表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誓約異端   作者: 桃月
7/9

ep5 狂宴<前編>

保健室へと運ばれてから、だいたい20分〜30分くらいたっていた。

もう、4時間目は終わっているだろう。

体がようやく落ち着いてきたので、ボクはベッドから立ち上がる。

まだ少し、体はクラっとするが、汗は止んで十分に動ける状態となった。


「一体、何だったんだ?」


実に不可解な事だった。

ついさっきの……あの背筋が凍るような視線。

最初はボクを狙ってきた異端能力者とは思っていたが、気配は感じなかった。

だからこそだ……。余計には訳がわからなかった。

こんな感覚は、前にも一度あった。

ボクが……“ヤツ”と初めて戦った時、その時も同じような感覚をしていた。

だけど、“ヤツ”は俺がこの手で殺したはずだ。









なら……この不快感は一体?











ボクはその事を頭から振り払うように、昼飯を買おうと食堂へと向かった。


食堂には藍口が、いつもボクが座っている席をキープしていた。

食堂で買ったラーメンを片手に持って、ボクはそっちへと向かう。



「ボクのためにごくろう様だな〜!」


「あっ! 方枷君、もう大丈夫なの!?」


「ああ、だいぶ収まったみたいだしね。ありがと、藍口」


「う、……うん」


そう言って、藍口はまた顔を赤らめる。

ボクの事はおいといて、今日の彼女は本当に……一体どうしたのだろうか?

何か変な物でも食べたのか? 

はたまた、さっき頭を打っておかしくなり始めたのか?(そんな事はまずありえないのだが……)

まぁ、詳細はあまり気にしなくてもいいな! うん。



「さて、お腹も空いたし、食べるか!」


「うん! あ、かまぼこ発見! 頂き〜♪」


そう言って、ラーメンに綺麗に飾られていたかまぼこを箸で掴んだ藍口。

そして、それを一気に口へと入れてしまう。




ああ……楽しみにしていたラーメンが……、かまぼこが……。




「うわ……ボクの……ボクのかまぼこちゃんがぁ〜……」


「これでさっきのチャラで許してあげるよ♪」


「はぁ〜……」


「何〜? そのため息は」


「別になんでもないよ……」


「なんか、方枷君そんなだと……私が悪いみたいだね」


って、実際にキミがボクのかまぼこを盗ったからじゃないか!


誰もいない心の中で、そう突っ込みながら、ラーメンを啜る。


けど、藍口にはさっき助けてもらったので、文句は言えない……。


「むぅ〜。なら……これあげるよ。あ……あーんして?」


藍口は手に持っていたおにぎりをちぎって、ボクの方へと持ってきた。


何故だか、また顔を赤らめて、今度は恥ずかしそうにしている。



「『あーん』……って、自分で食べれるよ」


「むぅ〜! ほ、ほら……あーん」



む! こやつ、意外としつこいな…。






「仕方ない…」とそう思い、ボクは口を開けようとした時に――――





「!! ………クッ!」




また、さっき授業中で起こった時と同じ感覚がボクを襲った。


確定はできないが、何処かで誰かに、見つめられているような気が……。


汗はもう出ないが、以前よりももっと酷く感じてしまう。


同時に、さっきまでは出ていなかった異端者の気配がする。



距離は………近い!



「―――ごめん、藍口! …ちょっとまた保健室行ってくる」


藍口が残念そうな顔と心配そうな顔を同時に浮かべる。



「う、……うん。あんまり無理しないでね。」


「ああ。五時間目には戻るようにする!」



最後の一口を食べて、藍口を食堂に残し、ボクは走る。


異端の気配がした“屋上”の方へと……。





屋上の扉に手を掛けて、ボクはドアを押す。

そこから映った景色は綺麗で、この町の半分くらいは眺める事ができそうだった。


そして、その視界の中には一人の男がいた……。


もう春が終わって夏に入ると言うのに、凄く暑そうな赤いロングコートを身に纏っている。

紫色の長髪が風に靡いて、横顔がチラリと見えた。





「なんで……!?」





ボクは驚愕する。

その男はボクの記憶に深く印象に残った顔をしていた。

思考が停止する。




アイツは、死んだはずだ……。



そう、ボクがこの手で殺した。



なのに……なのに、どうして此処にいるんだ……?





「やあ、カナタ! 会いたかったよ〜!」


「ゼル……。どうして……お前が……」


「―――死んだと思ってた?」


「ッ!!」


「あははは! 図星かな?」



薄気味悪い笑い方をして、ボクを見てきた。

ボクはそれを見つめ返して、距離を置く。



「まぁ、確かに僕はキミに殺されて死んだよ。…だけど、ボクは戻ってきた。地獄の底から、キミに会うためにね!」



その言葉を聞き、ボクは誓約誓誕を発動させ、屋上のコンクリートの床を素材にした刀を作って、構える。



「やだな〜! 僕は“まだ”キミと戦うつもりなんてないよ」 


「………」


「怖い、怖い! でも、そんなカナタの顔もいいね〜」


「黙れ!」


直後、僕はゼルへと切りかかった。

大きく刀を構えて、そのまま目標へとなぎ払うように……。






――ピタリ…






刀がゼルの頬から先に動かなくなる。

目線を追って見てみるとゼルはボクが振るった刀を素手で受け止めていたのだ。

ボクがそれを離そうとしても刀はビクリとも動かない。


なんて力だ……。


前と戦った時よりも強さが増している……。



「血が上りすぎて、誓約誓誕の力を上手く活用してないね。そんなんじゃ、僕には到底勝てないよ?」


「……なんだと!?」



ボクは挑発を受け、頭にきた。

ゼルに受け止められていた刀をそのまま鎖へと変化させ、ボクは鎖を握り締め、ゼルへと巻きつけるようになげる。

その鎖は蛇のようにゼルの体へと巻きついていった。


「うわっ! …これは不覚にもやられたよ!」


明らかに優勢になったボクに対して、ゼルはまだ余裕のありそうな顔をする。


(何なんだ……。こいつの余裕のある顔は……)


ボクはより力をこめて、鎖を引く。

ギュッと縛られて、普通なら体がちぎれるかと思うくらい痛いはずだ。


なのに……。



「あぁ〜! カナタ……、僕に対する想いがじわじわと伝わるよ」



等と、ふざけた事をまだぬかしている。

強くなっていく鎖の縛りに対して、ゼルには余裕ある顔が残っている。

ゼルは楽しむようにこう呟く。



ボクにとってはこの上なく不愉快な事を……。





「今も“あの男”に囚われているのかな?」



「………」





「そうなんだね。せっかく、僕がこの手であの男を殺してあげたのに―――」






その言葉はボクを殺意に満ち溢れるのに十分だった。



「っ! ゼル!!」



ゼルの口から、「あの男」と出て、ボクはむき出した目でゼルを睨む。


あの男とはボクのかつての相棒“だった”男の事だ。


ボクはこいつの狂気から……相棒を救えなかった。


そんな過去があるのに……。


こいつは平然とさらっと言ったのだ。


しかも、こいつは喜んでいる。相棒を殺せた事に対して……。


鎖に絡みつき、捕らえている男に、激しい怒りと憎悪が沸いてくる。


だけど、ゼルの笑みは崩れない。


ボク達はそのまま、お互いの顔を見つめ、睨み合った。










この時点でボクはゼルを殺しておけばよかった。


今でもこの事で後悔している。


躊躇も迷いもなかったのに、殺せなかったのは己も知らぬ『恐怖』があったから。


だけど、それは言い訳に過ぎないのだ。


結果は最悪の惨劇へと変貌してしまう。


だって、またあの時と同じように……。


この後、ボクは多大な犠牲をこいつに払ってしまう。









久しぶりの更新ですねw(汗)

読者の皆様、久しぶりです。

桃月ですw!

今回の話はライバルのゼルを話に絡めていきました。

そして、昔に彼方とゼルの戦った理由も少し明かされています。


不安な事が一つ!

今回の文章は多分下手に書かれているかもしれません(汗)(ていうか今までも下手だと思いますが……

多分……というか絶対に手抜きですねww(桃月が手を抜いてすみませんww皆様ww)


(´;ω;) ホントすみませんw


では次回の話のあとがきでまた会いましょう


ヾ(*゜∇^*)ノ~ see you next time !!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ