表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/82

呼応する目覚め

短めです!

深夜、禁書の間。

イリスは足元も覚束なく、封印の部屋に足を踏み入れていた。


「セフィル……あなたは、彼を知っているのね。

私……何か……すごく大事なことを、忘れている気がする……でも……何も思い出せない。

いったい――彼は誰なの?」


結界の中で、セフィルは目を閉じていたが、ゆっくりと目を開けた。


「……あれは……“闇纏い”と呼ばれている。封印された、最初の存在。

そして……前世の君に、名前を与えられた者」


「……名前?」


「そう。そして君と同じように記憶を継ぎ、魂を持ち越し、この世界に再び現れようとしている」


セフィルは目を伏せた。


「でも君は彼を選ばなかった。彼はその絶望で、闇に堕ちた。

そして今、君が目覚めたから……彼もまた、君の魂を探して現れる」


イリスは唇を噛みしめ、震える声で言う。


「私は……また間違えるの? 彼も、あなたも……私のせいで……」


セフィルは静かに首を振り、彼の目が、結界越しにまっすぐイリスを見つめる。


「君が覚悟を決めるなら、俺は力を貸す。

……君が真実に向き合うその時まで。

そして、今度は俺が守る。――たとえ君がどんな選択をしても、最後まで」


結界越しに、セフィルの手が、イリスの頬に触れようと伸ばされる。

けれどその直前、またしても地響きのような魔力の波動が学園を揺らした。


「来たな。……“闇纏い”が、完全に目覚める前触れだ」


イリスの目が覚悟に染まる。


「……行くわ、セフィル。王都へ。私の力が、誰かに奪われる前に。

そして、あなたも彼も……私自身も、もう逃げない」


セフィルは頷くと、静かに囁いた。


「……その覚悟に、俺の魔力も預けよう。――君が真実を照らすまで、俺は共に在る」


闇と光が、再びこの世界で交差し始めた。

――運命は、今再び、動き出す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ