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あらためて感じる毎日小説を書き続ける恐ろしさ

 僕は、あらためて毎日小説を書く恐ろしさを実感していた。


 毎日、最低でも8~9時間はたっぷりと睡眠を取る。長い日には12時間以上も眠っている。

 小説を書くというのは、大変にエネルギーを消費してしまうものなのだ。適当に書き荒らしているならばお話は別だろうが、本気で小説と向き合い、全力で執筆すると、ヘトヘトに疲れ果ててしまうのだ。

 僕は、それを睡眠によって取り戻していた。


 執筆に使う時間は、最低でも1~2時間。これは、どんなに調子が悪い日でも変わらない。長い日には、7~8時間は書いている。平均すれば、1日3~4時間といった感じだろうか?

 案外、短いように思われるかもしれない。だが、この3~4時間に集中して書くのだ。まるで、機関銃のごとくダダダダダッ~!!と書いていく。かといって、決して適当に書き殴るわけではない。短時間に、丁寧に丁寧に書き進め、このスピードが出せるように能力を上げてきたのだ。

 1時間あたりに書ける文字数は、大体1500文字程度といった感じだろうか?調子が良ければ、2000文字とか2500文字に達する。3000文字以上になった瞬間もあった。だが、そんなのはいつも出せるわけではない。

 こういうのに、トップスピードはあまり関係ない。それよりも、コンスタントにどのくらいで書き続けられるのか?その方が重要だ。小説というのは、長期間に渡って書き続けられなければならないのだから。


 残った時間は、自由に使っていい。

 だが、その間も油断しているわけではない。森を散歩しながらも、次の日のアイデアを考え、この先の展開を想像し、ゆとりがあれば次回作の構想を練り始める。

 図書館に通って本を読みあさり、新しいアイデアが降りてくるのを待つ。読んでいる本の内容など関係ない。そんなものは全然頭に入っていなくとも構わない。それよりも、“どのようなアイデアを思いつくか?”その方が大事なのだ。


         *


 この小説の森には、僕の他にも「速筆で大量の文章を書くタイプ」というのは存在した。

 けれども、彼らのほとんどは「ひたすら同じ小説を書き続ける」というタイプだった。同じ1つの作品を1年にも2年にも渡って書き続ける。ヘタをすれば、何年もズ~ッと同じ小説を書き続けているのだ。

 アレでは、意味はない。

 ひたすら、古代の武器で戦い続けているようなものだ。投石機や槍で勝負し続けているだけ。それでは、攻撃は通らない。


 僕の方は、毎月、新しい武器や兵器を開発している。

 一番最初にナイフ1本だったものが、超々高度から空爆できる爆撃機となり、さらには衛生レーザー砲に進化し、宇宙からレーザー兵器を放つことができるようになっていた。多くの作家たちが、いまだに竹槍や剣や弓などで戦い続けているのに対し、圧倒的射程距離と威力を有していたわけだ。もはや、勝負になどなるはずがなかった。

 その上、こちらはなお進化し続けているのだ。毎月発表される1~2作の新作は、どれ1つとして手を抜いた試しはない。どれもこれも、新しい試みにあふれていて、実験作や意欲作も数多く生み出した。

 もちろん、数ある作品の中には地味なモノもたくさんある。だが、それらにも役割は存在する。地味ではあるがシッカリとした文章、あり得ないほどのリアリティ、やさしさにふんわりと包み込まれるような愛情。それぞれの作品に、それぞれの役割や目的を与え、書き上げていった。

 それらの作品が完成するたびに、能力は1つまた1つと身についていく。


「止まっているわけにはいかないんだ。僕は、同じ場所に止まっているわけにはいかない。なぜなら、“史上最高の小説家”になるのだから!僕が目指すのは、それ!いずれは“小説の神”に挑む!!」

 狂信的なほどの執着。

 この小説の森にやって来た頃と同じくらい…あるいは、あの頃以上に、僕の心の底の情熱の炎は燃え上がっていた。

 もちろん、技術や能力はあの頃とはけた違いだ。

 あの頃のように、なんの能力もなく、ただ自信と情熱にあふれ返っているだけではない!シッカリとした小説家としての能力を無数に身につけているのだから!

 そうして、僕はさらに化け物への道を進んでいく。小説の化け物としての道を!

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