序章「部の夜明け」
突発的に書き始めたストーリーなので、ここで大まかに話せることはありません。
と、以前の小説でも話した気がします。笑
とりあえず、興味のある方だけでもいいので
軽く閲覧していってくださいな。
暑さも迸りを忘れ始める9月の頭。
夏休み明けで弛んだ表情を浮かべる生徒たちがこぞって登校するその数時間前、大体午前5時頃の話。
まだこの時間帯は、太陽も山を被って熟睡しきり、町中が薄らと朝靄に包まれる様子が、眠気まなこよろしく朝の目覚めを感じさせない。
車道を通る車も疎らで、歩道に至っては誰一人歩行している人は現れない。
そんな矢先、たった一人だけ全身を黒一色に揃い上げた男が、高校の校門前を仕切りに彷徨いている。
「…。」
数往復し、歩道に自分以外の人影はなし、走行する車輌もすっかり途絶えたのを視認すると、まだ封鎖されている校門の縁に手を掛けて、余計な動作を加えずにひとっ跳びで乗り越えた。
校門は、鉄格子仕様。外から見たらまだ開門前の敷地内に男がぽつりと違和感溢れさせて侵入しているのが丸見え。
外から周囲を徘徊している時とは打って変わって、侵入スルや否や全速力で校舎へ駆け出した。
「ストップストップ、止まりな。」
時間はまだ5時10分。ここの教師或いは校長でさえ出勤していないはず。
警備を雇っていない事もあらゆる不正情報受信の手を使って得たセキュリティアビリティで確認済み。
「…っ。」
男は、声のする茂み辺りに体を向けて身構えた。
となると、侵入者という類の同士か?
少し緊張が解れた時、ふと背後より声が響いた。
「ノンノン、そちらは明後日の方角に御座います。」
小馬鹿にした演説口調の方へ男が要領良く体を翻す。
しかし機敏さに若干の差があったか、振り向くよりも素早く男の両腕は自らの逞しい背中に押し付けられ、その勢いで前方に突き倒された。
不意をつかれた驚きと、腹から地面に叩き付けられた衝撃に悶えている間で、両手首に特殊な護身用の拘束器具を取り付けられた所で決着が付いた。
「…という訳で、今朝3年A組の護衛部、合原涼子君が不審者をいち早く発見、無事捕らえられた。拍手!」
生活担当(後「生担」略)の先生が、全校生徒の集まった体育館で今朝の出来事を大々的に話した。
夏休み明けで訛った体と脳みそを担いで登校した生徒たちはその一連の事件に震撼したか、先生の掛け声にしっかり反応していつもより大きな拍手の音が体育館に鳴り渡った。
皆の注目となっているのは、朝方の不審者を簡潔な遣り口で退治した三代木高校の三年生、合原涼子。
生担先生と共にステージに登壇し、拍手を受けては仕切りに頭を下げて応えていた。
この事件と彼女の活躍はマスコミで多く取り上げられることで世間に知れ渡り、同時に「三代木高校の護衛部」に対しての興味と注目も爆発的に上昇することになった。