魔王国第三図書館
今日からまたちょくちょく更新していきます。のんびりまったりやっていきます。
「問題ありません。ようこそ魔王国へ」
俺達は関所を通って魔王国領土へ入る。他国から魔王国へ入るには必ず関所を通らないといけない。関所を通らないと不法入国となり、捕まればかなりの金額を罰金しないといけなくなる。
入国手続きの際に水晶玉の様な特殊な魔道具を使うのだが、それが入国手続きをしたのかや、指名手配されてないかを簡単に調べられるみたいだ。
入国手続きには入国料が必要なのだが、高級馬車の利用料金に含まれているので、払わなくて良い。高級馬車に乗らず、普通に関所を通る場合は幾らか取られるみたいだが。
高級馬車は基本的に他国と提携してやっている事業みたいな感じなので、高級馬車は入国料を取られない。ちなみに、普通の馬車も国同士の事業なので入国料は取られない。
「そう言えば、エリアボスって倒さなくても次の街に行けるんだな」
俺の何気ない疑問に女聖騎士ティスとミルラが答える。
「基本的に倒さなくても大丈夫だ。森熊に関しては少し特殊でな、森熊を倒さないとエンリットには入れないのだ」
「確か森熊は元々、エンリットの先にある新緑の森の頂点捕食者だったはずなんですけど、タイラントボアという大きな蛇にその地位を奪われ逃げ出したみたいな設定だったとおもいます」
タイラントボアは今では新緑の森のエリアボスになってて、新緑の森の中心に陣取っているのだとか。ちなみに新緑の森というのは、少し前に高級馬車で入った森のことだ。
森熊はその地位を奪われ逃げ出して、エンリット付近で人間を襲って捕食している設定みたいだ。だから森熊を倒せないと、エンリットには入れない。
なのでエリアボスは必ずしも倒さないといけないボスではない。倒さないと絶対に入れないエリアとかもあるのだが、ほとんどは倒さなくて良い。そのエリアのボスってニュアンスの方が強いみたいだ。
そんな話をしていると
「お客様、間もなくアインスルトに到着します」
もう到着か。意外にも退屈しなかったな。これもティスさんやミルラさんが居たからかな?
「そうか、ルヴァンシュ殿達はここで降りられるのだったな」
「そうだな。名残惜しいがまた何処かでだな」
「もしよろしければフレンドになりませんか?」
「おぉ!それはいい考えだな!メティス殿もどうだろうか?」
「私は別にいいのよ。ここで会ったのも何かの縁なのよ」
心なしか何となくメティスは嬉しそうだな。って事で始まったフレンド登録会。俺は男だから、俺もお願いとは言い難く見ていると
「ルヴァンシュ殿もお願いしてもいいだろうか?」
「私もお願いします」
「いや俺はいいのだが、本当にいいのか?」
「あぁ、私達は活動場所から基本的に離れることが無いから、こういう旅は久しぶりでな、特に魔族領には知り合いがいない。何かあれば助けてほしいのだ」
「もちろん、私達も力になれる事があればお助けします」
ってな感じに言われたので、フレンド交換をすることになった。なんかミカさんの目つきが鋭かった気がするが。
そして高級馬車はアインスルトに到着してティスさんとミルラさんと別れる。
「少しの間だが楽しかった。また何処かで」
ティスさんがそう言って高級馬車は動き出す。さて、ようやく着いたか。俺はずっと馬車の後ろから景色を見てたから分からなかったが、結構大きな街だ。
アインスルト入り口には門番が立っており、関所で使った水晶玉の様な魔道具にここでも手を翳す。もし関所で入国手続きをしてないと、街の入り口の魔道具で簡単にバレてしまう。
街に入るためには必ずこの魔道具に手を翳さないと入れないので、不法入国とか一発で分かるのだとか。こういうところは、魔王国は徹底してるみたいだ。
アインスルトの街にはそれなりの人がいる。パッと見た感じだが、ヒューラルよりかは人が多そうだ。
で、この街の特徴と言えば大きな図書館だ。魔王国第三図書館と呼ばれる大きな建物は円形になっている。図書館は領主館よりも大きく、如何にこの街で重要なのかを示しているように見える。
「すぐに行くの?」
「そうだな、準備はしてきたからな」
「わ、私は何時でも大丈夫です!」
って事でそのまま魔王国第三図書館に突入だ。あっ、図書館に入るのにお金必要だった。安い値段だがメティスにお世話になりました。
図書館の中は円形に本棚が並べられていて壮観だな。円通路の左右の壁に本棚が並べられているから、本に囲まれている様な感じだな。
円形エリアに一箇所だけ本棚が設置されてないのだが、そこが階段になっている。登りも下りも一つの階段で繋がっているから、そのまま最上階まで行ける。
階段は大きな螺旋階段みたいな感じで円になっている。で、この図書館は五階建てになっているのだが、その一番上の階、五階に隠しダンジョンがあるのだとか。
さて、五階にやってきた。一通り通路をぐるっと回るが、何もおかしい場所があるようには思えない。メティスはじっくり観察していたが。
ふーむ…隠し階段とかあるのか?何処かの本を押せば本棚が動くとか。だが、五階に置かれている本棚はかなりあるぞ。その中から一つ一つ本を調べるのは大変だ。そんな事を考えていると
「あっ、ルヴァンシュさん!」
「ん?ミカさん、どうしたんだ?」
「メティスちゃんが隠し部屋に入るヒントを見つけたと言ってたので、ルヴァンシュさんも来てほしいと」
「本当か!?さすがメティスだな」
俺とミカさんはすぐにメティスの元に向かう。メティスは一つの本棚の前で、顎に手を当て、考えながら立っている。
「来たぞメティス。ヒントを見つけたって本当か?」
「うむ、この本棚にヒントは隠されているのよ」
この本棚にヒントねぇ…。俺とミカさんはその本棚を確認するが、俺はどこにヒントがあるか分からない。
「あれ?これ…」
「蟻ちゃんは気付いたの?」
「たぶんですけど…。この本棚、違うジャンルの本が色々あるなーって」
「正解なのよ!図書館にある本は、大体ジャンルで分かれていて、横の本棚を見てもそれは明らかなのよ。でもこの本棚だけは違うのよ」
確かに!料理のレシピ本みたいなタイトルに、誰かの日記のタイトル、魔物の生態の本等、規則性が全く分からない本が並べられている。
「こういうのは大体、タイトルの最初の頭文字だけをを読んでいれば言葉になるものよ」
メティスが言った通り、上の頭文字を右から、左からと読んでいると、意味のある言葉が繋がった。
「れきしの赤い本?」
「恐らくは、歴史ジャンルに置かれている赤い本を探せばいいのよ」
ってことで歴史ジャンルが置かれてる本棚に来ました。歴史ジャンルの本棚って結構あって、この中から赤い本探すのかぁってなったが、赤い本はすぐに見つかった。
本棚の真ん中に場違いなほど浮いている赤い本がある。しかも周りの本棚に赤い本がないから、これだけ不自然なんだよな。
まぁ謎解きしなくても、最悪自力で見つけられるようにしているのかな?
「何をしているの?早く赤い本を押してみるのよ!」
「わかったよ」
メティスは赤い本を押したいけど、身長が届かないみたいだな。
「なんか変なこと考えてるの?」
「いえなにも……」
危ない危ないと思いつつ、俺は赤い本を押す。すると赤い本が置かれている本棚と対称に置かれている本棚、つまり俺達の後ろの本棚が動き出す。
「すごいですね!」
「ありきたりだが、ワクワクするのよ!」
「だな!」
本当はメティスを介して情報の叡智から謎解きの答えを聞けたが、そんなものは面白くないと意見が一致したから謎を解いたが、やはり自力で見つけるのはいいな。もし答えを聞いてたら味気ないものになっていただろう。俺はほとんど何もしてなかったが。
俺達の後ろにあった本棚は、右の本棚と重なる様に動き、隠し通路が出来る。
「じゃ、いくか」
「はい!」
メティスを肩に乗せ、ミカさんと一緒に隠し通路を進む。最初は下に下る階段だが、すぐ階段が終わり、一直線の通路になる。するとすぐに、目の前に木で出来た古い扉が現れる。俺はその扉を開け、ゆっくり中にはいる。
中に入るとそこは小さな小部屋で、部屋は少し暗く、ここも本棚に囲まれている。だが、本棚は埃まみれで、長年掃除されず放置されてたのが伺える。
そして小部屋の真ん中には台座?の上に石板が置かれている。そしてその近くに黄色く光る石、ダンジョンストーンが浮遊している。
――パンパン
その音に俺は反応して、その音の方に顔を向ける。するとメティスが適当に本棚の本を手に取り、本に付いた埃を手で払い、その本を読みだす。
「ふむ、ダメなのよ。劣化が激しく読めないのよ」
「長年放置されてたって感じだな」
「メティスちゃん、ルヴァンシュさん、この石板に何か書かれてますよ」
ミカさんの言葉に俺とメティスは台座の上にある石板に近づく。台座は俺のお腹ぐらいの高さまであるから、メティスは俺の肩に乗る。
少し暗いが確かに何か書かれている。なになに?
「過去の叡智、ここに眠る」
「どういうことでしょう?」
「まぁ普通に考えれば隠しダンジョンに何か関係するんだろうな」
「叡智というのは本の事なのよ。隠しダンジョンになってるあたり、ここは一部の人間しか知らかったはずなのよ。それが何かの手違いで後世に伝える事が出来なかったか、あるいはわざと後世に伝えなかったのか…」
と、メティスは顎に手をやり考え出す。まぁ考察はメティスに任せるよ。俺はストーリーなんてどうでもいいからな。ここのボスは一括千金出来るレア装備を落とすんだろ?楽しみだなぁ!魔法職専用とメティスは言ってたけど、売ればかなりのお金になるって事はコレクションとしては申し分ない!
「さっ行こうぜ!」
「はい!」
メティスはまだ考え中だが放って置こう。そういやぁ、メティスを肩に乗せたままダンジョンストーンに手を触れて中に入ると、メティスも一緒にはいれるのだろうか?メティスもダンジョンストーンに手を触れないと一緒にはいれないとか?考察中だから邪魔するのもあれだし、ちょっと試してみるか。俺はダンジョンストーンに一人で触れて隠しダンジョンの中にワープする。
「おっ、入れた入れた」
メティスは…いないね。やっぱメティスも触れてないとダメだったか。まぁすぐ追いかけてくるだろう。で、ここが隠しダンジョンか。
一言で言うなら荒らされた大きな図書館って感じだな。そうそう、最近気づいたのだが、このダンジョンストーンやポータルストーンの近くはセーフティゾーンになっているらしく、魔物誘引を発動していても魔物は近付いて来ない。
ポータルストーンとか弄ってる最中に攻撃されてワープキャンセルとかされたら腹立つしこれはありがたいな。おっ、メティスとミカさんが来たな。
「君!なんでダンジョンに入るって言ってくれないのよ!おかげで尻餅ついたじゃないのよ!」
プンプンと怒りながら俺の足らへんをポコポコ叩いてる。
「わ、悪かったって。メティスもそのままワープ出来るかなって思ったんだよ」
「でもメティスちゃん、ちょっと可愛かったです!尻餅ついたとき、ふにゃって言ってました!」
「言ってないのよ!ちょっとびっくりしたから驚いただけなのよ!」
こりゃ当分機嫌が悪くなりそうだなー。その内この事は忘れてそうだけど。さて、それじゃダンジョン攻略といきますか!
読んでいただきありがとうございますm(_ _)m




