入部テスト
『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
しばらくの沈黙の後 歓声が起きる
「やられたな…まさか初球の変化球で芯をくわれるとはな…」
マウンドの上では上条が苦笑いしていた
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「以上が合格者だ」
入部テストでは70人近くが落とされ
30人弱になっていた。
猛田の顔もそこにあったため安心した
「中野、橘、樹多村」
「お前ら三人は明日から1軍に合流してくれ」
「!」
橘は入部テストで唯一ホームランを打った左打者である
天性のスラッガーという雰囲気が感じ取れる打者だった
樹多村も同じくクリーンヒットを打っていた
だが、樹多村の本職は投手であり
既に145キロはでていたし変化球もそれなりにあった
どちらも中学の時から名前を聞いたことのある選手だ
『ブルッ…』
武者震いというやつだろうか
今から明日が楽しみで仕方がない
各自が解散となった後
猛田が真っ先に声をかけにきた
「よかったじゃねぇか!
やっぱお前には追いつかねぇな…」
猛田は肩を落とした
『何言ってんだお前も地元じゃ
かなり名の知れたキャッチャーだろうが
諦めんのはまだ早いだろ』
猛田は顔を輝かせた
単純なやつである
だが、猛田がすごい捕手であることには
違いはないのだ。