異様な魔力
外食で食事を済ませ、健康タイマーが終わるまで適当に時間を潰してAWFにログインする。
今は夜の19:30分ぐらいか。次のログアウトは1:30分ぐらいだな。この間にボス手前までは行きたいところだ。
さて、皆んなはと…メティスだけログインしているな。丁度横のリビングにいるな。
「おいーすメティス」
「ん?ハローハローなのよ!」
「ミカさんはまだきてないのか?」
「来てないのよ」
「そか、なら先に飯…スタミナでも回復させるか」
「何か出してくれるの!?」
「料理はめっちゃ余ってるからな。逆に食べてくれると助かるわ」
オウムライスさんのギルド的には食材をお金で買うより、料理で返したいとか言ってたし、お金で買い取ってくれとも言いにくいしな。ってかまだ6千ぐらいの料理を受け取る事になってる。
「そうだ、前に出した料理とは別の料理があるぞ」
「本当なの!?」
「あぁ、これが森熊肉の餃子に、森熊のコロッケ、森熊肉のベアカツだ」
「おぉ!どれも美味しそうなのよ!」
いただきます!と言いながら食べ始めるメティス。さて俺も、餃子を食べてみるか。
――はむっ
ん!?すげぇ!噛んだ瞬間、パリッとした皮の中から、餃子の中に詰まっていた肉汁が一気に溢れ出した!しかも既にタレが付いているのか…美味いな!
食べてる最中にミカさんもログインしてきた。
「すいません、少し遅れてしまいました!」
「いや、俺らもさっき来たところだ。ミカさんも座ってスタミナ回復しないか?」
「この料理おいしいのよ!蟻ちゃんも食べるのよ!」
「あっはい!では、お言葉に甘えて」
他愛もない話をしながら料理を食べる。不思議だな。ついさっき外食してきたのに、このゲームの中でも料理を食べるなんて。やっぱ皆んながいるからなのか、外食よりも美味しく感じてしまう。
相変わらずメティスは大食いで、森熊の餃子とコロッケ、ベアカツを3皿ずつ食べてたな。
「さて、腹ごしらえも終わったし行くか!」
「はい!」
「今度こそ攻略するのよ!」
ちなみに聖水は高品質ではないが、大量に受け取っている。持ち運び錬金釜に入れておけば、ログアウト中でも勝手に作ってくれるとの事だ。流石はスキルレベル300で解放されるスキルだな。便利すぎるだろ。
セーフティルームから外に出て、戦う準備をする。聖水を俺の鋼剣に振りかける。念動で動かす用の鋼剣にもだ。鋼剣は聖水を振りかけると淡い青色に光りだす。これが魔力を宿っているという事になる。
ちなみに時間は15分間だな。高品質だと20分なのだが。
「部屋に入ったらすぐに敵が湧くだろう。俺は魔法を撃ってくるスケルトンメイジとレイスを相手にする。ミカさんはメティスを守りつつ、周りの雑魚を頼む」
「分かりました!」
「レイスやスケルトンメイジが片付いたら合図をする。合図したら次の部屋までいく。それを繰り返してボス部屋まで行こう」
「離れていてもパーティならボイスチャットは出来るから、それでいいと思うのよ」
「メティスは何か気付いたら報告してくれ」
「分かったのよ!」
「じゃあいくぞ!」
俺の合図で部屋に飛び込む。飛び込んでからすぐに、あちこちから敵の気配を感知する。
まずはスケルトンメイジやレイスが出てくる前に、進めるだけ進もう。俺は走りながら正面の敵だけを斬り伏せながら突破していく。
これじゃあドロップ品は拾えないが、目当ての物はここのボスだし、今回はスルーでいいだろ。
隣の部屋に続く、ボロい木で出来た両扉をタックルしてぶち開けながら部屋に入る。すると目の前に大量のゾンビやらスケルトンが固まっていた。
「こいつら扉を開ける知能はないのか?」
そんな疑問を持ちつつ、敵を倒していると
「君、魔法が来るのよ」
メティスの言葉通り、奥から魔法が飛んでくる。それも結構な数の火魔法だ。俺は出来るだけ魔法に当たるようにして、ミカさんやメティスの被弾を少なくする。まぁタンク役もするってことだな。
それにしても何故魔法が飛んでくるのが分かったのか?という疑問は今は置いといて、まずはスケルトンメイジを蹴散らす!
さっきの魔法で大体の位置は分かったからな。俺はその方向に向けて走り出す。
「いたっ!」
やっぱここらへんに固まってるな。同じ場所に固めて魔法の火力を上げているのか?とりあえず蹴散らすか。
『ルヴァンシュさん、こっちにレイスが!』
『スケルトンメイジを蹴散らしたからそっちに戻る!少し耐えててくれ』
本当にここのAIは厄介だな!前衛が敵の魔法部隊を蹴散らし動いところを狙って、後衛にレイス投入かよ。こっちに魔法使いがいればいいのだが、生憎いないからなぁ!
見えた!数は6匹か。じゃ、本当に倒せるか聖水の力を見るか!
「《念動》!」
俺は念動を使い、剣を空中で動かしながらレイスを斬る。今回はスラッシュは無しだ。すると斬られたレイスは真っ二つになり復活はしなかった。
おぉ、聖水の力すげぇな!これで大分楽になるな!レイスは厄介だが、その特異性故なのか、防御力はペラペラだ。スラッシュを使わずに一撃だ。
「よっしゃ!蹴散らしながらどんどん先に進むぞ!」
………
……
…
「どんだけ湧くのが早いんだよ!」
ある程度このダンジョンを進んでみて分かった事がある。このダンジョンには通路みたいな場所はなく、大きな部屋の先には大きな部屋、その先も大きな部屋と続いている。
つまりこのダンジョンは扉はあるが、1つの巨大な部屋みたい構造になっている。割と大きなダンジョンだ。そしてもう一つ分かった事がある。
「この扉、なんか豪華だな」
「恐らくここが下層にいく階段なのよ」
「でもこの扉、開きませんよ?」
そう、この豪華な巨大な大扉は閉まっている。開けようと力を入れても、壊そうとしてもびくともしない。つまり何かギミックを解かなければ開かないという事だ。
「厄介だな。ギミックとはいえ、何か気が付いた事はあったか?」
「私は戦闘に集中していたので――」
「むっ…?」
ミカさんが喋り終わる前に、メティスが何かに反応した。
「どうしたメティス?」
「隣の部屋だと思うのだが、異様な魔力を放つ魔物がいるのよ。それに他の雑魚よりも多い魔力なのよ」
「メティス、さっきも魔法が来ることを察知したり、今も異様な魔力を放つ魔物がいると言ってるが、どうして分かるんだ?」
「どうして分かるって……?」
なんか呆れたような目でこちらを見る。なんだよその阿呆を見る目は
「おい、なにか言いたい――ちっ!もう追いついてきたか!」
「言いたいことは後でたっぷり馬鹿にしてあげるから、さっさと隣の部屋に行くのよ!恐らくこの扉が開かないのもそれが原因なのよ!」
「馬鹿にするの確定じゃねぇか!」
「メティスちゃん!ルヴァンシュさん!言い争ってる場合じゃないですよ!シルクちゃん、眷属ちゃんいくよ!」
ミカさんの言葉で俺達は走り出す。このダンジョンずっと走ってばっかなんだが!俺達は走りながら隣の部屋へ乱暴に入る。
「おわっ!?なんだこの数!」
「この部屋凄い数の魔物がいますね!」
「恐らくさっき言った異様な魔力を放つ魔物を守っているのよ」
「確かにこれだけの魔物がいるなら、ここに何かありますよって言ってるようなもんだからな」
「《力の音色》!《防御の音色》!眷属ちゃんお願い!」
「俺はレイスと奥のスケルトンメイジを倒してくる!その後に例の強敵だ!」
「いや君はメイジを倒したらそのまま例の強敵に行くのよ!」
「だがそれじゃあレイスがそっちにいくだろ?」
「安心するのよ!少しだけ私が食い止めるから信じるのよ!」
「……分かった!頼むぞ!」
「蟻ちゃん、ちょっとだけ私を守ってほしいのよ」
「お任せください!」
メティスとミカさんのやり取りを背に聞きながら走り出す。先ずはスケルトンメイジだ。この部屋に入った時から既に感じてるこの異様な魔力。
恐らく中ボスか、扉を守る番人と言ったところか。早々に倒したいところだが、戦っている最中に邪魔されるのも鬱陶しいし、先にスケルトンメイジを倒す。
……いた!やはり固まっていたか!念動を動かしながら目の前の敵を斬り刻んでいく。念動の動きも大分なれてきたな。
「これで全部か。……あれは!」
ちっ!やっぱりそっちにいくか!大量のレイスがミカさんとメティスの方へ向かっているのを目で捉える。
ここで応援にいきたいところだが、メティスは信じろと俺に言ったんだ。なら俺はさっさと強敵を倒しに行くか。
………
……
…
やっぱりきたのよ!
「蟻ちゃん!大量のレイスが来るのよ!少しばかりレイスの注意を引きつけておくのよ!」
「分かりました!」
戦闘自体が初めてで、今まで戦うことをしてこなったから、上手くいくか分からないけど…。メティスは一枚の羊皮紙の様な紙をひろげると――
「あんまり詠唱は得意じゃないのよ…。火の精霊よ、その火は息吹となりて敵を焼き尽くさん!蟻ちゃん下がるのよ!火炎の息吹!」
フレアブレスと唱えた瞬間、紙が消え去り赤色の魔法陣が目の前に現れる。その魔法陣から熱波の様な強烈な火が辺り一面に広がる。
火の中級範囲魔法、火炎の息吹。恐らくはルヴァンシュのところまでは届いてないと思うのよ。まぁ届いたところで死にはしないと思うのよ。
「凄いです!大量のレイスが全て倒せてます!メティスちゃんは火魔法が使えるのですか?」
「違うのよ。あれは魔紙といって、魔法を魔力が付与された紙に封印した物なのよ。魔紙を使えば誰でも、その封印された魔法を使える便利アイテムなのよ」
「へぇー!そんなアイテムがあるんですね!」
「正直、またレイスが来たらお手上げなのよ。まだ数はあるけど、あれ結構良い値段なのよ。そうバンバン使える代物じゃないのよ」
「では、私達もルヴァンシュさんの手伝いにいきましょう!」
「ち、ちょっと!急に眷属蜘蛛を動かさないでほしいのよ!びっくりするじゃないのよ!」
そう言いながら、必死に眷属蜘蛛にしがみつきながらルヴァンシュの元へ向かう。
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