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周回の終わりとデジャブなやり取り

この回で2章は終わりです。


おはようございます。今日は7月3日金曜日。ミカさんとキラービーを探しに行った日から11日が経っている。キラービーの巣を見つけた後なのだが、確かミカさんは一人で従魔を捕まえると言ったんだよな。確かあの時は


⋯⋯⋯

⋯⋯


キラービーの巣を見つけて、無計画に歩いていくウィルの後からついていく俺とミカさん。


「攻撃してこませんね」


確かにな。ミツバチは比較的温厚なのだが、流石にAWF内のミツバチも温厚というわけではないだろう。というか魔物として出てくるのだから、基本的に攻撃的だろう。


「さっき崖みたいに見えてた壁は結界なのさ。この結界に入れる人は襲わないんだ。まぁ無理やり入ろうとしたら一斉に襲ってくるけどね」


そう言いながら巨大な蜂の巣に入っていく。入り口もあるのか。しかも結構デカいし。ちなみにこの入り口は蜂用ではなく、蜂以外が使う入り口だそうだ。蜂用は、巣の頂上に穴が空いているから、そこから巣に入るようだ。あと、このキラービーの蜂の巣は、地面というか地上に建てられている。


「おぉー⋯。蜂の巣に入れるなんて、流石AWFだな」


「蜂の巣って人間からすれば結構脆いですけど、凄くしっかりしてますね。それにミツバチの巣というのは、基本的に鉛直方向に伸びる巣板と呼ばれる巣が多いのですが、このキラービーの巣はどっちかと言うとスズメバチの巣に似ている構造ですね」


確かに。巣の形は大きなボール型だ。というかやっぱミカさんの虫知識は凄いな。まぁそれだけ虫が好きなんだろうけど。凄く夢中で見回っているミカさん。まるで美術館に来た感じだ。


「でもやっぱりAWF内の蜂ですから、恐らく現実とは違う生態になっていると思いますね」


「まぁそうだろうな」


「ほら、こっち来て!蜂の女王様に謁見するよ?」


ウィルは巣の奥から下に向かう。いや階段あるのかよ。ということは、この下は地下になるのか。地下に降りていくと


「あれ?育房がありませんね」


育房って確かハニカム構造の部屋みたいな感じだっけ?確かに無いな。大きくて広いエリアがあるだけだ。しかもやたらと蜂が飛んでいる。特に部屋の中心に蜂が集まっていて、大きな蜂球みたいになっている。ウィルはその蜂球の前までいくと


「やぁこんにちは、女王様」


その声に反応して、大きな蜂球から少しずつ蜂が飛び去って、一際大きな蜂が姿を現す。女王様だ。人間ぐらい大きい働き蜂達の3倍ぐらいの大きさがある女王様。


「凄いです!可愛いです!触ってもいいのですか!?」


「うーんまぁ良いんじゃないかな?」


「凄いです!前脚はやっぱり硬いですね!大きいから胸部に生えてる剛毛まで手が届きませんね。触ってみたいですー」


す、凄いな。女王様が困惑していらっしゃる!しかし、それを気にせずペタペタと触り、じっくり観察している。


「流石にこの子を従魔にするのはダメですよね?」


「まぁ女王様が良いなら、良いんじゃない?」


「本当ですか!?」


「うん。新しい女王様はすぐ産まれるしね」


「あぁ、分蜂ですかね?」


「分蜂って確か、女王の引っ越しみたいな感じだっけ?」


「そうです!ミツバチというのは効率よくミツバチ社会を運営する為に、新しい女王を産むのです!働き蜂が増えすぎると、逆に運営効率が落ちてしまうからです!なので新しい女王を育てて、ある程度の数を引き連れて古い女王はお引越しするのです!」


「詳しいねフォルミカさんは!ただこの女王はずっとここにいて、新しい女王がこの巣から出ていくんだけどね」


「という事は、やはり現実のミツバチとは少し生態が違うと言う事ですね」


やはり現実と同じ生態ではないよな。育房もそうだけど、この大きさだから仕方ないか。


「それでミカさん、テイムってどうやるんだ?この女王の体力を少し削るのか?」


少し言葉は濁したけど、要はダメージを与えて屈服させる?みたいな事だ。まぁ虫好きのミカさんがそんな事をするとは思えないが、テイムってそんな感じでするんじゃなかったっけ⋯?


「そ、そんな事をしませんよ!」


「えっ?だってシルクちゃんをテイムした時もそんな感じでしたんじゃないのか?確か、サポート役ならシルクちゃんはどうやってテイムしたの?と前にそれとなく聞いた時に、ランダムスキル編成というのをして、サポート役でも何とか戦えるスキルを取得したと言ってなかった?」


「あ、あれはシルクちゃんと何とか戦えるという意味ではなく、シルクちゃんの元まで行く道中に出てくる魔物に対して、何とか戦えるスキルと言う事です!」


あっそういう事だったのか。なんか変な勘違いしてたわ。ミカさんにもう少し詳しく聞くと、そこまで強いスキルじゃないないみたいだ。まぁ確かに、ミカさんその戦闘スキル?使ってるとこ見たことないな。


というかシルクちゃんもミカさんがそんな事をするわけない!みたいな感じで抗議してくる。


「じゃあシルクちゃんもそうだけど、この女王様はどうやってテイムするんだ?」


「そ、それは⋯な、内緒です!」


「えっ?」


「る、ルヴァンシュさん!ここまで来れば、あとは私だけで大丈夫ですので!」


「えっ⋯いやせっかくだからテイムするとこ見ていこうかなと」


「だ、ダメです!それにテイムするには時間が掛かるんです!シルクちゃんをテイムした時も3日は掛かりましたから!」


「いや大丈夫だ――「ダメです!」――そ、そうか」


なんか凄い必死だな。まぁパーティと言えど、秘密にしたい事もあるか。


「分かった。じゃあ俺はここで帰るよ」


「僕は居ていいのかい?」


「出来ればいない方がいいですけど、ウィルさんいないと何が起こるか分からないのでお願いします」


「わかったよー」


「じゃあミカさん、頑張って」


「は、はい。ここまで一緒に探してくれたのに、本当に申し訳ありません」


「いいんだよ。もしテイム出来たら、女王様見せてくれ」


「それは必ず!」


「じゃ」


「僕が送っていくよ。だから守ってねー」


⋯⋯⋯

⋯⋯


って事で俺は帰って、その日はそのままログアウトしたんだよな。正直ここまで手伝ってテイムするとこ見せてくれないのは少し不満だが、あのミカさんの様子は本当に必死だった。なんか事情がありそうだ。まぁその5日後ぐらいにようやくテイムができたと連絡来てたけど。


ミカさんの虫探し手伝いを終えた次の日から、俺はまた忘却叡智の墓所でレア掘りを開始した。


もちろん前と同じ、毎日14時間の周回をする。朝は9時に起きて、朝食を食べて30分ジョギングをしたら10時にAWFにログイン。


昼12時にログアウトして昼食、13時にログインして19時にログアウト。夕食を食べて20時からログイン、深夜の2時まで周回してログアウトして就寝。みたいな感じでいくつもりが、なんやかんや休憩が多かったと思う。


あと腹立つ事に下振れて11日も掛かって、ようやく2個目の二重呪文の指輪(不)をゲットした。倒した数は1663匹。


リザルトは動く呪いの剣(リビングカースソード)を2874体。


◆ドロップ品

・呪いの剣の破片 コモン 5329個

・闇の結晶 アンコモン 3111個

・呪いの血 アンコモン 1742個

二重呪文(ダブルスペル)の指輪(不) レジェンド 2個


という感じだ。レベルも結構上がったし、ステータス更新もしないとな。


今は金曜日の13時だ。二重呪文の指輪は11時過ぎにドロップしたから、今はログアウトして昼間からビールを飲んでる。いやぁー!お目当てのレア装備ゲットして、ようやく次に進めるとなれば、酒も飲みたくなる!


「ぷはぁー!はぁ⋯染みる!」


レア掘りが終わるまで酒を我慢してたけど、我慢した後の酒ってなんでこうも最高なのか!今日はもうAWFにログインしないと決めている。ミカさんには予め、今日はもうログインしないと、AWF内でメールを送っている。ログインしたら気付くだろう。まぁメティスはログインしてたからそのまま伝えた。ミカさんがログインしたら、メティスから言ってくれるだろう。


それはそうと今日は何するか。んー⋯⋯そうだ!久しぶりに自炊してみるか!今日の夕飯を作りたいが、せっかく時間もある事だから、時間を掛けれる料理がいいな。それでいて俺が作れる料理は――


「カレーにしよう!」


流石にスパイスから拘るのは無理だが、固形ルーなら俺でも作れるしな。後は野菜だ。そうと決まればスーパーに行くぞ!


⋯⋯⋯

⋯⋯


買ってきました。さて、ここからカレーの作り方を動画で流しながら一緒に進めていく。


⋯⋯⋯

⋯⋯


ふ、ふぅー。食材を買って、動画を見ながら進めて、ここまで2時間も掛かるとは。だが、ようやく固形ルーを入れて後は煮込むだけの作業。煮込めば煮込むだけ美味しくなるらしいからな。


しかし、料理を全くしない俺でも何とか作れた。とはいえ、ジャガイモなんて酷い不格好な形だが、料理初心者の俺ならこんなもんだろ。少し味見を


「うん、カレーだ。美味い」


っていうか流石に作りすぎた。料理なんてほとんどしたことないから、作る量を間違えてしまった。こんな時は⋯⋯お隣さんにでもお裾分けでもしよう。


お隣さんの名前は村田さんだったな。俺よりも五つ下の25歳男で、ちょっとチャラい系の男だが、礼儀はしっかりしている。


まぁせっかくお裾分けするなら、少しでも美味しい方がいいし、19時ぐらいにでも渡しに行くか。


⋯⋯⋯

⋯⋯


はぁー⋯。ようやく19時だ。カレーを煮込むのは大変だ。底が焦げ付かない様に定期的に掻き回していた。4時間以上も掻き回してる人が本当にいるのか?焦げ付いてないか心配で火を付けながら放置なんて出来ないし。


ま、まぁ、4時間以上も掻き回したのだ!美味しいと言ってくれるはずだ!味見したけど普通に美味かったし。って事でカレーを少し大きめのタッパに入れて、隣の村田さんに持って行く。


ちなみに俺の家はマンションで304号室。村田さんの家は305号室。マンションの部屋は廊下の一番左は301。そこから右に行くにつれて号数が増えていくよくある感じで、307号室まである。つまり村田さんは俺の部屋の右にある。


村田さんの部屋の前まで着いた俺はインターホンを鳴らす。⋯⋯あれ?留守かな?もう一度鳴らしてみる。⋯⋯やはり出ない。でも電気は点いているんだがな。俺はコンコンとノックして


「村田さーん?」


⋯⋯やっぱ留守か。んー⋯あと1回だけインターホンを鳴らして、それで出ないなら明日持っていこう!という事でもう一回ポチッと。⋯⋯やっぱ出ないな。なら今日は諦めるかと俺の家に戻っていると


――ガチャ


扉の鍵が開く音がした。俺は振り返り、村田さんの家の扉を凝視する。するとドアノブがゆっくり回り、扉がこれまたゆっくりと開く。こちらからは扉の隙間から白くて長い物がゆらゆらと揺れているのが分かる。だが、何かまではよく分からない。


そんな事を考えていると、更に扉が開く。そして白くて長い物の正体が分かった。髪の毛だ。というか子供?小学1年生?いやそれよりも下か?ロングで白髪の子供が、扉の隙間からこちらを見ている。村田さんの子供?結婚はしていなかったはずだが⋯。一応声をかけてみるか。


「村田さんの娘さんですか?」


「ククク⋯私が子供に見えるの?」


「いや見えるだろ」


あれ?このやりとり⋯どっかで


「はぁ⋯君は意外と鈍いのよ。⋯⋯お隣の福島集人さん、ハローハローなのよ!」


俺の事を君と呼び、そしてこの独特な挨拶!お前まさか⋯


「め、メティス⋯⋯?」


「正解なのよ!」


「はぁあぁぁぁーーーー!?」


ミカさんがテイムの仕方を内緒にした理由の話はすぐ明らかになります。


読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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