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二十四話 メティスとミカさんのファーストコンタクト


さて、軽く朝食を食べてまだ30分ぐらい時間があるな。いつもは攻略サイトとかを見て、AWFについて調べているのだが、今日は違った事をしよう。


何をするか、それはオウムライスが言ってた天風・蘭の動画を見てみようと思う。って事で動画配信サイトで天風・蘭のワールドキッチンを調べるとすぐに出てきた。チャンネル登録者数も50万を突破していて中々に人気だな。


動画はコンスタントに上げているみたいだな。うーん、どうせなら俺が食材提供をした日の動画を視聴しようか。確か5日前だったな。俺は5日前に上がっている動画を視てみる。


『何時でもどこでもワールドキッチーン!クラン、ワールドキッチンのリーダー天風(あまかぜ)・蘭だよ!』


【モツなるべ】「待ってましたぁー!」

【栗筋豚】「最近の生き甲斐ですわ!」

【汚リーマン】「今日のツマミに」

【塩抜き塩ラーメン】「テンプラさん今日も可愛いなぁ」

………

……


天風ってあまかぜっていうのかよ。てんぷうかと思ってました。しかしこの天風さん、動きやすい革鎧の軽装で黒髪のポニーテールをしている美人さんなのだが、どう見ても戦闘職なんだよな。弓背負ってるし、料理クランのリーダーには見えない。


『だから私はテンプラじゃなくて、天風蘭(あまかぜらん)なの!ってのは今はどうでもよくて、伝えることがあります!』


そう言った天風さんが大きな家、クランハウスに入り、地下に向かう。するとそこは大きな調理場で色んなプレイヤーやNPCが和気藹々と調理をしている。


『お陰様で、ワールドキッチンのメンバーは300人を突破したよ!ここには厳正な審査を突破した料理人達がいるのよ!あと料理を覚えたいNPCだね』


ワールドキッチンのメンバーは300人だが、他の中小クランと提携していて、食材を買い取っているのだとか。そして、その食材で作った料理をワールドマーケットで販売する。ワールドキッチンの100品料理詰め合わせとか良い値段なのだが、飛ぶように売れるらしい。大手クランとかも買うのだとか。


『でもね、どうも食材が足りなくてね。ウチはお金はあるんだけどね…。新しく入った新人には料理をいっぱいしてレベルを上げて貰いたいんだけど、食材が足らない。って事で今日からプレイヤークエストを発注したのよ!今回は新人のレベル上げだから、報酬は出来れば料理でお願いしたいのだけど…』


【バラード】「俺の手持ちに料理ありすぎて全然減らないのだが!?」

【もう牛】「ここのリスナーだから、食材提供すると料理で返ってくる。色んな料理があるから、俺のストレージ埋まっちゃてるよぉ……」

【モノクロパンダ】「金なら提供してやるぞ?おらっ!金出せ!」

………

……


中々カオスなコメ欄だな。ちなみにワールドキッチンのメンバーは250人が料理係、50人が食材調達班である。リーダーも食べる方専門なのだとか。なんじゃそりゃ。そんな事を考えながら視ていると知った顔が配信に飛び込んでくる。


『リーダー!プレイヤークエストで食材を提供してもらったので持ってきましたよ!』


『ライスちゃん、いいところに来たわね!で、どうだったの?』


『クエストを受けてくれたほとんどの人はお金で払ってくれと』


『まぁそうよね…。皆お気に入りの料理を持ってるだろうしね』


『でも、一人だけ料理で渡してくれって言う人がいましたので、そちらの方を優先に料理をした方がいいですよ!』


『ならパパっと終わらせましょうか。その人が提供してくれた食材は?』


『はい!森熊の肉1914個ですね!』


『分かったわ。じゃ森熊の肉1914個………1914個!?どっかのクランリーダーなの!?』


『たぶん最近始めた初心者じゃないかな?ビックリするよね!』


【メンタルとうふ】「一人でクラン並の食材提供するの草」

【ゴリ若丸】「森熊が何したっていうんだよww」

【怠惰でボッチ】「1914個全て料理は流石に大変すぎて草」

【不特定多数の悪魔】「森熊からレアを狙っていたのかな?やっぱ周回勢は頭おかしいわw」

【長い工程で作られた水】「森熊「シテ…56シテ…」」

【メルシー】「もう何回も56されてんだよなぁー」

………

……


『いきなり忙しくなったわね!今動ける料理班は森熊の肉を調理!出来上がったら私が少し味見するので!』


と号令すると、一斉に森熊の肉を使って料理が始まる。作る料理はバラバラすぎるとストレージ内がぐちゃぐちゃになるので、ある程度決められている。


そして天風リーダーはただ見ているだけで、出来上がったら料理を味見する係である。ステーキを一切れ食べて満面の笑みを浮かべてグッドサイン。これリーダーとしてどうなんだ?と思うが、皆天風リーダーの笑顔を見れて嬉しそうだから俺は何も言わない。


これワールドキッチンというより、料理してリーダーの可愛い笑顔を見たいクランじゃないのか?まぁ皆楽しそうだから良いのか。


おっと、動画を見てたらもう健康タイマーが終わっていた。動画はここまでにしてログインしようか。


俺はナビと少し話してログイン。エンリットの宿屋で起床し、まず確認するのはメール。特に無し。フレンド確認。おっ!メティスとミカさんがいるな!


ミカさんがこの時間帯にログインしてるのは珍しいな。土曜日だからかな?メティスも最近ログインしてなかったけど、今日はログインしてたな。さて、まずはミカさんに声を掛けるか。


「ミカさん、こんにちは」


『ルヴァンシュさん、こんにちは!』


「今何をしているんだ?」


『これから何しようかなと考えていたところです!ルヴァンシュさんは何をするのですか?』


「俺は周回が終わったのでメ……フレンドに素材を買い取って貰おうかなと」


『……そのフレンドさんは女性ですか?』


「うん?まぁ…そうだな」


何でそんな事を聞くんだろうか?まぁ確かに女性なんだが…幼女ですとは言えないよな。


『私もお会いしても大丈夫でしょうか?』


「んー…まぁ大丈夫だと思うけど、一応聞いてみるよ」


って事でメティスに連絡をする。メティスに連絡するとすぐに返事が返ってきて、今から合流するとの事。俺がパーティを組んでるフレンドがいるのだが、メティスに会いたいと言ったら、問題ないと言ってたな。って事でエンリットのポータルストーンの近くで、皆と合流する事に。


「ルヴァンシュさん!」


「おっミカさん!周回手伝ってくれてありがとうな」


「いえ、私も楽しかったです!」


そんな他愛もない話をしているとポータルストーン付近にメティスが現れる。俺はすぐメティスの近くに行き、片膝をつく。それは傍から見れば、王女……いや幼女に忠誠を誓う騎士の様に見えるが、実際は肩に乗せないとまたブーブー怒られるからいち早く行動しただけなのだが。


実際、俺とメティスはいつも通りなのだが、これが実は掲示板でちょっとした話題になっているのはまた別の話。そして何の躊躇もなく俺の肩に乗るメティス。それを見たミカさんは


「えっ?あの?えっ?」


そりゃまぁそういう反応になりますよね。いきなり膝をついたかと思えば肩に幼女だから。この子わがままなんですよ。


「ミカさん、この子が俺のフレンド、素材を買い取ってくれるメティスだよ」


「なにがこの子なのよ!ちゃんと大人の女性と紹介するのよ!」


と、俺の兜をペチペチ叩く。前は歩幅が違うとかで肩に乗せろと幼女を活かしまくっていたのにな。


「アレのことは言っていいのか?」


「良いのよ。どうせ有名な話なのよ」


「そうか。あーミカさん、メティスはちょっと特殊な病気でな、こんな見た目だが大人なんだ」


そう言うとミカさんも何かを察して何も言わなかった。たぶん子供はこのゲーム出来ないのを知ってたから、特殊な病気と聞いて察したのだろう。


っていうかなんで俺が説明してるんだ?自分で自己紹介すればいいんじゃないのか?と思うが口には出さない


「あ、あっはい!私はフォルミカです!こっちは従魔のシルクちゃんです!」


ミカさんの肩から頭だけを出してこちらを見る蜘蛛。それをメティスはジーッと見つめると、急にシルクちゃんがビクッとして背中に隠れる。


「えっ?えっ?」


ミカさんが急に困惑するなか俺は


「メティス、それはマナー違反だろ」


「君のパーティに相応しいか私が見定めたのよ。私の合格が出なければパーティは認めないのよ!」


いやメティスはどの立場から物を言っているのだろうか?俺の方に乗っているから立場はデカいかもしれない…


「で?鑑定した結果は?」


「……合格なのよ」


合格かい!意地悪して不合格と言うのかなと思ったら、そこは素直だった。


「あ、ありがとうございます?」


「ミカさん、隠蔽スキルは持ってる?」


「あっはい!攻略サイトには他人の許可なく鑑定をする人がいるみたいなので、取ってたほうが良いと書いてましたので」


「その、ミカさんは気付いてないかも知れないけど、今ミカさんの許可なく鑑定されたのよ。ログを確認して」


この分だとシルクちゃんだけじゃなくミカさんも鑑定してるだろうな。


「あっ本当だ!全然気付きませんでした!」


ほらやっぱり。


「なんか設定で、鑑定とかされた場合、音が鳴る様に出来るから、それをONにすると良いよ」


「分かりました!設定しときます!」


「メティスもマナー違反なんだから謝ったらどうだ?」


「わ、悪かったのよ……蟻ちゃん」


「いえ!私は気にしてませんよ!」


まぁミカさんが優しい人でよかった。……ん?いや待て。なに蟻ちゃんって?ミカさんのこと蟻ちゃんって呼んだの?しかもミカさんもごく普通に受け入れて会話してるし。


「メティス、なんで蟻ちゃんなんだ?」


「そんなのこの子が蟻ちゃんだからに決まっているのよ。虫好きみたいだし」


「はい!虫は大好きです!」


いや答えになってねぇー!いやミカさんが蟻ちゃん?どゆこと?


「それより私もパーティに入れるのよ。少し話したいことがあるのよ」


「えっなに?この場じゃ駄目なのか?」


「周りの連中に聞かれると面倒なのよ」


「あっ!もしかして宿屋で内緒話ですか?」


「察しがいいのよ、蟻ちゃん。さっ、君!早く宿屋に行くのよ!あとパーティ申請送るのよ」


完全に部下の騎士をこき使う幼女様である。まぁミカさんとメティスのファーストコンタクトは最悪で無かったから良かった。いや最悪じゃないのが奇跡じゃないのか?いきなり自分のあだ名?を蟻ちゃんって普通の人なら怒ると思うけどな。そんな事を考えながら宿屋に向かうのだった。


宿屋に着くとパーティって事で三人部屋に案内される。案内される前に


「おや?パーティかい?それにしても可愛い娘さんだねぇ」


と宿屋の主が言ってミカさんは顔を赤らめ、メティスはあからさまに不機嫌になっていた。幼女がしてはいけない顔になっていた。それを察した宿屋の主が顔をそらしていたからな。NPCでも失言はあるのか。俺はメティスが暴れる前に行動し、三人部屋に急いで入る。


「で、話ってのはなんだ?」


「まぁ待つのよ。私さっきログインしたばかりだからスタミナが無いのよ。ちょっと回復するのよ」


「そういえば、最近全然ログインしてなかったな。なんか体調でも壊したのか?」


「違うのよ。寝てたのよ」


「えっ?三日も?」


「そうなのよ」


俺はミカさんの顔を見るが、ミカさんも驚いているな。可愛いクリクリ目をパチクリしている。


詳しく聞けば、三日寝ていたのも特殊な病気のせいなのだとか。人には眠くなる理由が二つある。一つは疲れたら眠くなる。もう一つは夜になると眠くなる。これは簡単に話してるだけで、もっと複雑なメカニズムがある。


この前者の理由だが、簡単に言えば脳や体が疲れたら、体は無意識に眠くなる物質を出すのだとか。それが溜まり眠くなるのだが、普段メティスは体を動かさない為、体が疲れないこと(車椅子や寝たきりではない)。


そして脳が疲れても睡眠を促す物質を出すのだが、メティスは常人の脳とは違う脳で、脳の処理速度が恐ろしく速いのだとか。普通の人間がメティス並の処理速度なら、すぐに脳が疲れて寝てしまうのだとか。


だがメティスの脳はそれが普通というより、その処理速度でさえ全く脳が疲れないのである。そして後者の夜になると眠くなるってやつだが、人は一定の時間になると眠くなる働きがある。常人の人では23時ぐらいとかかな?子供の場合はもう少し早いみたいだが。


この一定時間になると眠くなる事を生体時計機構と呼ばれていて、疲れとは関係なく、その時間になると眠くなるという事だ。脳の奥にこの働きをする部分があり、夕方ぐらいから徐々に睡眠を促す物質を出して、夜に眠くなるというシステムなのだが、メティスにはこの生体時計機構の働きが無いのだ。


つまり夜に眠くなることもないし、常人の脳とは違い、脳が異常に強力?なので全く疲れることもないので、いつも4日〜5日寝てないそうだ。


ただ4日〜5日も脳を動かせば徐々に疲れは溜まり、寝てしまうと2日〜3日起きないそうだ。そういうサイクルみたいな日常をしているのだとか。


そう話しながら携帯食料を食べようとするメティス。お前も携帯食料か。


「メティス、料理あるけど食べるか?」


「いいの?」


「まぁ全て肉料理だけどな。森熊の肉大量にあったから」


「あぁ、まえのプレイヤークエストなのね」


とりあえず俺とミカさんとメティスの分を置いてスタミナ回復する。メティスは幼女だから木のスプーンを貸してあげる。手が小さいから箸は持ちにくいのだとか。


で、食べ始めたのだが……


「ふぅー…美味しかったのよ」


「す、凄いですねぇ…メティスちゃん」


「食べすぎだろ」


メティス、森熊のステーキ、森熊の生姜焼き、森熊肉の野菜炒め、森熊丼、森熊肉の角煮を各2皿ずつ食べたな。


「普段からこれぐらい食べるから、こっちでもこれぐらい食べないとやる気が出ないのよ」


いやさっき携帯食料で済ませようとしてたよな?まぁこの、子供ながらにして大食漢なのも特殊な病気のせいだ。


脳が異常発達しているせいか、人よりも脳に対してエネルギーを使う量が半端ないのだとか。


そして、メティスの体は食べ物を消化し、エネルギーにするスピードも早いのだとか。ここまで聞けばもう同じ人間ではなく、新人類かと思ってしまうな。


まぁ体が小さいせいで、メティス自身は綺麗に食べてるつもりだが、口の周りはベトベトになっている。それを頻繁に拭いてあげるミカさん。


メティスも拭いてくれるのが当たり前と思っているのか、特に何も言わない。しかもミカさんが「美味しいですか?」とニコニコしながら聞いて、メティスが「美味い(うま)のよ!」と言っている。ミカさんは虫も大好きだが、可愛い物も大好きなのだとか。メティスは人だけど。


メティスが満足したみたいで、食休みをする。まぁゲームの中だからしなくていいのだが、俺はこの、のんびりとした時間も悪くないと思っているから問題ない。さて、メティスはこの後、どんな話をするのかね?


ちなみにフォルミカはイタリア語で蟻です。あと、メティスは脳が異常に発達しているが、リアルでの見た目は普通の幼女です。


読んでいただいてありがとうございますm(__)m

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…てんぷらさんの料理の腕って如何程で…?
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