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『隠しクエスト突破で本物の異世界へ──複製スキル〈フォージ・コード〉が世界の法則を上書きする』  作者: 風白春音


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第18話 謎の声

 「ふぅー。さてどうすっか」


 俺の奇襲攻撃は成功したが、仕留め損なった。

 正確な落下地点を把握できていない。


 「追ってくる気配はないか」


 少なくとも相手は3人。

 数で言うと劣勢を強いられている。


 俺の因子が目的な以上、ここに留まるわけにはいかない。

 かと言って逃げ続けるのも得策ではない。


 「殺すしかねえか」


 正直人を殺すことには抵抗がある。当然だが俺も人間だからだ。

 しかし中途半端に躊躇っていては周囲を巻き込んでしまう。

 覚悟を決めるしかない。

 それにさっきは仕留め損なったが、殺す動きは出来てた。


 「さて、始めるか──」


 意気込み、動こうとした瞬間、激しい頭痛に見舞われる。

 

 「つっ────」


 またこの前と同じ。

 くそ、一体何だってんだ、こんな時に。


 『コロ──セ』


 脳内に低く、ノイズが掛かった不気味な声が木霊する。

 頭の中がざわつき、掻き回される。


 『コロ──セ』

 『ウバイト──レ』


 くそ、鳴り止まねえ。

 一体何だってんだ? どっから話してやがる?


 「黙れ、消えろ。俺の中で勝手に喋んな」

 『ウツ────』

 「うるせえ消えろ。邪魔すんな」


 そう俺が強い思いを込めて言葉にすると、嘘みたいに頭痛が消える。

 言葉の響きもなくなり、脳内がクリアになる。


 「はあ、こんな時に何だってんだ、全く」


 一度その場で大きく深呼吸をして、息を整える。

 そして、仕切り直し動き出す。


 ────


 見つけた。

 距離300ってとこか。


 俺は実習訓練でルーヴァが使用した魔法をコピーした。

 白域感知はくいき・セインを。

 

 そのお陰で完璧に相手の位置取りを把握できた。


 「雷紋らいもんスタティック・ステップ」


 移動速度を強化して、周囲で一番高い建物の屋上へひとっ飛びする。

 地面に上手く着地して身を潜める。


 (距離200ちょっと。未だ気付かれてないってことは感知魔法を持ってないのか?)

 (だったら遠距離から狙撃する)


 俺は物陰に隠れながらも、白域感知はくいき・セインを常時発動させる。

 相手の位置に変わりがない事を確認する。


 警戒するのはまずあの女の能力。

 俺の推測が正しければ、間合いを詰められるとまずい。


 (問題は男の方の能力。背後に近づいてきた時、気配は感じ取れていた)

 (もし、瞬間移動の類なら、気付けなかった筈だ)


 それに殺傷性の高い能力を持っているなら、あの時俺を殺せていた筈だ。

 それが出来なかったという事は、奴の能力は攻撃系ではないのか?


 「まっ、考えてる暇はねえか」


 一度大きく息を吐き出し、相手の位置情報の最終チェックを行う。

 そして、感知を取りやめる。


 「複写展開フォージ・コード

 「術式番号01、アルシェリア式・光魔法コピー……起動!」

 「光槍ライト・スピア


 俺から見て、左前方下に向かって、圧倒的な密度で構成された光の槍が、音すらも置き去りにした、光の速さで一直線に飛んでいく。

 住人が直線方向にいないのは確認済みだ。


 「いっけえええええ!」


 直線方向に放たれた光の槍が、空気を歪ませ、直進する。

 建物が光槍の威力によって、抉れ削られ破壊される。


 「命中したか?」


 すぐさま俺は感知魔法に切り替える。

 相手の位置が少し変化している。だが死んでない。

 

 「だったら、もう一度──」


 もう一度狙撃しようと試みた時、逆に狙撃される。

 紫色のレーザービームが俺の横の石柵に命中し、崩壊する。


 「そう簡単にはいかないか」

 

 俺は再び、今度は雷魔法で狙撃する。


 「雷穿らいせんスラスト・ボルト」


 先刻の上空への狙撃以上にする為、魔粒子を多く取り込む。

 掌に極細の雷光が一点に収束し、槍のように射出される。

 密度を出来る限り高くし、威力と貫通度を上げる。


 ほぼ同時のお互いの攻撃が平行に飛来する。

 

 「ちっ」


 前方にローリングで回避する。

 地面に踵から着地し、摩擦で威力を殺す。


 「あっぶねー」


 再び感知魔法を発動する。

 だが、その瞬間激しい痛みが一瞬全身を襲う。

 

 「はあ、はあ。使いすぎたか」


 あの時ほどではないが、少し副作用が出始める。

 長期戦はまずいな。


 ? 位置情報が重なった?

 まさかどっちかに命中して、抱えてるのか?


 「次で決める」


 ────


 カイン・ヴォルグラードside


 「はあ、はあ」

 「お、重いですー」


 俺はオオナギヤレンと思える相手の狙撃で右肩と左太ももが負傷した。

 体全体も痺れ言う事が聞かない。


 「ちょっと、十剣ともあろう方が、無様を晒さないでくださいよー」

 「はあ、つっ──少し黙れ」

 「ていうか、神眼書全然役に立ってないじゃないですかー」

 「うるさい、黙れと言った筈だ」


 何故だ、なぜ神眼書が記した内容と違う。

 先刻もそうだった。学院の中には居なく、外に奴はいた。

 どう言う事だ? 予言が外れている?


 「どうしますー? 一度撤退しますかー?」

 「いや、悠長に構えている時間はない。何としても奴の因子を」


 今ここで撤退すれば、大凪夜蓮は別なやつに殺される。

 そうなれば、俺の夢が潰える。


 「と言っても勝ち目あるんですかー。化け物みたいな強さじゃないですかー」

 「あいつらはどうした?」

 「あーエイドとミレイアですか? 呼んでみます?」

 「ああ、さっさと呼び戻せ」

 「分かりましたー。今連絡しますねー」


 役立たず共が、何をしている。

 これだから、他人は信用できん。


 「あっれー」

 「? どうした?」

 「何か連絡取れないですー」

 「ちっ役立たずが。発煙筒を上げろ」

 「はーい」


 目の前の少女、セラフィナがだるそうに発煙筒を上空に向かって撃つ。

 ピンク色の煙がモクモクと広範囲に立ち込める。


 「何としてでも大凪夜蓮を殺す」


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