白いシロ (2)
少し長めです。
※12/28 スキルのくだりの修正と加筆修正をしています。
わたしはノルンに手を引かれ町の中を進んでいく。道幅は10メートル近くの広さで、道の両側には屋台が並び美味しい匂いが通りに立ち篭めている。多くの人が屋台の前にある椅子に座り、肉や魚の料理を頬張っている。口元から涎がでようになり口元を押さえた。すると、ノルンが立ち止まり、屋台のおじさんに話しかけ「肉刺し2本くだい」と言う。
フードを被って姿がきえているが手を握ているので、わたしが何を考えているか解ったようで肉刺しを買ってくれたようだ。わたしの身体は不思議なもので食べ物の匂いを嗅ぐまでは食欲が沸かなかったのだ。困ったちゃんなのである。
わたしに目線を落としたノルンから肉刺しを受け取る。多分だが、受け取った肉刺しが一瞬浮かんだのが見えたのか屋台のおじさんが目を丸くし口をあんぐり開けて完全に放心している。ノルンは苦笑いを浮かべ「イタズラ好きの妖精さんかな」とおじさんに言った。わたしは口をむうっと尖れせたが、手に握り締めた肉刺しを頬張る。
肉は柔らかく、肉汁が広がり肉が口の中で溶けて消えていく。美穂時代に食べた肉より旨すぎて頬が落ちそうになりなが肉刺しを食べ終えノルンの手をギュッと握り言う。
うむ、美味である!
「あはは」
と笑うノルン。笑った顔も美人さんで惚れてしまいそう。この笑顔で多くの男を虜にしているに違いないと思うとちょっと強く手を握り締めてきた時の笑った顔がちょっと怖かった。ただ、うさみみがピクピクと動いていたので照れ隠しみたい・・・・
「あたたた!???」
フードを剥がれ頬を両側から引っ張るノルンさん。
「しゅみませえん」
「もう」
フードを剥がれた場所はいつの間にか人通りがない通路だったみたいでわたしの姿を目撃した者をいないようだ。よかった、よかった、変なことにならなくて。フードはノルンが被せてくれたのだが、ノルンはほっぺたから手を離してくれずプニプニされながら時より引っ張られる。どうも、わたしの頬の虜になったようだ。ピクピク動くうさみみが物語っている。
一時じゃれているとノルンはわたしの頬から手を離し、立ち上がった。腰に刺した剣に手を添えてわたしの後ろに立つ。暗い通廊に視線を送るとコツ、コツと石畳の通路に足音が近づいて来ていた。ノルンはわたしが後ろから出ようとすると、首根っこを持たれまたノルンの後ろに隠れるとように置かれた。
むうと唇を尖らせて顔ちょっと覗かせると薄暗い通路から二人の人物が現れた。一人は男性で身長が180センチぐらいの人族。身体は鍛えているとアピールするぐらいムキムキ筋肉が甲冑を装備していても解る。髪はクリーム色で瞳は青色だ。正直、イケメンおじさんである。甲冑は薄暗い中でも銀色に輝いていて剣は大剣を肩から背負っている。
そして彼の隣立つ小さく可憐なお嬢さんはどう見てもエルフさん。短髪の緑の髪に翡翠色の瞳。彼女も甲冑を着ていて腰には剣と短い杖を刺している。彼女の尖った耳が髪から少し見えていてドキドキする。ゴクリと唾を飲み込んだ。
「ダノン隊長とシノ様でしたか」
「おうよ、こんなとこで何してんだ?ノルン?」
「ノルンがサボっとるのじゃ!むむむ、肉の匂いがすのう~」
「ち、ちが」
のじゃ幼女のエルフキター!とガッツポーズをとりつつエルフさんことシノ様を見つめ、もといい舐めまわすように見つめる。
すると、シノ様が周りを見渡し呟く。
「し、視線をかんじるのじゃ」
「うん?そうか?」
「・・・あはは」
ノルンは苦笑いを浮かべ、二人に問いかける。
「お二人はなぜここに?」
「ん?あ~あれだ、光の柱か?あれでオレの隊や他の隊の連中の動いているだ。・・・ノルンお前今まで何してたんだ?念話も繋がらねーしよ。おじさん生きた心地しなかったぜ?」
「ノルンよ、精霊が騒いでおる、なにか知らぬか?このようなこと今までなかったのじゃ。どうも嫌な予感がするのう・・・」
ノルンは知っている、わたしのことを。突如現れたわたしを。真っ白のわたしを。兎に角わたしのことを知っている。
だから、彼女の耳がしゅんとなり倒れている。いじけているのも可愛いノルン。だから、助けよう。わたしの大切な彼女を。多分、また首根っこを持たれ、めっと言ってくるかもだけど、彼女は笑顔が似合うのだ。わたしはフード取りノルンの後ろから顔だす。
「なっ????!!!!」
「・・・・うそ・・・なのじゃ・・・・」
「・・・もう」
ダノン隊長さんは目を剥いてわたしを見つめ、シノ様そうゆうことかという納得したよう顔しているがわたしが真っ白なので目が点になっている。当然、ノルンは苦笑いをし首根っこを持たれ、めっと言われた。
「むう」
「ありがとうございます、シロ様」
「うへへ」
わたしはノルンに撫でられ、ニマニマ笑う。するとダノン隊長さんがわたしに近づき腰を落とした。
「真っ白だな~嬢ちゃん名前は?」
「シロだよ!」
「そ、そのまんまだな・・・」
「ダノン隊長、あの」
「なんだ?ノルン?」
「スキルの鑑定でシロ様をみてください」
「ん?おう、鑑定!・・・・・・・・・・・・・・はっ??????!」
本日二回目であろう、目を剥いてわたしを見つめるダノン隊長さん。顔が青ざめてるよ。身体揺さぶってみた意識が遠のいているようだ。
そして、シノ様は口をあんぐり開けて完全に放心している。乙女としてだらしないと思うけど黙っておこう。ノルンを見ると二人の反応を見て「ですよね」と呟いた。
「種族、女神ってそんなことあるのか?」
「そそそそんなことある筈が・・・はあ、夢じゃないのぅ・・・それに」
「そそれに?」
「・・・・・・・レベル、不明。使用可能のスキルはたぶんじゃが全属性魔法使用可能、全属性魔法耐性、物理耐性・・・あと、白の衣にも同じ能力が付与されておる・・・あとポケットじゃが・・・・」
「「「・・・ポケット?」」」
声が重なり、 ゴクリと唾を飲む。
「魔法の鞄ならぬ、魔法のポケットじゃの・・・・二つも付いておる・・・レアすぎるのじゃ・・・・ダンジョンからもこんなアイテムはドロップしないのじゃ・・・・ははは・・・・はぁ・・・」
「「「・・・・・・・・」」」
皆黙り込みわたしをを見つめる。沈黙がしばらく続きわたしはシノ様に問いかける。
「あのう、シノ様」
「な、なんじゃ?」
「手を入れてもなくならないですよね」
「なくならんの・・・・・・・・・・多分」
手を右側のポケットに入れた瞬間多分と言われ、ひいうと鳴き声を出したが、既に遅く手はポケット中。諦めてポケットの中を探索する。すると、布らしき素材に手が触れる。ローブの布ではないようだ。それを掴みポケットからそれを出す。
「「「・・・・・・・・・」」」
全員がわたしから視線を逸らした。いまわたしの手にはシルクの白いパンツが握られている。内心なんでパンツなんだよおおおおお!叫んでおいた。
そんなパンツをポケットにしまい込み、いじけながらふとシノ様の杖が目に映る。すると、手に何かが当たった。それを握りポケットからだす。それは、3メートルぐらいの淡い青色の杖だった。若干光を帯びている。ギュッと握ると杖が眩く光た。
「あわわ」
「「「・・・・・・・」」」
慌ててゆっくり握ると光は落ち着いた。黙り込んだ三人を見渡すとダノン隊長さんがボソッと呟く。
「純ミスリルの杖・・・馬鹿な・・・・ありえん・・・・ははは・・・」
唖然とした3人はわたしと杖交互に見つめ深いため息を付いた。わたしは何かやらかしたようだ。普通はポケットからパンツや杖なんか出てこないよね。苦笑い浮かべならわたしは小さなあくびをする。そしてノルンの手を握り伝える。
「・・・・ノルン、眠い」
ゴシゴシ目をこすりながら伝えるとノルンは小さく「わかりました」と言いわたしを抱き抱える。ふと、視線を感じた。ここにいるの者の視線ではない。誰も感じ取っていないと思うがわたしはボソッとノルンの耳元で囁く。
「・・・ノルン」
「なんでしょうか?」
「・・・・だれか・・・・みてる・・・んぅ~・・・」
と言い終える瞬間、ノルン、ダノン隊長さんシノ様から殺気を感じたが、わたしは目を閉じて思考のスイッチを切って眠りについた。
「――やあ」
と思ったのだが、目の前に金髪で翡翠のような瞳した少年が笑顔浮かべている。わたしは白い部屋にいた。
そんな少年をみて無性にイラっとしたのでポケットからミスリルの杖を取り出し、無言でわたしは少年に襲いかかる。暫く少年を無言で追い回し、気持ちが落ちつたので白い部屋のソファーに腰を下ろし少年を正座させて見下ろしていた。
「申し開きはあるかね?」
「しゅ、しゅいません、ゆ、ゆるしてください・・・」
「ふむ」
少年は涙を浮かべている。どうもやりすぎたようだ。しょうがないよね、れでぃの睡眠の邪魔をしたのだから。目の前の少年がもし、神様だったとしてもわたしは同じことするしね。睡眠はわたしの成長に大事なのだ。成長しなかったら少年を血祭りにするかもしれない。
「ひい!!!もうしないから許してよおお!」
「・・・・今回だけよ」
別にショタをいじめて喜んでいるとないのだよ。ちょっとニマニマとかヨダレが出そうになったとかないからね。そんなことないよ?と言い訳していると少年がジト目でわたしを見ていた。
「・・・・・・・・はぁぁ」
深い深いため息を少年は吐いた。そして少年は言う。
「・・・お風呂用意してるから入ったら?あと、コーヒー牛乳も用意してるよ」
「やったああ~いやっふううう~!」
わたしはその言葉聞いて少年が指を差した方に向かいながら服を脱ぎ捨てた。そんなわたしを見て小声で「レディがそんなことしちゃダメだよ」と憐れむ声が聞こえたので、少年にミスリルの杖を直撃させておいた。
■
それからお風呂堪能しキンキンに冷えたコーヒー牛乳グッと一気飲みし、バスタオルを身体に巻きソファーに腰を下ろした。相変わらず少年はジト目をしている。
「――で、なんのようでしょうか?」
「はぁ」
深いため息付いた少年は指を鳴らす。すると、わたしはソファーではなく、白い木の椅子に座り、服を来ていた。やっぱり、神様のようだ。そして、風景も変わっている。
周りは木々が生い茂り、動物の鳴き声や微かなせせらぎの音。マイナスイオンを身体中で浴びながら少年に目を向ける。
「森は好きかい?」
「はい・・・・心が落ち着きます・・・・」
「そうか、よかった・・・・・ねえ、桂木美穂 ・・・・いや、シロ。君に言わないといけないことがあるんだ・・・」
笑みを浮かべる少年は深く息を吐き告げる。
「シロよ、君には大きな力を与えてある。これは特別処置である。拒否権はないからそのつもりで。まず、君の現段階で使用可能スキルは全属性魔法使用可能、全属性魔法耐性、物理耐性、あと、白の衣にも同じ能力が付与と魔法のポケット・・・あと姿が完全に消せるのと声がでなくなるのはもう知っているね?」
わたしは頷くと小さな声で「表向きは、ね」と呟いた。その瞬間背筋がゾクッとした。
「白の衣の真の能力は完全無効化能力が埋め込まれている。だから、絶対に脱いじゃダメだよ?わかった?・・・そして、君自身のスキルは女神の力があるから基本無敵だ・・・君を倒すとなるとたぶん僕も苦戦するね・・・僕を合わせて複数の神がいないと勝てない・・・」
寿命が縮んだ気分になりながらわたしは唇を尖らせる。少年は相変わらず笑い「めんごー」と抜かしたのでミスリルの杖でコツンと頭に打撃を与えておいた。すると、何やら確信したかのような顔している。
「い、今の攻撃で僕の体力が3割削られたよ!!凄すぎて、天罰落としそうになったよ~あはは」
目が笑ってない表情を浮かべながら、すごいこと口走った少年に哀れみの視線を送ったが反応薄い。なにやら神様モードのようだ。
「君の力はその服を全部着込まないと、あんまり意味ないから無くしちゃダメだからね。あとスキルは・・・・女神だから基本治癒魔法はほぼ詠唱なしで使える・・・こ、攻撃魔法は・・・ん~・・・君が使うとなんだか・・・うん、言うのやめよ。ボクまだ死にたくないしね・・・・」
「へっ???」
「えーとね・・・・君がその攻撃魔法すると何だか地獄絵図になりそうなだら・・・・言いたくないな・・・・だから基本しないこと」
「・・・・・・」
空いた口が塞がらない。なんなのだろうこのモヤモヤする言い方は・・・・・ものすごくしたくなっちゃうじゃないか!気になるじゃないか!
「なに杖を構えて・・・ちょま!???」
「火炎弾!」
ミスリルの杖を強く握り締め、空に杖を向け数個の火炎弾を飛ばすと〝なにか〝に当たり、それに亀裂が入る。少年は目を剥いてそれを見つめ、わたしを見つめ、また亀裂が大きくなって行くのを見つめ絶句する。
「なにやってのおおおおお!!!!!ああああああ、空間が崩れるうう!!!????ちょマジヤバイ、ヤバイこれあああああああああ!!???・・・・・・・・もう・・・・修復できい・・・・・あああああ」
「めんご~」
「シロは絶対攻撃魔法しちゃダメ!!!!!!」
兎に角、大激怒され大きな声で怒られた。それから小一時間みっちりと怒られ、小言を言われ続け攻撃魔法は非常時以外禁止の封印をされた。でもわたしは魔法使えたことに満足したので、まあいいかと呟くと本当に反省しているのかと言われ、また小一時間説教された。そして、少年が指を鳴らすと白い部屋に戻っていた。
ふと気になったことをわたしは少年に尋ねる。
「・・・全属性魔法って何種あるんですか?」
「ん?・・・あー忘れてたや・・・・えーと、土、水、火、風、光、闇、聖、邪、無かな。君の場合は聖属性魔法で下級魔法の治癒、中級魔法は水属性の治癒の聖水、聖属性魔法で上級魔法の天使の吐息をしとけばなんとかなるよ。あとは自分でどうゆう効果あるとか調べること!あと他の魔法は自分で勉強する事!以上!!!」
少年は告げるとすごく、不機嫌そうな視線を送ってきた。わたしは唇を尖らせて「わざとじゃないのに」と呟くとあくびが出て目を擦り言う。
「じゃ寝ますね・・・神様」
「はいはい、お休み・・・・はあ、疲れた」
少年は最後の言葉を聞き流して、わたしは目を閉じた。
「――あ、魔法の箱のこと言うの忘れてた・・・・まいっか・・・」
シロ様、ショタも好物のようです!
またお城行けなかった(゜´Д`゜)
次こそは!