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誓約異端   作者: 桃月
5/9

ep4 ハプニングな午前

「ふぅ……」


登校途中の見慣れた風景。

ボクは今、藍口の家まで迎えに来ていた。

もちろん、一緒に登校するためだ。

どういう訳か…、藍口とボクは入学当初から、一緒に登校している。

まぁ、クラスメイトの中でも、一番仲のいい友達が藍口なので、ボクとしても一緒に登校できて楽しかった。

ボクは軽くインターフォンを二回鳴らした。

それに出てくれたのは、活気が良さそうな男性の声……、藍口のお父さんだ。



「…方枷です。藍口さんを迎えに来ました」


「おっ、毎日すまないね。方枷君」


「いえ…、ボクがいつも一緒に登校させてもらっているので」


「ありがとう。少し待っていてくれるかな?」


「ええ、わかりました」




「おーい、碧〜! 方枷君が来てくれたぞ〜!――――」




藍口のお父さんが、急かすように言う。

それに対して藍口はというと……。




「えっ! ちょっと待ってぇ〜!」





さっきから数えたら、3回は軽くもう言ったな。



(相変わらず、朝には弱い奴だな…)


インターフォン越しで会話する親子に、クスクスと笑ってしまう。

すごく仲の良い人達だ…。

一人暮らしなボクにとっては、それがとても羨ましい事だった。




玄関のドアが開き、ボクは髪の毛が少し跳ねた美少女へと挨拶をかける。



「おはよう、藍口」


「お…おはよぉ〜!」


「……髪の毛、跳ねてるよ?」


「え!? 嘘!?」


藍口はそう言って、カバンからコンパクトなサイズの鏡を出した。



「…うぅ〜、ほんとだぁ〜」


「ぷッ…、ドンマイ」


「もう笑わないでよぉ〜! しかも、ドンマイじゃないよぉ〜!!」


昨日と同じような膨れた顔になり、またボクの頭をポカポカと…。

しかも、昨日よりも少し強く叩いているかも。



「ゴメン、ゴメン! 痛いって……」


「むぅ〜! 方枷君のばかぁ〜!」


あ、また力が強くなった……。



「そうそう!藍口」


ボクは藍口の攻撃から切り抜けるために、別の話題を引き出す。



「ボク達のクラスってさ、学園祭で何するんだ?」


「私達のクラスは喫茶店をするんだよ」


「へぇ〜。もう役割とか決まっているのか?」


「方枷君はもう決まっているよ〜」


「おっ! 何々?」


藍口はニタァと笑みを浮かべて、ボクの方へと顔を向ける。



「女装ウェイトレス♪」


「…………」


えーと…。気のせいかな?

藍口はウェイトレスの前に女装って言ったように見えたんだけど…。 

女装ってあれだよね、女性の格好に成りすますって事の……。



「あ、嫌なら、もう一つ。女装コックさん♪」


あのー、…藍口さん。

何故に女装のコック?

コックって別に女装なんてしなくてもできるんじゃないのかな?

しかも、どうしてボクの選択肢は女装しか残されていないの?

これって理不尽にも程がある……ていうか、理不尽だらけじゃん!




「あのさ…、悪いけど、ボクは別の役割を希望するよ」


「えぇ〜! もう決まっているのにぃ〜! むぅ〜!」


藍口はそう言って、さっきまで止めていた攻撃を再開し始める。

ああ…、痛い。

これ、ホントに結構痛いんだよ……。



「……はぁ〜。今日も一日、大変だ」


空を見上げて、肩を下ろし、ボクは嘆息をした。











   ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※











「やっとだ…。やっと君を見つけたよ」



とても、男性とは思えない程の綺麗な顔立ちの男がモニターに映った少年を見て、笑う。


それの笑みはとても人間のモノとは思えず、獣が獲物を見つけたような顔をしていた。



男の身の周りには死体の山と大量の血で飾られていた。


死体の顔は狂気に引きつっていて、残酷としか言いようが無かった。


男は死体に突き刺さった刀を抜いて、刀にこびり付いた血をなぞる様に舐める。




「あぁ〜、1年と3ヶ月ぶりだねぇ〜。この前は、炎舞の者がお世話になったね。ごめんねぇ〜」



男のこの言葉は少年へと向けられているのだろう。

そして、刀を腰に付属した鞘へと戻し、惨殺された部屋を出る。

ドアの壁横には男が会いたがっている少年が属する組織、ベラロッテのエンブレムと「heresy」と書かれたプレートが掛けられていた。



ああ、なんて素晴らしい日になるんだろう。


男はそう思いながら、狂気へと満ち溢れていた。




「―――早く会いたいなぁ〜、“カ・ナ・タ”」















既に時間は12時を回っていて、午前の授業もこれで終わりだ。

もちろんだけど、ボクは授業を放棄して、寝ています。

理由はこうだ。“眠たいから”

あまりにも馬鹿だとは思うけどさ、自分欲求には素直に生きなきゃね!



そう開き直りながら、ぐっすりと眠っているボクに背筋が凍る感覚がいきなり襲った。



「ッ!?」


なんだ…!

ボクはこの感覚がなんなのかは説明できなかった。わからない。

上手くは言えないのだが、こう……なんなのだろうか…。

嫌な悪寒……とでもいうべきか?

本当に自分でも訳がわからない。

多分、そこまで気にしなくてもいいような事なのに……。

例えて言えば、そう……。

まるで、“何処か遠くから、誰かに見られていた”感じだ。

その感覚のせいでボクははっきりと目を覚ましてしまう。

席の隣では藍口が心配そうにボクを見ていた。



「なんか顔汗だらけだよ?」


「ごめん、ちょっと熱っぽい…かも…?」


「………」


藍口が黙り込み、そして…、何かを考え終えたのか、前で教科書を読んでいた先生に話しかける。



「先生、方枷君が少し熱っぽいので、私…保健室に連れて行ってもいいですか?」


「えっ…、藍口?」


ボクは藍口を見つめる。

呆然とするボクに対して、藍口はいつもとは真剣な顔で先生を見ていた。



「…わかりました。では、藍口さん。方枷君をお願いね」


「はい! ありがとうございます」


そして、ボクの肩を担ぐみたいな感じで、ボクと藍口は教室を出て、一階にある保健室へと向かった








「本当に大丈夫?」


藍口はベッドに横たわるボクを見て、心配している。

藍口の顔は少し涙ぐんでいて、本当にボクを心配してくれているのが、否応にもわかった。

別に熱くもないのに、汗がどうしても出てしまう。

ボクは汗ばんでいたシャツの第一、第二ボタンを開けて、ぐったりと言葉を返した。



「…うん。まだ、……少しくらくらするけど、たいした事じゃないと思う」


「……良かったぁ〜!」


「それよりも、ボクにつき合わせてゴメンな……」


別にそこまで、たいした事じゃないと言うのに藍口を保健室まで連れまわして…。

本当にボクは何をやっているんだか……。



「ううん! ……その…方枷君が無事だったし。だから、いいよ…!」


藍口はさっきの顔から一変して、今度は赤くなっている。

ん? どうして藍口の顔が赤くなっているんだ?



(こいつも熱っぽいのかな……?)



ボクはそう思いながら、藍口の額に少し汗ばむ手を添えてみた。



「あ……!」


手を当てた途端、彼女の顔は見る見る内に赤く上気していく。




―――プシュ〜〜!




頭から、何やら湯気(?)みたいなモノまで出てきている。

って、普通人から湯気なんて出ないぞ。

う〜ん…。藍口 碧、……未だに謎めいた奴だ。



「んー……」


そしてどうやら、今のボクの体温よりも藍口の方が熱く感じるのは気のせい……ではなさそうだ。



「藍口、お前の方こそ保健室で休んだ方が良さそうだぞ?」


「あ……、いや、……私は教室に戻るよっ!!」


「そ…そうか? まぁ、それなら別にいいんだけど……」


「じ、じゃあね! あ、何かお昼食べたい物あったら、携帯で教えてね! 買ってくるから―――」


そう言って、藍口は保健室から出ようと……。




――ゴツンッ!




あっ、今頭…壁に打った。

見事に壁をドアと間違えて、藍口は頭を激しく打っていた。

その抑え方からして、少しオーバーだったけど、結構痛そうだな……あれ。



「大丈夫か〜?」


「だ、大丈夫ですぅ〜!」


そう言って、ドアに手を掛けようとして……。




――ドンッ!




今度は床に滑って、藍口の腹部が床と衝突した。

さっきのよりも、こっちの方が遥かに痛そうだ。


「っ〜〜〜〜!!」


「おーい…。本当に大丈夫なのか〜?」


「う……、うん!」


藍口……。

残念なんだけど、今日からボクは、キミを「ドジ娘」として認識するよ、うん。


さっきまで頼りがいのあった彼女が、一気に正反対へと豹変したのを見てボクは、「見事な程のドジ娘だ!」と思うばかりであった。








さてさて、今回の4話では見事に桃月の悪ふざけが展開されていましたねw(ぇww


前回が少し、暗かったので今回は碧ちゃんに一役買ってもらいましたよ〜!


ムフフッwww!(うぇうぇww


さて、気になる点はと言いますと…。

真ん中辺りで、彼方に会いたがっていた男。

実は彼、一度昔に彼方と戦って、互角に渡り合った人でもあります。

でも、彼方に重症を負わされて、一年以上の年月を隠れて過ごしていました。。(てかそういう設定ねwww(ぶはw)



さて、いよいよですね!

この桃月の妄想ワールドが暴走するのは!!?(ぇwww


では、次回のあとがきでまた会いましょう!


ヾ(*゜∇^*)ノ~ see you next time !!



PS、この作品、初投降の日で50人を超えてくれました。桃月はかなり喜んでたりしています!(´・ω・`)


これも読者の皆さんのおかげです、ありがとうございます!

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