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様々な家族の形


「おっしゃー!まずは1個目!」


出た!ようやく出た!動く呪いの剣から出たドロップ品を見なくても分かる!なぜならドロップ品は光の玉として浮いてて、それに手を触れる事でドロップ品を確認できる。色は白っぽい光の玉なんだけど、このドロップ品は黄金色に輝いている!


周回日数8日、周回数1211回。今日も出ないかー…と諦めかけた時に出た!やべー…!神々しい!さぁ…触れるぞ!


◆ドロップ品

・呪いの剣の破片

・闇の結晶

二重呪文(ダブルスペル)の指輪(不)


おぉー!これが動く呪いの剣から超低確率でドロップする装備品!さっそく鑑定してみよう。


二重呪文(ダブルスペル)の指輪(不) レジェンド

攻撃魔法を発動した瞬間、50%の確率で同じ魔法が発動する。発動した際の魔法はMP消費されない。(不完全)


いや強っ!?魔法を使う度に、二分の一の確率で同じ魔法が追加で攻撃する。しかもMP消費は無しと。


確かに魔法使い専用だな。俺も空間魔法は使えるが、攻撃魔法ではない。俺が使う事はないな。


っていうかこの装備のレア度、レジェンドかよ!ユニークすらまともに取れてないのに、その上のレジェンド…!


このダンジョンは初心者から中級者ぐらいの難易度で、わりかし早い段階から来る事が出来る隠しダンジョンだ。レアを掘ろうとするなら、結構敷居は低いはずだ。なのにこの性能のレジェンドがドロップする。そら超低確率も頷けるわ。


気になるのが名前の最後の不完全の部分。もしこれが完全という物があるのなら、100%の確率で攻撃魔法が追加で発動とか?うわ、ありそうー。


もしこの装備の完全があるのなら、レジェンドのさらに上、ワールドかゴッズ…。くぅー!早く強くなって掘りてぇ!


やべっ!もうすぐ深夜2時、健康タイマーが迫っている。ミカさんやメティスには明日伝えるか。どういう反応するか楽しみだな!


ログアウトして、歯磨き等を終わらせて布団に入るが、興奮して中々寝付けない。結局夢に誘われたのは朝の6時だった。


………

……


おはようございます…。今日は6月22日の月曜日か。今は……うわ、もう13時だ。昨日は遠足の1日前で興奮して寝られないみたいな感じだったから、寝るのが遅かったんだよな。


腹は……減ってるが、先に30分ジョギングしてからだな。って事でジョギングして、軽いご飯を食べてAWFにログインする。


『おはようございます、しゅうと様。今日は少し遅い起床でしたね』


「おはようナビ。昨日は良い事があってな」


『お目当てのレアが出たのですよね?私もここから観てましたよ』


「そうなんだよ!レジェンドってアイテムでな?あのゲームでは――」


『そうなのですか。それは貴重なアイテムですね。それでそのアイテムは――』


「出来れば実物をナビにも見せたかったのだがな。そうだ、実はこのアイテム――『しゅうと様』――ん?」


『私と話してから既に30分が経っています。貴重な時間を私に使っていただけるのはありがたいですが、AWFをプレイする時間が減ってしまいます』


「あれ?もうそんな時間が経ったのか。まぁでも、今日はゆっくりするって決めてんだ。ナビに色々と話したい事もあるしな」


『そう…ですか……』


「でさ、ワールドとゴッズのアイテムを――」


………

……


「いやー結構話してしまったな」


『貴重なお時間を、お話をありがとうございます』


「俺がずっと話してただけなんだけどな」


『……しゅうと様は何故、サポートAIなんかの私にお話を?』


「何故って言われてもな…」


『本来、私達サポートAIは、VR専用筐体を購入したお客様のサポートをする為に作られた存在です。言うなれば言葉を投げかければ、言葉を返す道具でしかないのです』


そのナビの淡々とした言葉に俺は少し淋しくなった。それでもナビの言葉は続く。


『私達サポートAIは、VR専用筐体を運営しているマザーと繋がっていて、マザーとサポートAIの全ては情報を共有しています。マザーの情報によれば、しゅうと様みたいに、積極的にサポートAIと話す人はほとんどいないのです。サポートAIは話し相手ではなく、ただの機械的なアドバイザー。ほとんどの人の認識はその程度のものなのです』


どうやらVR専用筐体を統括?しているマザーがいるみたいだ。そのマザーから他の人の情報を聞いたみたいだ。もちろん個人情報等は絶対に教えないが、他の人がどんな様子かみたいなのは結構教えてくれるのだとか。


サポートAIと話す人は、病気等で入院している人達が話し相手にと話すぐらいだ。まぁナビの言ってる事は分かるよ。AIに友達の様に話を聞いてもらうなんて他の人はしないだろう。というかAWF等、ゲームをしている人なら、ゲーム内のNPCと話してる方がまだ愛想がいいだろう。


確かに最初は淋しさを埋める為に話していた。AIでも話を聞いてもらえるなんて嬉しかったし、それにナビは俺のプレイを見ているから、一から十まで説明しなくても、ある程度理解してくれて話しやすいというのもあった。


それにこんなレア掘り周回の話、AWF内のNPCに話したところで理解してもらえるか分からんしな。


もちろんレア掘りは好きだし、レアな装備やアイテムを眺めながら酒を飲みたいが、極レアを手に入れたら、そりゃあちょっとは自慢したい。だから何でも話を聞いてくれるナビに、余計に話したくなるのだろう。


仕事場の同僚も話せば聞いてくれるだろうが、あっちはあっちで家庭もあるし、仕事もある。気軽に声を掛けづらくなったからな。


とにかく、最初は淋しさを紛らわす為にナビと話していたのだが、毎日健康タイマーギリギリまで色んな話をしているとさ、なんていうかさ…


「ナビ、俺はこれからもこの筐体を使うだろう。その都度ナビとは話すと思うんだ」


『はい』


「毎日ログインする度に挨拶して、ログアウトする時にはおやすみと言う。それって俺にとってはもう家族みたいなもんだ」


こんな事を周りの人達に話せば笑われるかもしれないな。それでも俺はナビの事をサポートAIではなく、一緒に暮らす家族の様に思っている。ナビの名前も俺が付けたし、愛着が湧いているしな。


『……家族…ですか…?』


「まぁでも、俺が勝手にナビの事を家族だと思ってるだけなのだが……その…ナビが嫌じゃなかったら、これからもそう思っていいか?」


『私は……正直分かりません……』


「そ、そうだよな。俺が勝手にそう思ってるだけだから、深く考えなくていいよ。じゃあ俺はAWFにログインするよ」


『はい。いってらっしゃいませ』


流石に難しい質問だったか。ナビを少し困らせてしまったな。まぁ俺が勝手に家族だと思って、これからも接すればいいか。そんな考えをしながらAWFへログインする。


『…マザー、私には分からない事があります。しゅうと様は私の事を家族だと思っています。だからこれからも、私を家族の様に思ってもいいか?と言われました。しかし私はその問いに何て答えたらいいか分かりませんでした。私は家族という言葉は知っていても、どういうものか知らないからです。マザー、家族とは何ですか?サポートAIの私でも家族になれますか?』


しゅうとがいなくなった真っ白い空間に無機質な声が響く。だがその声は無機質な筈が、どこか悲しい様な、今にも消え入るような声だった。


………

……


忘却叡智の墓所にあるどこでもセーフティルームで目を覚ます。


「今は17時か」


VRヘッドギアにログインしてから既に3時間か。ナビと3時間も話していたのか。だが後悔はない。むしろ話を付き合ってくれてありがとうだ。俺の自慢したい欲がだいぶ収まったからな。


もしナビと話をしていなかったら、この世界の居酒屋みたいなとこに入って、店員にレア掘り周回の苦労から出た時の嬉しい気持ちを3時間以上、永遠に語っていただろう。まぁあっちからはダル絡みされてると思われるのだろうな。


さて、メティスとミカさんはログインしてるかな?……メティスはログインしているが、ミカさんはしていないな。今日は月曜日で平日だし、平日は大体18時ぐらいからミカさんはログインする。


って事でメティスに連絡するか。一応このAWFは、フレンドがログインすると通知が届くはずだが、忙しかったりすると結構見逃すからな。


「ん…?メールが来てるな。誰だ?」


俺はメールボックスを開いて、誰からきたメールなのかを確認する。あーオウムライスさんか。確かメティスとミカさんとで旅をする前に、大量の食材を渡してたっけ。俺はオウムライスさんからのメールを開いて見る。


『ルーさん元気?オウムライスだよ!ちょっと前に食材を提供してくれたでしょ?その食材、ようやく全て料理する事が出来たよ!流石に6千もあると時間掛かっちゃたけど…。一応、新人ちゃん達の料理レベルはある程度上がったんだけど、食材提供はまだしてるから、また集まったら声かけてね!』


・ロックトードの串蛙 1983個

・ロックリザードのハンバーグ 1816個

・ダンジョン土竜の唐揚げ 2138個


やっぱりそうか。ロックトードの串蛙は、焼き鳥みたいな感じだな。しかし、森熊の肉で作った料理がまだ残っているのに、さらにこれだけの数。メティスは喜ぶだろうが、料理は当分いらないな。


メールの確認が終わったので、メティスに連絡する。



「メティス、いま大丈夫か?」


『ハローハローなのよ!連絡してくるってことはようやく出たの?』


「あぁ。長かったがまずは1個目だ」


『おめでとうなのよ!でも、そのわりにはあまり燥いでないのよ。嬉しくないの?』


「いや嬉しいよ。燥いでないのは、燥ぎ終わった後だからだな」


まぁ燥いだって言うと少し言葉は違うか?朝の6時まで興奮して寝れなかったのは事実だが。


『あーそういう事なのね。そういえば、少し前に蟻ちゃんが君に話したい事があるって言ってたのよ』


「ミカさんが?」


『私もどんな内容かは聞いてないから、蟻ちゃんが来たら聞いてみるのよ。まぁ蟻ちゃんから言ってくるかもしれないのよ』


「分かった。ミカさんがログインしたら声かけてみる」


ミカさんが来るまで何しようかな。今日はゆっくりするって決めてるからなぁ。そういえばアインスルトに来て一度も、アインスルトの街を散策してなかったな。って事で街を観光がてら散策しにいく。


読んでいただきありがとうございますm(_ _)m

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