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プロローグ
目が覚めるとわたしは白い部屋にいた。
家具から全てに到るまで真っ白だ。先ほどまでわたしは消毒液臭い病院の個室のベッドに横たわり身体には様々管がついていた筈なのだが、わたしは裸で佇んでいる。羞恥心やらはどこかにいったらしく仁王立ちである。
白い部屋にある化粧台の鏡に視線がいき自分の姿が映る。そこには白髪、白肌、白色の睫毛、白色の瞳、身長は130センチぐらいのわたしがいた。その姿は不思議なもので、現実感はあるが夢のような姿だ。確か、本で読んだことのあるアルビノという症状に似ている。
ど、どうゆうことなの!?
と叫んだが声が出ない。音がしない。なにも聞こえない。その瞬間すとんと腰が抜け、わたしは座り込み俯くと、目から涙がぽたぽたと落ちた。悲しいのか、苦しいのか、うれしいのか、わからない。そんな思いがじんわりと自分も包む。
あの病室で最後にみたのはなんだっけ?とふと思う。ああ、確か、父と母と兄の・・・涙を流す顔だった。
―――ああ、あれだ、わたしは死んだのか。