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『隠しクエスト突破で本物の異世界へ──複製スキル〈フォージ・コード〉が世界の法則を上書きする』  作者: 風白春音


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第1話 目覚め

 身体中を走る激痛で、意識が強制的に引き戻される。

 目を覚ました瞬間、見知った部屋ではなく混乱する。


 「は!? 何だここ」


 脳が状況の理解を拒む。


 「いや落ち着け、落ち着け」


 確か海底遺跡で巨大なタコ型モンスターと戦って、勝利して、その後ログアウトして。

 いやログアウトしてない!? 目の前が真っ暗になった。

 フルダイブからログアウトする時、普通はあんな唐突にブラックアウトしない。


 「じゃあここはどこだ?」


 俺は周囲をキョロキョロと見回す。

 あたり一面、丈夫そうな木が立ち並んでいた。

 それに、木には俺の知らない実が生っている。


 「いやまじでどこ?」


 ……いやいや、これが噂の異世界転移ってやつか?

そんなわけないだろ、と自分に言い聞かせるが──。


 「つーか、さむっ」


 冬ほどの寒さは感じないが、秋半ばはある気がする。

 いや、それより俺の服装現実の部屋着と同じ。

 少なくともゲームの中ではない。


 俺は立ち上がり、ゆっくりと見知らぬ森と思える場所を歩いていく。

 歩きながらポケットの中を確認するも、何も入っていない。

 せめてスマホがあればと思ったが、無駄か。


 その時、突如右後方で不気味な音がする。

 グゴッオオオオオオオオオオと。

 それはまるで獲物を見つけた獰猛な動物の鳴き声のような。


 「嘘だろ、まじかよ!?」


 先刻の鳴き声はどうやら俺を喰らう猛獣のようだ。

 犬に近い四足歩行だが、見たことのない生物が、牙を剥き、涎を垂らし全速力で向かってくる。

 

 「ふっざけんな。何で俺なんだよ」


 俺は意味もわからず、ただ死にたくない一心で全速力で逃げる。

 だが残酷なまでの圧倒的な足の速さの違い。

 すぐに俺は追いつかれ噛みつかれる。


 「うがっあああああああああああああああ!」


 俺は噛みつかれた右足を見て、恐怖と痛みで涙を流し醜い叫び声をあげる。

 くそっ……! こんな意味わかんねぇ場所で、見たこともない化け物に噛み殺されんのかよ──。 俺の人生って一体何だったんだ⋯⋯ 。


 「あなた大丈夫?」


 次の瞬間、俺に噛みつき殺そうとした獰猛な獣は俺から見て左方向に大きく吹き飛ばされた。

 何が起きたかまるで理解できない俺を見て、もう一度目の前の美少女はこう言う。


 「本当にあなた大丈夫?」

 「ああ、えっと、あっ、ありがとう」

 「って怪我してるじゃない。治療しないと」


 俺の足の怪我を見て、慌てて治療する美少女。

 その治療方法を見てここが俺の知ってる地球じゃないと確信する。

 だってなんか両手から光出てるし。


 「よし、もう大丈夫」

 「ありがとう、助かった」

 「どういたしまして。ってこんな軽装で、何でこんな危険な森にいるのよ」

 「いや俺に言われても」


 まじで何も説明できない。何せ気づいたらこの格好でここにいたし。

 つーかこれからどうすれば。


 「ふーん、まあ色々事情がありそうね。取り敢えず森を出たほうがいいわ」

 「どっちに行けばいい?」

 「つっ、はあ〜。いいわ森を抜けて安全な場所まで付き合ってあげる」


 そう言うと彼女は俺の手を引いて前進方向へと歩き出した。

 人生で女性に手を握られたことなど、母親と妹ぐらいの俺には刺激が強く、心臓がこんな状況でも高鳴った。


 「ねえ、名前は?」

 「大凪夜蓮」

 「オオナギヤレン? 変わった名前ね」

 「私はアルシェリア・ルミナリア。宜しくね」

 「あっ、ああ。よろしく」


 つーか、今気づいたけど何で言葉通じてるんだ?

 ここが日本じゃないなら、当然日本語では無いはず。

 だが俺が彼女と会話してる言語は少なくとも日本語。

 翻訳されてるのか? それとも向こうが翻訳してる?


 謎は深まるばかりだ。

 目の前の彼女、アルシェリア・ルミナリアと名乗る少女はめちゃくちゃ美人で輝いて見える。芸術と称賛されそうな透き通った白銀の長髪、それに呼応したような宝石のような白銀の瞳。まつ毛も綺麗なフサフサの白さで整い、鼻筋はくっきりとしており、顔は小顔だ。肌は透き通る程色白く、俺の世界でなら間違いなくこう呼ばれていただろう。

 『白銀の女神』と。


 おまけに高級そうな生地の服の上から分かるほどの大きな胸。

 男なら誰もが好きになるレベルの完璧美少女。

 もしかしたら俺は今幸せであると錯覚してしまう程の神々しさ。

 

 だが、この時の俺はまだ知らなかった。

 ここが──現実以上に残酷な“地獄”だということを。

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