本当の敵
誤字報告してくれてる方、ありがとうございます!
あと、感想見させてもらってます!ゆっくりでもいいので更新してくださいとか、この作品を評価してる感想とかすごく嬉しいです!返信はこれからちょっと控えようかなと思いますが、ちゃんと読んでいると伝えたかったです!更新頻度は遅いですが、少しずつ更新していきますのでよろしくお願いしますm(_ _)m
忘却叡智の墓所7階層。
ここまで来るのにさらに1時間掛かった。やはり5階層から上位種が出てきたのが大きいか。さほど強くはないにしても、敵の耐久性が上がった。
オークゾンビなんかはスラッシュ1発で倒せない。無駄に体力が多いのだ。かなり厄介だったな……臭いも。
ちなみにこのダンジョン、ドロップ品が無い。最初は倒した敵が落とすドロップ品を無視するのは勿体ないと思っていたのだが、サモナーリッチを倒す事で全ての魔物が消滅する。
なので次の階層に進む前に、ドロップ品を回収しようとしたが、何も落ちて無かったのだ。召喚された魔物からはドロップ品が落ちないようだ。
ならサモナーリッチのドロップ品は?となるのだが、これまたドロップ品が無い。運営に力を抑えられているからなのか…。
真意は分からないけど、本来であればもっと強いだろうし、まだまだ先のエリアで出てくる魔物がこんな場所で出てきて、その魔物のドロップ品を簡単に入手出来るみたいな事を防ぎたかったのか。
つまり、このダンジョンでドロップを落とすのはボスだけである。しかもこれはメティスに聞いたのだが、ここのボスから落ちる装備品は通常よりも落ちにくい仕様になっているらしいとか。だがその分性能は破格で、それこそドロップすれば一括千金、魔術師であればこの装備だけで火力がぐんと伸びる一品だとか。
ただ、これは叡智の探求から聞いた話で、そのレア装備の名前だったり、どういう能力なのかは謎だとか。
持ってる人が数人はいるらしいのだが、トップ勢でイベントだとかでPvPがあったりする。手の内を明かしたくないのだろうから、効果内容は秘匿しているのだろうと、メティスが言っていた。
効果内容云々は正直どうでもいい。問題はドロップ率の低さだ。正真正銘、ガチのレア物だ。それをドロップした時の快感を味わいたいじゃないか!ワクワクするなぁ!
って事で、到着しましたボス部屋前!このダンジョンは7階層がボス部屋だ。なんか中途半端だな。だが、初心者〜中級者の間ぐらいの強さならこれぐらいが妥当なのかね。
「さて、メティスとミカさんも一緒にボスへ行くだろ?」
「いきます!」
「わ、私は遠慮するのよ…」
「どうしてだ?」
「だって私は戦えないし、居ても邪魔なだけなのよ。それに寄生虫みたいな事するのも嫌なのよ」
「そうか。なら最初だけは一緒に行こうぜ?」
「そうですよ!私が守りますよ!」
「…いいの?」
「ほら、登山とかでもよく言うだろ?最初の景色は皆でみたいって」
「……仕方ないのよ!そこまで言うならついて行ってあげるのよ!っていうか、そういう言葉は登山とか、夜景とかそういう場所だから感動するのであって、こんな場所で言われても感動しないのよ!」
「ま、まぁ確かにここはアンデットとかが徘徊する場所だから雰囲気は台無しですね…」
「い、いいだろ別にどこで言おうが!同じ景色を見たいのは本当のことなんだからよ!」
そんな傍から聞けば恥ずかしいような話をしながら、俺達はボス部屋の扉の前まで来る。
「じゃ、開けるぞ?」
俺の言葉に二人は頷いて扉の先に入っていく。少しの浮遊感があり、たどり着いた所は大広間のフィールド。大広間ってところは風の草原のダンジョンと同じだな。
ふむ、ダンジョン自体は図書館っぽかったのだが、ここはガラリと風景が変わってるな。周りは本棚ではなく、石造りの大広間って感じだ。そして大広間の真ん中には一振りの赤黒い剣が突き刺さっている。
色はあれだが、某伝説のマスターなソードみたいな、神秘的な光景だ。剣の色はどす黒いが。
剣の周りには六柱の石柱が囲んでおり、まるで祭壇の様な、長年封印されている剣を彷彿とさせる。
すると何処からともなく、人型の様な者がそれなりのスピードで飛んでくる。これは…ボスはレイス系か。
そのレイスは六柱の石柱を一回りして、剣の前に移動する。そして、そのどす黒い剣を抜き――
「キィーー!」
と甲高い声を発して威嚇する。これがここのボスの登場演出だ。登場演出が終わると、周りにミカさんやメティスが現れる。
まずは鑑定っと
・大死霊
人間の魂が怨みや憎しみ等の怨念により魔物化した死霊が、更に長年怨念を溜め続け、進化した姿。物理による攻撃は無効で、魔法でしか倒せない。特定のアイテムを使えば物理でも倒せる。
「ミカさん!こいつはレイス系だから俺がやる!メティスを守ってくれ!」
「分かりました!」
「さぁ行くぜ!」
俺はエルダーレイスに向かって走る。相手もそれに気付いたのかこっちに向かってくる。
「おらっ!」
キィンと、剣と剣がぶつかり合った音が鳴る。俺が剣を振るのに合わせてエルダーレイスも剣を合わせてくる。
このエルダーレイス、死霊系なのに剣を持てるのか?念動みたいに浮かせて、持っている様に見せているのか、それとも何らかのスキルで剣を本当に持っているのか…。
そんな事を考えていると、エルダーレイスは距離を取り、突きをしながら飛んでくる。俺はそれを下から打ち上げるように、相手の剣をいなす。
だが流石はレイス系、上に威力をいなされても、それに逆らわず、上の方へ飛んでいく。普通の剣士であるなら隙が出来ると思うが、浮いてる相手は面倒だな。
相手はまた少し距離を取り、そして先ほどと同じで突きながら突っ込んでくる。
「さっきと同じ攻撃か!舐められたものだな!」
俺はギリギリで突きを躱し、横薙ぎに剣を振るう。だが――
「ちっ!」
エルダーレイスも横薙ぎをリンボーダンスの様に躱す。しかもその体勢で反撃をしてくる。くっ!?反応出来ず、俺の手から剣を弾き飛ばされる。
俺は素早く、【空間収納】のスキルからもう一本の鋼剣を取り出し、聖水を鋼剣に掛ける。既にエルダーレイスからの追撃が来てる。
当たり前だが、体の可動域が半端ないな。人間の体っぽい姿だが、腕は鞭のような変則的な攻撃をしてくる。
二度三度打ち合い、鍔迫り合いになる。
「レイスのくせに一丁前に剣士の真似事か?だがなぁ、俺もお前と似たような事ができるんだよ!」
俺は弾き飛ばされた鋼剣に【念動】と【空間属性付与】を掛けて、鍔迫り合いをしている後ろから――
「《スラッシュ》!」
「キィァアァー!」
おぉー!エルダーレイスとはいえ、防御はやっぱりペラッペラだな!流石に一撃では倒せなかったが、半分以上は削れている。
俺は自分の持っている鋼剣にも【空間属性付与】を掛けて、悶絶しているエルダーレイスに
「これで終わりだ回転――」
スラッシュはクールタイム中だから、威力が落ちる回転斬りでトドメをさそうとしたら、エルダーレイスから魔力察知の反応が!
右手で鍔迫り合いをしているのに、左手で魔法攻撃かよ!エルダーレイスの左手に黒い魔力が集まり
――ドンッ!
と衝撃が襲う。ダメージはさほどないが、ノックバック!剣を振りながら魔法とは器用な真似を!だが、念動を極めつつある俺も器用な真似は出来るんだぜ?
俺は走りながら思いっきりエルダーレイスに向かって鋼剣を投げる。当然、エルダーレイスは俺の鋼剣を避ける。その隙を見逃さず俺はエルダーリッチに攻撃を仕掛ける。これまた当然、エルダーレイスは俺の攻撃に備えるが
「残念!《スラッシュ》!」
俺の目の前でエルダーレイスは真っ二つになり、カランカランと、どす黒い剣が地面に落ちる。
どういう事かと言うと、最初から鋼剣に【空間属性付与】掛けて投げる。当然避けると踏んで俺は攻撃を仕掛ける振りをして、最初に投げた鋼剣に【念動】を掛ける。
攻撃が来ると踏んでいるエルダーレイスは俺の攻撃に備えるが、後ろからさっきと同じようにスラッシュを叩き込んだ。最初に走ったのは、【念動】はある程度距離が近くないと発動しないから、近付いて距離を稼ぐのと、攻撃をカモフラージュするって感じだ。
これ分かってても避けられなくね?って俺は思う。正直、AIですら反応出来ない様なズルだが、まぁ俺の周りにそれ以上のチートがいるからこれぐらい問題ないだろ。
そんな事を思いながら振り返り
「おーい終わったぞー!」
「凄かったです!でもすいません、私何も出来なくて…」
「まぁ相性の問題もあるからそれは仕方ないよ」
俺はミカさんと話していると、眷属蜘蛛に乗ったメティスがやってくる。
「お疲れ様なのよ!まぁ私は君の事なんて心配し…て……っ!?ルヴァンシュ後ろ!!」
「はっ――」
金属と金属を思いっきりぶつけた音が鳴ると同時に、俺の目の前の景色が物凄いスピードで流れ、俺の右脇腹辺りに鈍痛が響く。直後、六柱ある内の一柱が折れて倒れ、凄まじい音が鳴り響く。
そう、俺は何かに思いっきり右脇腹を叩きつけられ、吹き飛んだ。そして石柱に激突したのだ。ボスは倒したはずなのにどういう事だ?
幸い俺の防御力は高いから三割ぐらいしか削れてない。いや、俺の防御力ですら三割も削れたといった方がいいか?
スタン状態か?俺は頭がクラクラしながら、立ち上がる。ミカさんというか、シルクちゃんが戦っているのか戦闘音が聞こえる。俺はようやくまともに頭が働くようになってきて、周りを見渡す。
するとエルダーレイスが持っていた、どす黒い剣が禍々しいオーラを放ちながら独りでに動きまわっている。何だあれは?……まさか!鑑定
・動く呪いの剣
動く剣の特殊上位種。動く剣自体は死霊系なのだが、動く呪いの剣は人の手で実験された改造生物になる。そのどす黒い色は実験で多くの血を取り込んだからなのか、それとも多くの者を殺し、大量の血を取り込んだのかは定かではない。
やられた!こっちが本当のボスだったのか!よくよく考えれば、エルダーレイスの鑑定情報には武器を扱うなんて情報は無かった。だが、反省はあとだ!
恐らく俺と似たような種族か。まぁ特殊進化して少し違う系統にはなってるが。俺はすぐさまミカさん達の加勢に行く。
「ミカさん、加勢に来た!」
「ルヴァンシュさん!良かった、無事だったんですね!」
「あぁ、スタン状態だったから加勢するのが遅れた。それよりメティスは?」
「メティスちゃんは眷属蜘蛛で後ろに退避してもらってます!」
「把握した!ミカさん、奴にもシルクちゃんの硬糸が効くはずだ!」
「それが、硬糸はあの剣の攻撃力が高いせいか、斬られてしまうのです」
火力型か?だが、リビング系は防御も高かったはず。あとは魔法系だが、やはりここは空間属性付与か。空間属性付与の貫通攻撃ならダメージが入ると思うが、消費MPが残り少ない。だが、やるしかないか。
「何とか動きを止める事ができれば…」
「それならシルクちゃんに任せてください!敵を引きつけてくれるなら、私が隙を見て動きを止めます!」
「了解だ!」
俺は【念動】で鋼剣を動かしながら、俺も呪いの剣と打ち合う。二対一だが悪く思うなよ!
普通に打ち合ってるだけじゃ、呪いの剣の体力は減らない。やはりこの呪いの剣もギミックとかあるのだろう。だが、それを落ち着いて探してる暇がない。メティスが隠れてるとはいえ、何かのきっかけでメティスがターゲットになれば困るからな。
そんな事を考えながら呪いの剣と二対一で鎬を削る。すると早くもその隙が出来る。俺と鍔迫り合いをする中、後ろからも念動で挟み込む。
「ミカさん今だ!」
「分かりました!シルクちゃん《粘糸》!」
シルクちゃんの腹部が念動と俺の剣で挟み込んでる呪いの剣に向けられて、糸を放出する。
よし!ギリギリまで引きつけて……今だ!俺と念動は咄嗟にその場から引き下が――れない!?こ、これは…
「ばっばかな!?」
俺の体に黒いチェーンの様な物が巻き付いてやがる!
「そ、それは闇魔法、闇の束縛なのよ!」
遠くからメティスの声が響く。クソっ!こいつ危険を察知して俺も巻き添えにしようとしてるのか!相変わらず賢いAI様だ!もちろん粘糸は止められるはずも無く、俺と呪いの剣をガッチリ捕まえる。
「る、ルヴァンシュさん!?」
「勘違いするなよミカさん!俺は縛られる趣味なんてないぞ!このまま呪いの剣ごとやれ!」
「で、でも…!」
「こいつは賢い!次に動きを止めるとなれば必ず警戒する!だから――やれ!あと俺はドM――「分かりました!」――おぉっ!?」
粘糸はベタベタで身動きが取れない。そこにシルクちゃんが近付いてきて、俺と呪いの剣を粘糸ではない糸でグルグルにする。そして何故かシルクちゃんの腹部らへんに糸が繋がっている。
そしてシルクちゃんが思いっきり走り出して――
「どわあぁぁー!」
「――!」
鞭の如く俺&呪いの剣をダンジョンの壁に叩きつける。
「ちょちょちょっ!?これ技なんですか!?これどういう技なんで――おわぁぁー!?」
「――!?」
呪いの剣も予想外の攻撃で困惑してるような金属音を出している。そしてまた襲ってくる衝撃!すると
――パキ
と罅が入る音が聞こえた。まさか呪いの剣さんが限界!いや俺も少なくないダメージ負ってるんですが!俺も限界なんですが!?そして否応なく体が物凄いスピードで引っ張られる。
「シルクちゃん優しく!優し――ぐはっ!?」
――パリン
そんな悲しい音と共に呪いの剣さんはポリゴンとなって消えていく。ナイス……ファイト…!
「おーい…生きているの?」
「な…何とか…」
「ルヴァンシュさん!やりましたよ!私達とルヴァンシュさんのチームプレイで呪いの剣さんをやっつけました!やっぱり私達って相性良いですよね!」
「そ…そうだな……」
…あれ?これなんかデジャブ?ま、まぁミカさんが楽しそうならいいか。そんな俺に回復ポーションを掛けてくれるメティス。何気に初めてのポーションなのだが、そのポーションは何故か俺の心にも凄く染みた。
読んでいただきありがとうございますm(_ _)m




