プロローグ
久しぶりの新作投稿です。異世界転移者です、よろしくお願いします。
朝7時00分の数字が眼前のディスプレイに小さく表示されている。
その瞬間現実に引き戻され、心臓の音が跳ね上がる。
「くそっ、落ち着け」
俺、大凪夜蓮はもう高校に行っていない。いわゆる中退というやつだ。
中学の後半からある事件によっていじめの標的になり、行かなくなった。
だが家庭の事情で通信制の高校は許されず、無理をして全日制の高校に通った。しかし、中高一貫校だった為環境は地獄のままで、結果ドロップアウトした。
それからの生活は想像を絶するくらいの辛さであった。
親からの精神的ダメージ、妹からのゴミを見るような目。そして何より世界から隔絶された感覚。俺が存在する事がマイナスに働く為、両親も妹も、まるで最初から俺が存在していない風に扱った。
結局誰からも理解を得られない事を悟った俺は現実逃避の道を選ぶ。
そこからは世界的に流行していたフルダイブ型ゲームにのめり込み依存していった。
俺が不登校になる前に買ってもらった機器なので、自由に扱えていた。
そしてその日から俺はVRMMO 『セブンスオンライン』に第二の人生を移した。
このゲームの良いところは何といってもソロでも最前線に到達できるというシステムだ。他のVRMMOでは中々そうは行かなかった。コミュ障で人間不信の今の俺にはすごく心地よい環境であった。
そして現在高校中退から二年と少しが経過した現在、俺の『セブンスオンライン』での地位は圧倒的な物となっていた。
最前線で戦うプレイヤーを先鋭と呼び、その中でもそのプレイヤーを独鋭と言う。そして独鋭には、ソロランカーという名誉ある称号を運営から授与されるのである。
そのソロランカーの称号を俺は授与されていた。
「今日は久しぶりに海底遺跡の探索でもするか」
この『セブンスオンライン』はオープンワールドになっており、広大なマップの端から端まで移動し探索できる。あまりにも広大ゆえ、未だに俺も全制覇はできていない。しかも高頻度でアップデートされ続けているので、プレイヤーが飽きない限り、味わい尽くすことはできないとされている。
「えっ、何だこのクエスト?」
俺はガゼル海を潜り海底遺跡に到着して、メニュー画面を開くと、クエスト一覧の画面に異変が起きていることを発見した。
それは新クエスト発生の合図でもあった。
「前来た時、こんなクエスト発生しなかったが⋯⋯ 」
それに攻略サイトにもこんなクエスト確かなかったような。
「⋯⋯ ⋯⋯ 」
まあいいか、隠しクエストの可能性があるし、それなら俺が最速クリア者になれるし。
俺はメニュー画面から発生した新たなクエストをタップして受注する。
すると眼前に奇妙な文字が不気味に表示される。
『クリアせし者、異界の扉開かん』
何だこのフォント?
それに普段の発生の仕方と違うような。
何か俺の中で嫌な予感がした。だが同時にとてつもない好奇心に晒される。
「面白え。ぜってえクリアしてやる」
俺は口角を鋭くあげて、ニヤッと笑った。
その次の瞬間、海底遺跡が突然大きく崩壊し、中から巨大なタコ型のモンスターが出現する。その大きさは絶句するほどだ。
「嘘だろ、おい。冗談じゃねえぞ」
本来プレイヤー側のレベル上限は現在300。敵側の上限は200となっている。
ちなみに俺のレベルはMAX300。
しかし、目の前の巨大タコはレベル400。バグでレベル表示がぶっ壊れたのか、はたまた仕様か。後者だと最悪だ。
「考えてる暇なんかねえ、落ち着け」
俺は現在持ちうる最高の武器『光輪剣アルティレイ』を右手に装備し、左手にはゲーム内最強の防御力を誇る盾『天盾セレスティア』を装備し、戦いに挑む。
巨大タコの触手の一本一本がとんでもない大きさに加えて、めちゃくちゃ素早く、盾で受け止めても、衝撃で吹き飛ばされるほど、一撃が重い。
「はあ、はあ。まじかよ」
俺はそれでも怯まず、今度は無詠唱の最上級魔法で応戦する。
『漆黒炎ラグナクリムゾン』
俺の炎魔法を被弾した巨大タコ型モンスターは、足の一本を失う。だが他の部位に燃え移る前に、足を切り離す。
「!? 知能があるのか」
レベル差のせいか中々相手の体力が減らない。
なのに無意識に俺は笑みを溢していた。
久しぶりの強敵にワクワクした。
「いいぜ、どっちが先に根を上げるか勝負だ」
その後、俺と巨大タコの戦闘は実にゲーム時間で数十時間、現実に換算すると四時間程続いた。
そしてようやく決着の時が来た。
「天聖アルカディア!」
俺はこのゲームの最強剣術スキルと謳われた天聖アルカディアを使用して足が全て失った巨大タコの胴体にぶち込む。
巨大タコは重く響く鳴き声をあげて消滅する。
「はあ、はあ。勝った」
俺はそうゆっくりと小さく言葉にして、疲労からか海底に倒れ込む。
ああ、まじで疲れた。つーか強すぎるだろあのボス。
俺はメニュー画面を開く。
しかしメニュー画面のクエスト達成一覧に今回のクエストが載っていなかった。
「は? 何でだ、ふざけんな」
取り敢えず運営に報告しよ。
いや、その前にログアウトするか。
俺がメニュー画面のログアウトボタンに手をかけようとした瞬間、目の前がブラックアウトした。と同時に闇に引きずり込まれる感覚を覚えた。
次に目が覚めた時、そこは見知らぬ異世界であった。
久しぶりの投稿になります。読んでくださって本当にありがとうございます。
しばらく間が空いてしまいましたが、また少しずつ書いていこうと思います。
今回は主人公がいきなり異世界で死にかけるというスタートでしたが、ここから物語が本格的に動きます。
主人公とヒロインたちの活躍にも大いに期待していてください。
面白いと感じていただけたら、ブクマ・評価・感想などで応援してもらえると励みになります。
次回もなるべく早く投稿できるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします!




