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星紋の守り手―そして、運命は動き出す。癒しの力と星の記憶―  作者: 高梨美奈子
闇纏いルヴィアン――選ばれざる者の物語
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ルヴィアンの力

塔の影に隠れた、小さな孤児院で。

三人の子供がいた。


一人は、すでに“星の巫女”としての兆しを見せていた少女ニーナ。

もう一人は、未来の“鍵守”となる安定した力を持つ少年セフィル。

そして最後の一人――影を纏うように、誰とも違う力を持った少年がいた。


「ルヴィアン」


それは、ニーナが彼に贈った名前だった。

名前を持たなかった彼にとって、初めて与えられた“意味”だった。


だがその名前は、同時に彼の運命を縛るものとなる。





幼い頃から、ルヴィアンには特別な力があった。

未来に迫る災厄の影を視る力。

そして、人々の心の闇に触れ、共鳴してしまう体質。


その力は、あまりにも未成熟な彼の心を蝕み、

人々の絶望や恐怖の波動を、彼自身が受け止めすぎてしまった。


その頃、ニーナは“癒し手の王”としての力も覚醒し始めていた。

まばゆい光を放つ彼女のそばで、ルヴィアンは自らの内に生まれる闇を知る。



ある日、魔法評議会の陰で密かに議論が交わされた。


「鍵守の適性は、やはりセフィルのほうが安定している」


「ルヴィアンは精神の不安定さと影への共鳴が過ぎる。危険だ」


「しかし、彼もまた見捨てられぬ存在だが……」


評議会は決断した。

鍵守はセフィルであるべきと。

記録にも何も残らない秘密の会議。



――ルヴィアンは、その道から外された。



ニーナはそんな彼に語りかけた。


「あなたにも意味がある。あなたはいつか朝に導いてくれる存在だもの」


その時、彼女はまだ知らなかった。

その名前が、彼を世界の秩序に縛り、封じることになるとは。


名前を持つことで、ルヴィアンは“鍵守にもなれぬ者”として“固定”され、

生きる場所を失っていった。

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