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『隠しクエスト突破で本物の異世界へ──複製スキル〈フォージ・コード〉が世界の法則を上書きする』  作者: 風白春音


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第26話 拒絶反応

 アルシェリアside


 突如彼、大凪夜蓮の体が光り輝き、同時に謎の因子が魔法陣の形をして姿を表す。

 これはまさか──拒絶反応!?


 拒絶反応──因子の使用によって肉体が耐えられなくなった時、因子そのものが肉体の死を拒絶することから、こう呼ばれている。全ての因子が拒絶反応を起こす事はなく、極々限られた因子のみが反応を示す事が研究結果により判明している。

 一度拒絶反応が起きると、肉体は因子の力によって完全に修復され、それどころか、強化される事が分かっている。こう書くと理論上死ぬことは無いように思われるが、複数回の拒絶反応を起こした個体の事例は未だ無く、未知数である。


 「………‥」

 「夜蓮!?」


 突然体勢を起こし立ち上がる。

 薄紫色の光──オーラを全身に纏っており、言葉では形容できない異質さを肌で感じる。

 夜蓮が私に視線を向ける。


 「お前じゃない」

 「え!?」

 「あれか」


 夜蓮はそう言い残し漆黒ヴォイド破壊者デストロイヤーがいる上空へと移動する。

 まさか今の口ぶり──夜蓮じゃない?

 

 「ちょっと待って!?」

 「…………」


 やっぱり夜蓮じゃない。私の問いかけも無視されてる。

 急いで後を追う。だがこの瞳の状態でも追いつけない程の速度。

 この距離でこれだけ掛かる時間が違う。

 これが拒絶反応による効果?


 「先程の言葉訂正しよう。貴様は下等生物なんかではない。歴とした脅威だ。我は貴様を認めよう」

 「くだらない。死にたくなければ、失せろ!」

 「馬鹿な……ここまでの脅威とは」


 夜蓮が漆黒ヴォイド破壊者デストロイヤーを軽く一睨する。

 たったそれだけで、空間が歪み、割れる。さらに、謎の不気味な軋む音が耳にこびりつき、装備している黒刀と纏っている鎧に亀裂が入る。


 「もう一度だけ言うぞ。死にたくなければ失せろ!」

 「ぐっ──これは一体!?」


 警告を無視すれば死するのみと判断した、漆黒ヴォイド破壊者デストロイヤーは空間を歪ませ、穴を開け、そこへと消えていく。


 「森羅万象に対する脅威。必ずや我らが破壊し平定しよう。次はないと思うが良い」


 完全にこの空間から姿を消したのを確認する。しかし、まだ完全に脅威は去っていない。

 それどころか、もっとやばいのが隣に現れた。


 「安心しろ。お前達に危害を加える気はない。それと、この馬鹿に伝えておけ。無理と無茶を履き違えるなとな」

 「…………分かったわ、伝えておく」


 聞きたい事は山程ある。しかし、有無を言わせない圧が静かに私に向けられる。

 黙るしかなく、受け入れるしかなく、全ての疑問を、好奇心を内側に溜め込んだ。


 「その瞳は必ず災いを呼び、引き起こす。悲劇に見舞われたくなければ、真に支配し、受け入れるべきだ。また会おう、根源否定者オリジン・ネガー

 「!? ────何故それを?」


 私はその言葉で驚き、思考停止する。

 思わずだらしなく開いた口が塞がらない。

 どうしてその言葉を知っている!?

 それを知るのは────。


 「大丈夫か、アルシェリア?」

 「え、あ、うん」

 「なら良いが。しかし、あれは一体?」

 「ねえ、さっきの聞いてた?」

 「その話は後の方が良さそうだ」


 ルーヴァは地上に目をやる。

 そこにはフィオナが心配そうにこちらを見上げ立っていた。

 

 「君の感情は大体理解できるが、今は他のことを優先すべきだ」

 「なら、他言無用でいてくれるのよね?」

 「約束しよう。君との関係に亀裂を入れたくはない。瞳の事も合わせて内密にしよう」

 「分かったわ。今は何も追及しないし、事を起こす気もない。約束するわ」


 私は再び意識を失った夜蓮を抱えて、地上へと降下する。

 ルーヴァは私の拘束魔法で捕縛したカイン・ヴォルグラードを抱えて後を追う。

 降り立つやいなや、フィオナが焦りを見せながら近寄ってくる。


 「何があったん!? 夜蓮君倒れてるやん。大丈夫なん?」

 「問題ないよ。全員無事だ。君も無事で良かった」

 「ほんまによかったわ。心配したんやで」

 「すまない。心配かけた。それと都市の方はどうなってる?」

 「大体避難は終わっとるよ。建物は結構ぐちゃぐちゃやけどね」


 フィオナの言うとおり大体避難が完了したのか、近くには人が居らず喧騒も無い。

 だが、この被害状況から見て、犠牲者は少なからず出ているだろう。


 「それより何故君がここに?」

 「心配で来たに決まっとるやろ。『あれ』も使おうと覚悟決めて、急いで向かって来たのに、結局必要無かったわ。ま、無事が一番やわ」

 「すまない。少し嫌な言い方だった」

 「かまへんよ。悪気ないんやし、気にせんでええから」


 私は二人のやりとりを間近で見て、少し落ち着きを取り戻す。

 それと同時に抱えてる夜蓮の顔を見る。


 ねえ、夜蓮。貴方本当に一体何者なの?

 私の味方でいてくれるの?

 

 ああ、駄目だ。余計な事を考えそうになる。

 事態が片付いたら、考え直そう。


 「ねえ、まだ残党残ってるか分かる?」

 「魔力の残り香から感知してみよう」

 「お願い」


 ここまで来て取り逃したくはない。

 それに万が一、瞳の事を共有されてたら厄介だ。

 

 「一人いる。が、近くに反応がない」

 「夜蓮お願いできる?」

 「深追いは危険だ。それに君も随分疲労している。ここは一旦冷静になるべきだ」

 「冷静よ。でも取り逃す訳にはいかないでしょ?」

 「いや、駄目だ。行くというのなら、一度仕切り直してからだ」


 ルーヴァは私に珍しく圧を掛ける。

 面倒ね。仮に強行突破出来たとしても、デメリットが多すぎる。

 はあ〜。本当厄介な男。


 「分かったわよ。一度学院に戻りましょ」

 「助かるよ」


 少しギクシャクした私達を見て、フィオナは軽く溜息をつく。

 私達は学院へと一度戻ることにした。


 だがまだ終わらない。新たな厄介事が私達に牙を向け襲い掛かる。


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