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渚さんはガベージダンプを猫と歩む。  作者: 紫炎
第1章 狩猟者(ハンター)への道
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第027話 渚さんと収穫物

『なあリンダ。集めたアイテールってコインとかインゴットにはしないのか?』


 戦闘終了後。再び動き出したビークルの上に戻った渚がアイテール原盤を取り出して見せながらリンダに尋ねる。

 先ほど倒したスケイルドッグから回収したアイテールやパーツはすべてこのビークル内に乗せられている。そして、破損したシリンダーに入っていたアイテールはコインやインゴットにされたものの、それ以外は機械獣のシリンダーごとアイテールを抜き取って積まれていた。


『問題ありませんわ。幸いビークルに回収した素材は置けるわけですし、かさばることを今は気にする必要もありませんもの』


 対してリンダがそう返す。どうやら必ずしもアイテールはコイン化する必要はないようだった。リミナの言葉を聞いてコイン化必須だと思っていた渚が『そうなのか?』とさらに尋ねるとリンダが頷く。


『ええ。そんなものは夜に手が空いたときか、街に戻ったときにでもやればいいんですわ。それに固体化するとエネルギーとして使用可能な液体の状態に戻すのにも手間がかかりますから。用途によって分けて保管するのが普通なのですわ』

『へぇ。まあ、ならいいけどよ。じゃあ、とりあえずファングにご飯やるかなぁ』

『それも今は必要ないよ渚』


 すぐさま返ってきたミケの指摘に渚が『むう』と唸った。

 渚のマシンアームは昨日のナノマシン治療後に一度補充している。以降は通常動作しているだけなので消費もほとんどなく、アイテールを追加する必要もなかった。

 それから渚はその場に座り込むとリンダを見た。


『それで、リンダ。ビークルにはアイテール以外にも回収した素材ってあったよな?』

『ええ、今回は急ぎですし、中途半端に剥いでおりますけどね』


 リンダが勿体無いという顔をしながらビークルの後方を見た。

 とはいえ、もうスケイルドッグと戦った場所ははるか後方の霧の先で、その場所が見えるわけではない。リンダ曰く換金性の高いものを中心に一通りのパーツは回収したとのことだが、それでも多くのパーツを残しての出立となっていた。

 それは、今はまだクキシティに向かう途中であり、アーマードベアと遭遇することなくできる限り手早くこの場を抜けたいという意図故の強行隊の隊長の判断であった。


『パーツってさ。あれって結局どうするんだ? レミナさんもレギオンラットのレアパーツとかくれたんだけど』

『レギオンラットというとジョイントモジュールですわね。私も細かいことは分かりませんけど、ビークルにも装着できるものですわね』

『そうなのか?』

『ええ、それにジョイントモジュールは強化装甲機アームドワーカーなどの装備を追加するのにも使うと聞きますわ。それに機械獣のパーツにはそれぞれ金額が設定されていて、買取してもらえるのですわ』

『へぇ。なんかに使うんだよな、それ?』


 売れるということは需要があるということだ。

 一体機械獣のパーツなどを何に使うのか、その使い道が渚は気になった。


『基本的にはアンダーシティ内にある生産工場に回されますの。ガードマシンや電化製品の製造の部品として使われているのだとか』

『機械獣のパーツで、こっちの使う機械も作れるのか?』


 そう口にしながら、渚はミケが機械獣とウォーマシンのコアが同一規格であると口にしていたことを思い出す。


『そうですわ。ただアンダーシティ内でも製造が不可能だったり困難だったりいたしますと換金性も高くなりますの。だからパーツにはグレードもありまして、ものによっては高額で取引がありますのよ』

『へぇ。そんじゃあジョイントモジュールも高値で売れるのか?』


 渚の問いにリンダが頷く。


『そうですわね。それにパーツによってはマシンアームに移植して性能を高めることも可能ですわね』

『マジで?』


 驚く渚にリンダが笑って頷く。


『スケイルドッグ程度ですとわたくしのヘルメスに移植できるものもありませんが、一定の需要があることは確かですわ。まあ、そんなわけで、アイテールとパーツを売り買いして狩猟者ハンターは生活していくのですわ』


 その言葉には渚のみならず、ミケも興味深そうに聞いていた。

 そして、そうしたやり取りをしながらも一行は先へと進んでいく。道中でスティールラットの群れが襲ってきたがそれも撃退し、しばらく進んでいくとビークルが停止した。


『どうしたミランダ?』


 その状況に、渚がビークルに手を当ててミランダに接触通信で尋ねる。


『はい、マスター。正面の狩猟者ハンターの方が止まれと指示を出しています。何かしら発見したようです』


 ミランダの返答を聞いて正面を見れば、確かに先頭にいる狩猟者ハンターが両手を振って合図をしていた。


『了解。リンダ、何かあったみたいだな』

『いえ。その、ここは……』


 リンダが神妙そうな顔をしながら周囲を見回してから頷き、それから苦渋の表情で口を開いた。


『先日に、わたくしたちが襲撃を受けて潰走した場所ですわ』

【解説】

パーツ:

 狩猟者ハンター管理局の依頼報酬とアイテールと共に、狩猟者ハンターの収入となるものである。パーツにはグレードが存在し、供給量によってはレートも変動する。

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― 新着の感想 ―
[一言] レベル制とかじゃないけど 敵倒して自分強化できるとか面白すぎる ビークルとかも強化できるのはいいね! 今後強いやつ倒してどんどん強化してほしい!
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