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誓約異端   作者: 桃月
2/9

ep1 ブラッドロードの呪い

あの時の事を思い出していた。3年前、あまり詳しくは思い出したくない。


だって、大切な人が失った記憶だったから。


空一杯に広がっていた星空。


辺り一面の綺麗な花畑。


そこには彼女がいて、それが当たり前のように続いていくと信じていた。











      ――――まだ、ボク…方枷 彼方が13歳の時だ――――












地面から、突如浮き上がった紅の線。

それはまさに人の血の色をしていて、だから余計に気味が悪かった。

だけど……見ているだけで、魅入られてしまう。奇妙な感覚。

紅の線を踏み超えようと一歩…また一歩と足を進める。

そして、遂にその線を超えた。

線を越え終わった後・・・。

なんだか、急に体に違和感が走った。

今考えると、その時にボクが「異端」能力を手に入れたからだったんだろう。

だが、それと同時に傍にいた彼女が……消えてしまった。

それが最大のボクへの罪。

好奇心に駆られて、悪魔のような線を踏み入れてしまったボクへの……最大級の罪悪。

これはボク“だけ”ではなく、世界の人々を巻き込んだ。



そう、線の向こう側へ踏み越えたモノへ“最高の力”を与え、“最高の贄”を引き渡す取引を。

異端者になった者達の存在は世界では極秘とされ、一般市民には“ただの事件”という事になり、詳細はうやむやになった。

だけど、被害は共通で・・・・・。

この紅の線は後の世界で「ブラッドロード」と呼ばれる事となる。



日本にいたボクにとっては、人生最悪の真夏の一日で、絶対に忘れることができない記憶ともなった。









あれから、もう3年が建つ。

癒えない傷を残して、世界はまた以前の通り、元に戻った。

異端者達と消えないブラッドロードだけを残して・・・。














     ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※















眠くなるような授業に目を瞑る。

前では先生が、難しい数式を書いていた。



「ここを……方枷、やってみろ!」



ボクの名前が出る。

なんでボク?

毎回、この先生の授業にボクばかり当てられているのはもう何かの生徒イジメとしか思えないな……。

まぁ、寝ているから問題を当てられるのは当然なんだが。

授業の内容を聞いていないボクには絶対にわかる訳ない。


「はぁ〜」


うつ伏せていたボクは皆の視線が集まる中、教卓へと向かった。

黒板にはさっきも言ったが、まったくわからない数式が書かれている。

だけど、“今のボク”にはこれが手に取るようにわかっていた。


「……x=2arですか?」


「……正解だ!」


先生は意表をつかれたような顔をしている。

他の生徒も皆ボクに驚いていた。

毎回、この光景を見てしまうと流石に飽きてしまうよな。




さっきの事なんだが……。

ボクは反則をしている。

さっき、教卓へ向かう途中で「誓約を誓う」と小声で言った。

これがボクの“異端”の発動キー。

ボクの異端…“誓約誓誕”は「物理法則に従った事を誓約でき、その誓約下の中でボクへと誓約内容を与える」といった能力である。

だけど、物理法則に従わなければいけないので、「生物を生き返らせる」等はもちろんできない。




ボクの出した答えの正解と共に、授業の終わりのチャイムが鳴る。


「起立!……礼」


6時間目の授業は終わり、これでやっと帰れると思うと楽な気持ちになれた。

まぁ、簡単に言えば学校自体がかったるい。

そう、ボクはなんでもかんでもかったるいと片付けてしまう、極度のめんどくさがりだ。

自分で言うのもなんだが、これだけは誰にも負けないと意地を張れる。

もちろん、無意味な意地だが。


「方枷君、さっきは凄かったね〜!」


神代学園一の美人でボクのクラスメイトでもある藍口 碧が話しかけてきた。


「ああ、そっか?」


「うん!……だって、寝ていたのに答えをすぐに書けるのって方枷君くらいしかいないし」


「あー…」


まぁ、あんな事は一般の人にはできないな、確かに。

藍口はその綺麗な小顔をボクの方へと近づける。

相変わらずの可愛い顔に普通の男なら思わず、ドキッとしてしまうだろう。

しかし、ボクはそんなどこかのラブコメの主人公みたいな奴ではないので、絶対にそんな事はならない……多分。


「私も方枷君みたいな“天才少年”になりたいな〜♪」


「それを言うなら、藍口の場合、天才少女だろ・・・? それにボクは天才じゃないし、藍口の方こそ今のままでも十分だと思うけど?」


「私はあんな風に寝ていた時に問題を当てられたても、アニメみたいに、パッと答えられる人になりたいの!」


「…無理、無理。あれはボクだけの技だって」


「むぅー」


藍口は膨れた顔になって、ボクの頭をぽかぽか叩く。

この藍口の攻撃、実は地味に痛いんだよな…。


と、ここでボク達の担任の美咲先生が教室に入ってきた。


「皆、席について。終礼を始めるわよ」


後ろで頭を叩いていた藍口も先生が来たことで諦めて自分の席へと座る。

藍口からの攻撃から助かったボクは、嘆息をして、教室の窓から空を見る。

天気が悪かったせいなのか、少し暗くなっていて、夕日はもう沈んでいた。






無事に終礼を済ませた後、ボクはいつものように藍口と一緒に帰宅していた。

まぁ、学校を出るまでは彼女のファンクラブ(神代学園では藍口さん同好会と言うファンクラブらしきモノが存在している。もちろんながら、同好会は男の比率が100%でそのメンバーが全員むさ苦しい奴等ばかりだ。)の方々のギスギスとした殺気のこもった視線が背中に何本も刺さっていたが…。

それについてはスルーの対処でいこう。


「ねぇ、方枷君」


藍口の足が止まり、ボクもそれに合わせて止まる。


「なんだ?」


「方枷君ってさ…。ブラッドロードの“呪い”って噂、知ってる?」


「……いや、知らないな」


「そっかぁ〜。…ブラッドロードの“呪い”って言うのはね、紅い線に繋がれてしまった人が、その線から逃げられなくなる話なんだよ」


「……タチの悪い噂だね」


「でもね・・・。これは噂なんかじゃなくて、実際に起こった事なんだと私には思うんだ。だって、そうでもなきゃ、こんな噂話流れないし……」


「でも、噂は噂だろ?」


「…方枷君って夢がないなぁ〜」


藍口は目をきらきらさせながら、子供のように話した。

その話を聞いたボクは、複雑な思いだった。



皮肉にも確かにブラッドロードの“呪い”はある。

藍口が言っている事とはまったく別物なのだが。

異端者。一般の人には絶対に知られていない者達。

ボクもその中の一人、そして“呪い”という名の罪を受けた者だ。

そして、呪いは今も僕達に残っている。

消えない痛みと共に……。



「……方枷君?」


藍口の呼び声にハッとする。


「あ、ああ…。ごめん」


「別に私はいいけど、方枷君大丈夫?…なんか顔色が青ざめているよ?」

そう言われると、今の自分の状態はそんな感じだと思える。


「大丈夫だよ」

ボクは藍口に心配させないように、無理に元気な顔を作った。


「…うん。なら、いいんだけど……」


「よし、早く帰って今日は寝るよ!多分、日頃から勉強のしすぎで貧血でも起こしたと思う」


「そうなんだ!……って、方枷君、勉強なんてしてないじゃん!」


「ボクのボケに0.5秒で突っ込むとは……流石だな、藍口!」


「……もぉ〜!…心配したこっちが馬鹿だったよぅ〜」


またさっきの、終礼前の時の会話になってホッとする。

ボクはまた膨れた藍口に頭をぽかぽか叩かれながら、道端を歩き始めた。






今の生活は本当に悪くなくて……、むしろ心地いい。

だけどもし、“裏のボク”の顔を表の顔を知っている誰かが知ってしまったなら、それは大きな裏切りとなってしまうだろう。

だから、夜が来るまでは、ずっと楽しいこの日常を。










            けど、夜が訪れてしまうとボクは―――――










この小説を見ていただき、ありがとうございます。

良い点、悪い点等多彩な感想を書いてもらえると嬉しいです。(感想くれぇーーーーwww

一応、時間があれば更新し続けていくのでよろしくお願いします(てか本文を見てやってくださいw(ぇッw)


さて、一話をようやく完成させた所であえて言いますが……。


この話はぶっちゃけラブコメに……、はいww嘘ですww(すみません(汗)


まぁ、冗談はさておいて。


2話からは彼方の夜の顔・・・つまりは“裏の顔”を書いていきます。


まぁ、ダークファンタジー?(てか、アクション物なのかな?)系なんでねw。



というか、桃月はこのファンタジー系を書くのはもしかしたら初めてになるかもしれません!!


なので、「こんなのファンタジーじゃなーい」等は大目に見てやってください(汗)



では、また二話のあとがきで会いましょうw


ヾ(*゜∇^*)ノ~ see you next time !!


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