありますわ。基本的に天遺物との違いはあまりありませんわよ。ガードマシンが出るか出ないかの差はありますけど」

「リンダ、天遺物にもガードマシンが出ることはあるからな」


 ルークの補足にリンダが「え、そうなんですの?」と驚いて返した。


「ま……まあ、天遺物では機械獣を警戒してますから、出たとしても対処は可能だと思いますけど」

「そりゃあ、そうだが。ただ機械獣と違ってガードマシンは、最初は非殺傷だが射撃が基本だ。その点を注意しておかないと危ないぞ」

「うう、はいですわ」


 ルークの注意にリンダがしょんぼりとした顔で頷く。


「ガードマシンが射撃メインってことは、銃でも持ってるのか?」

「そっちも持ってるんだが、最初はテーザーガンで警告してくるんだ。ビリビリってするのでな。だから最初の接敵時点でなら機械獣よりは安全と言える。いや、油断はできないんだけどな。痺れて動けないところに追撃してくることもあるし」


 そのルークの言葉に渚が「マジかよ」と口にする。

 そしてルークは警告と一緒にテーザーガンを撃ち続けながら、痺れて動けない相手を警告無視と判断して実弾モードで撃ち殺すこともあるのだと説明した。機械獣ほどではないにせよ、危険な相手であるのは間違いないようだった。

 それから渚たちはリミナの家を出ると一度ビークルへと戻り、装備一式と荷物運び用に追尾モードのバイクを連れて、ダンジョン入り口へと向かうこととなったのである。




  **********




「おう、来たか。酒は抜けとるかルーク?」


 そして、ダンジョン『アゲオアンダーシティ』の入り口の前で待っていたのはアゲオ村の村長であるバルザであった。入り口は村長の家の裏手であったのだ。

 

「ルーク、村長と飲んでたのか?」

「ああ、情報交換も兼ねてな」


 渚の問いにルークがそう返す。それからバルザが渚とリンダにも声をかけてくる。


「うむ、ナギサか。リンダも期待しているぞ」

「了解。頑張るよ」

「朗報をお待ちくださいませ」


 ふたりの言葉にバルザが頷き、それから渚が周囲を見渡しながらバルザに尋ねる。


「それにしても入り口って、村長の家の裏にあったのかよ」

「ダンジョンの監視者イコール村長だからな。そりゃあ一番近くにいるさ」


 ルークの言葉に「へぇ」と返しながら渚は周りを見て気になったことを口に出した。


「やっぱり建物がクキシティの中央に似てるな」

「ふむ、そうだな。これらの建物はアンダーシティ建設時のものをそのまま使ってる。頑丈だしな。何かあった時のシェルターにもなる。それじゃ門を開くぞ」


 バルザがそう言って手に持っているリモコンを押すと、正面の金庫の入り口のような扉がガシャガシャと音を立てて動き始めた。それを「おおぉおお」と渚とリンダが声をあげて眺めている。開閉しているところなど早々見れるものではなく、リンダにしてもそれは初めての光景であった。

 そして、バルザや常駐している門番たちに見送られながら、渚たちは奥に進んでいく。その先にあるのは廃都ではあるが、渚にとっては未だ行ったことのないアンダーシティ。その未知の場所へと渚は一歩足を踏み入れたのであった。

【解説】

ガードマシン:

 主にアンダーシティ内を警備しているロボットの名称である。通常は非殺傷を主としているが、抵抗が続くと装備がテーザーガンから実弾兵器に変更される。

 なお瘴気対策と思われるが、ガードマシンはそれぞれがスタンドアロン化しており、ガードマシン同士の連絡手段も接触通信のみに限定されているようである。

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