六話 初のレアとワールドマーケット
「おっでたでた!」
俺は手の中にある指輪を見つめる。
・風の指輪 レア
風の力を宿した指輪 AGI+10
AGIが10も上がるのか。序盤にしてはなかなか強い装備じゃないのか?俺の種族的にAGIはそこまで上げる気はないから、いつかはコレクションになるだろう。
それにしても風の指輪か。ウルフの何処に風要素があったのかは分からないが、何はともあれ最初のレア装備品だな。レア堀りしてから大体一時間ぐらいか。ウルフは90匹いかないぐらいは狩ったか。
同じ敵を狩っているから敵の行動パターンが分かって途中からはかなり楽だったな。レベルもそれなりに上がって体力はかなり増えたし。あと、嬉しい誤算だったのは魔物誘引が結構使えるって事が分かった。最初はデメリットスキルかなと思ったけど、俺みたいな同じ敵を倒すのを目的としている人からしたら有能だ。
もちろんウルフ以外の魔物も出てくるので狩っている。ウルフだけを倒したいのだが、遮断系と隠密、隠蔽と忍び足セットを解くと周りの敵も気付いちゃうから結局倒すことになる。で、とりあえずアンコモン素材の確認だ。
・スライムジュエル 47個
・ホーンラビットの角 31個
・魔石・小 34個
・ウルフの牙 36個
ふむ。ウルフ以外も大体同じぐらいは狩っているからアンコモンの素材も大体同じぐらいだな。2~3匹に一つぐらいの感覚か?やはり出やすいのではないか?ユニークの超運と激運があるおかげか?ちなみにスライムジュエルが多いのは、スライムが他の魔物より出やすいからだ。それに後半はウルフ含めてほぼ一撃だったからな。ステータス強化スキルが徐々に上がっていったおかけだ。
さて街に戻って一度手持ちの素材を整理しようか。素材は基本的に売るのだが、アンコモンの素材はちょっち違う所で売ろうと考えている。って事で冒険者ギルドにやってきました。雑貨屋?みたいなとこでも売れるのだが、冒険者ギルドの方が高く買い取ってくれるのだとか。
一度街に戻った時に攻略サイトを見てどの素材が売れるのか軽く調べてきた。いやぁゲームしながらでも攻略サイトを開けるのは便利だな。それに纏められているから有り難い。攻略サイトで見た感じギルドで売っても良さそうなのはコモン素材とアンコモンの魔石・小だけだ。
魔石・小は換金素材みたいで1つ3千シルで買い取ってくれる。その他のアンコモン素材はワールドマーケットで出品すると良いのだとか。特にスライムジュエルは冒険者ギルドでは安いのだが、ワールドマーケットでは1万シルで売れる。
コモン素材と魔石・小で大体13万ぐらいになった。一時間狩っただけで結構稼げたな。それはそうと次はワールドマーケットだ。メニュー一覧のワールドマーケットの項目からいつでもいけるので、ノルジストの噴水広場に座ってワールドマーケットで出品する。
ちなみにワールドマーケットの他に自分で店を持ち、その店から売る事もできる。どっちもメリットデメリットがあるのでどちらが良いのかは自分のプレイスタイル次第だろう。ワールドマーケットは出品物の値段から1割自分が払って出品する事が出来る。最低金額は1000シルからになる。
スライムジュエルが47個あり、1万シルで出すなら手数料は1千シルになる。つまり全て出品するとなると4万7千シルになる。うーんかなり痛いが、全て売れれば47万シルだ。手数料があるのは何でもかんでもワールドマーケットに出されても困るからだろう。
ワールドマーケットに出品してからリアル1週間で自動的に出品が取り下げられる。これにより売れないゴミを出しても金がなくなるだけある。ウルフの牙は3千シル、ホーンラビットの角は2千シルで出品する。
売り上げは自動的に冒険者ギルドの銀行に振り込まれる。高い商品が売れてお金を受け取った瞬間にPKされてお金半分を失ったみたいな事があった為の対策だとか。まぁいちいち冒険者ギルドにお金を取りに行くのは面倒だが、逆に言えば預けて置けば必ず安全だからな。
あぁ、それはそうと売るつもりはないが、風の指輪だがワールドマーケットでは100万だった。高すぎだろ!まぁ攻略サイトでも書かれていたが、装備品のドロップ率は基本的にめっちゃ低いのだとか。出たらラッキーなので希少性もありこの値段。レア度高い装備品ならもっと高い。
まぁそれはそうと、ワールドマーケットに出品が終わったので俺は食料を買って鍛冶屋にいく。
俺もスタミナゲージはあるのだが、どうやって食べるんだ?と思って、兜のバイザー開けたら普通に食べれた。周りの人からは見えないが、俺はちゃんと口に携帯食料を運んで噛んで食べてる…謎仕様だ。
携帯食料をある程度買い込んでやってきました鍛冶屋!武器っていうのは耐久値があって、耐久値が1になると壊れはしないが、その武器の攻撃力が大幅に低下する。耐久値を回復するには鍛冶屋で研いで貰わないといけない。ということでお邪魔しまーす。
「おぅ、客か。今日はどうした?」
おぅー…。俺を出迎えてくれたのは身長2m以上ある赤鬼さん。オーガって種族だったかな?ちなみに武器防具屋兼鍛冶屋だそうで。
っていうか壁にちょっと高そうな剣や槍、斧や鎚が飾られてる。値段は……スライムジュエル全て売れても少し足りないか。だがかっこいいが、金で手に入れられる武器は希少性がないからコレクションには入らないな。
「武器を研いでもらいたい」
「了解した。……それよりお前さんリビングアーマーか?」
「俺の種族が分かるんですか?」
普段は人間が鎧来てるだけと思われていると思ったからこんな質問をされたのはちょっとビックリした。
「あぁ、珍しい種族だが魔王国にもいた。鎧を吸収して、己の鎧を強くする珍しい種族と聞いてるな」
「よくご存じで」
よくご存じでと言ってるが、俺全然知らなかったな。というか今まで風の指輪を掘ってたからすっかり忘れてたわ。
「まぁな。それで研いで欲しい剣をだしな」
「これです」
「こりゃまた随分使い込んでんなぁ」
すいません。耐久値1でも攻撃下がるだけで壊れないから、雑魚狩るにも不便は無かったんだ。
「そりゃどうも」
「褒めてねぇよ。これしかねぇのか?」
「そうですが?」
「なら同じ武器とは言わねぇが予備を持っておくべきだな」
予備か…。いいかもなぁ!それにちょうど試したいスキルもあるし。
「では鉄剣2本と鉄の鎧セットをください」
鉄の鎧セットは兜と鎧と脚鎧の3点セットだ。セットで買うと安くなる。鉄剣と鎧セットと鉄剣の修理で9万シル。まじでお金スッカラカンになった。大丈夫、ワールドマーケットで出してる物が売れれば……!不安になってきた…
鍛冶屋のオーガ旦那にお礼して外に出てみると、既に外は真っ暗になっていた。このAWFは8時間で1日が終わる。つまり現実の1日はこの世界では3日になる。
そしてこのゲームはずっとログインする事が出来ない。いや、ゲームというよりVRヘッドギアの長時間ログインはだな。所謂健康への悪影響の為だ。6時間に一度、1時間休憩しなければならない。まぁまだ4時間ぐらいしか経ってないのだが、一度ログアウトするか。
ログアウトするには宿に泊まる必要がある。俺は近くの安い宿に泊まることにする。1泊500シルと安い!お金はスッカラカンだけど500シルぐらいならある!
そんなやついないと思うが、お金ない奴は噴水広場とかでログアウトする。もちろんキャラは残ったままなので下手したらキルされるかもしれないが。
ログアウトボタンを押したら視界が暗転して、気が付けば真っ白い空間で椅子に座っていた。
『おかえりなさいませ、しゅうと様』
「ただいまナビ」
『休憩には時間が早いですが、健康タイマーを開始しますか?』
健康タイマー…名前がダサいが、このタイマーを開始すると強制的にログアウトし、1時間のタイマーが開始する。この間はVRヘッドギアには絶対にログイン出来ない。このタイマーが終わるとまた6時間ログイン出来るということだ。
「頼む」
そう言って俺は強制的にログアウト。ゆっくり目を覚まし、体を起こしあぐらをかく。この筐体、あぐらをかいても頭が当たらない程度には高さもあるな。そんな事を考えていると扉がゆっくり開く。
さてと、今は13時ぐらいか。初めてのVRゲームという事で浮かれていたか?まぁたまにはこの時間からお昼を食べるのもいいか。もちろん俺は料理なんて作る事が出来ないので外食になる。さて、今日は何を食べるかな。
読んでいただきありがとうございますm(__)m