恰好いい友達?
校門の前に人だかりができている。
〝誰か待ってるんですかぁ~〟
〝カッコイイですねぇ~!〟
とか、そんな会話が聞こえてきた。
あー、たぶん、きっと。
イケメンの他校性がこの高校の誰かを待ってるんだろうな。
私はそんな風に考えていた。
そして、私はあの女子たちのようにイケメン好きな訳では無いので、騒ぎの中心人物の顔を確認しようともせずただその場を通り過ぎるつもりだった。
〝え!お兄さん西高なんですか??〟
西高。
そのワードを聞くまでは。
え、西高のイケメン…?
今の私にはそのワードを聞いて思い浮かべる人は1人しかいない。
いや、そんなわけない。来る理由がないし…
あ…。
〝誰かを待ってる〟の誰かってもしや…私?!
って、いやいやいやいや!自過剰過ぎだ私!
ありえないでしょ…
と思いながらもちらりと確認する。
「…そんなわけ……なかった。やっぱり。」
そこにいたのは私が想像していた人ではなかった。
ていうか、誰だ。
まあ、私には関係ない。
そう思い、足早に人だかりを通り過ぎようとした時、
「ねえ、2年生のゆかちゃんって子知ってる?今探してるんだけど~」
“2年生のゆかちゃん”
…いやいやいや。
確かに私はこの学校の2年生でゆかって名前だけど、もしかしたら2年に同じ名前の子がいるのかもしれないし、うん、ありえない。
「2年生ですかー?私達1年だから分かんないなぁ」
「あっ、私知ってます!あ…!」
…でも私以外にこの学年にゆかって子いたっけ…?
そう思いちらっと人だかりを見ると、全員が私を見ていた。
「あの人です!
2年生のゆか先輩!ですよね??」
「えっと~…」
私は周りを見渡す。
でも周りも私を見ている。
「はい、そうですけど…」
「おお!やっと見つけた!」
「いや、でもきっと人違い…」
その人は、私に近づいてきて、馴れ馴れしく私の肩に腕を回した。
「って、は??!」
そして次の彼の行動でその場に叫び声が上がった。
「君が由佳ちゃんかー、へぇ思ったより可愛いじゃん。」
なんとそいつは、私のほっぺにチューをしやがったのだ。
〝なにあれ?!〟
〝どうゆうこと?!!〟
〝今ほっぺにチューしたよね?!?〟
〝もしかして彼女?!!!〟
周りは、まるで私が思っていることを代わりに言ってくれているようだった。
なにあれ?って、どういうこと?って…
私が一番聞きたいわ。
「な…にするんですかぁぁぁ!!」
次の瞬間、穏やかで滅多に怒ることのない私がキレタ。
大声で叫んだ。
そして、そいつのほっぺに、チューのお返しとしてグーパンチをくらわせてやった。
「…。」
そいつにはあまりグーパンチは聞いていなかったようだが、私のあまりの迫力に驚いてポカーンとしていた。
私以外のみんなが私のことを見ている。
周りの空気がどよめいた。
そして何より、こんな勢いきった行動をしてしまった自分に自分自身が1番驚いた。
「ささ、さ、さようならっっっ!!」
とにかくこの場から1秒でもはやく逃げたくて、私は走った。
走りに走った。今なら光になれるんじゃないかというくらい速く走った。
それはもう風のように。
なのに、
「はぁはぁ、由佳ちゃんって足速いんだねぇ~」
そいつは普通についてきた。