二十二話 本格的な周回と危険な魔法のレベル上げ
さて、ロックゴーレムを周回!と、その前に風の草原のダンジョンが縮小されたって事を確かめてみようか。あとは【地図】の確認もだな。
ちなみにフォルミカさんは基本的に夕方からのログインしか出来ないみたいです。理由は言ってなかったけど、恐らく学生とかやってるんじゃないのかな?と1人納得してます。
って事で入り口から入ってみることに。おや?ポータルストーンとは別にクリスタルの様な物が浮遊している。それに触れると
《風の草原のダンジョンに入場しますか?》
へぇー、こんな感じに修正したのか。ダンジョンストーンだってさ。風の草原のダンジョンにそのまま入ろうとすると、謎のバリアが張られて入れない。あっ、こっちはこんな感じか。ちなみに浮遊するクリスタルは今のところこんな感じ。
青いクリスタル=ポータルストーン
赤いクリスタル=森熊再戦の様なボス周回ストーン
黄色いクリスタル=ダンジョンストーン
ってな感じです。じゃ、はいを押して中に入りましょう。
【地図】はこのワールド全てに適用されるみたいで、地図を広げることでレベルが上がるみたいだ。一度行った場所の地図は消えることがないので、出来るだけマップは埋めていきたい。もちろんダンジョンにも問題無く使えるので、面倒だけど全て埋めていく。
「おぉー……マップ縮小したからなのか、敵が多いな」
もちろん隠密系をフルに活用してます。けど、前より集まってくる敵が多いな。マップ縮小だから敵がリポップすると、敵と敵との間隔が狭まって、魔物誘引の効果範囲に、敵が余計に引っかかっているのかな?前はダンジョンが広すぎて敵と敵との間隔が広かったしな。
それでも結構集まってたけど、修正前の2倍ぐらい集まってないか?まぁ通路は広々としているから、問題無く進めるのだが。で、マップなのだが、結論から言えばめっちゃ縮小されている。
時間的にいうと30分→15分ぐらいで一階層の探索を終えるぐらいには縮小されている。まぁ敵と一切戦わなければの話だがな。
そんな感じで50分ぐらい掛けて最下層に到達しました。1時間掛かってない!あと当たり前だけど、他のプレイヤー?NPC?は見なかったな。NPC単体だったらダンジョンストーンじゃなくて、そのまま入り口から入れるんじゃないのかな?NPCが一緒のパーティならダンジョンストーンからでも問題なく連れていけると思うな。
さて、本格的にロックゴーレムの周回を始める。
………
……
…
「ふぅー」
俺はVRヘッドギアを外す。とりあえずお疲れ様です。ロックゴーレム周回から約8時間。朝、2時間周回して昼休憩で1時間。13時から19時の6時間。討伐したロックゴーレム数は190匹。キリの良い数字で一旦止めた。200匹までいきたかったが、健康タイマー的に190匹が限界だった。
討伐タイムは2分30秒前後だ。ロックゴーレム左足を壊し、核辺りを鋼戦鎚で殴るのは良いが、どうしても一度のダウンで討伐しきれない。そこを何とかすれば、1分台で倒せると思うんだよ。
ダウンした後、一定時間すれば足やコア周辺が修復されるのだが、その修復されてる時間はどうも無敵時間で修復が完了する時間もちょっと長い。それがタイムにも影響している。
まぁ別に、本気でRTAをしているわけじゃないが、こういう周回って、どれだけ早く倒せるかみたいな事をしてないと飽きるし、何より一度のダウンで倒せればかなり時間短縮が出来そうだから頑張っているわけで。
つまり何が言いたいかというと、別にRTAには興味ないが、でもタイムをかなり短縮出来そうなら本気でRTAみたいな事をする矛盾。だめだ、俺疲れて意味分からん事を心の中で喋っている。とりあえず休憩しよ。
………
……
…
夕食を済ませて休憩後、再度ログイン。俺はすぐにボス部屋前――ロックゴーレム――へ行く。そうそう、ロックゴーレムから希少素材とレアゲットしましたわ。魔物図鑑からロックゴーレムを開く。
・ロックゴーレム
人間の手によって生みだされた魔法生物。コアが周囲のマナを吸収し、蓄える事で戦闘時でも問題無く動く事が出来る。
◆ドロップ
・ロックゴーレムの欠片 コモン
・土結晶 アンコモン
・ゴーレム核の欠片 アンコモン
・鉄の鎧
ですわ。まぁ色々と言いたいことは分かるよ?じゃ、まず一つずつ。まず土結晶、お前アンコモンかよ!っていうね。俺も今気付いたわ!だって出やすいしいつもの流れ的に参加賞はコモンかな?と思うじゃん?
初めてのロックゴーレムを戦った時に鑑定したけど、参加賞は正直どうでも良かったからちゃんと見てなかったな。まぁ土結晶って明らかにレアそうな名前だから気付けよって話。実際のレアリティはレアではなくアンコモンだけど。
で、希少素材がゴーレム核の欠片。レア度は土結晶と同じだけど、明らかにこっちのが出にくい。土結晶もそうだが、正直使い用途が全く分からん。これは周回終わって売る時にメティスに聞けばいいか。
んで最後よ!鉄の鎧って…。実はこれ鉄のインゴットがあれば同じ物を鍛冶屋で作れてしまう。正直コレクションに入れるかどうかめっちゃ悩んだのだが、まぁ入れるか…となった。
まぁ鍛冶屋で作れる物と何が違うの?って言われれば、装備スキルが付与されてるかどうかだな。当たり前だが、鍛冶屋で作る鉄の鎧は装備スキルは付与されてない。
そしてボスからドロップする鉄の鎧は装備スキルが付与されている。鉄の鎧に装備スキルが付与されているからコレクションに渋々するという決断をした。
じゃあ何が付いてるの?って事なんだが、【物理防御力強化(鎧)・小Lv1】です。まぁ予想通りだな。
そんな事を考えていると
『る、ルヴァンシュさん!今晩は!』
「おっ?ミカさん今晩は」
ミカさんがログインしてきた。パーティを組んでると何時でもボイスチャット出来るからな。どれだけ離れていても問題ないのだとか。ちょっと緊張しているのか、声が裏返っていたが俺は指摘しない。それが紳士だ。
『ルヴァンシュさんはいま何を?』
「俺もさっきログインしたばかりでな、今はロックゴーレムのボス前にいるよ」
『レアなアイテムを狙うのですか?なら私もお手伝いしますよ!』
うーん。お手伝いしてくれるのは有り難いが、ボス周回はな…。また宝探しになりそうだし。あっそうか
「ならロックゴーレムじゃなくて、ロックタートルを手伝ってくれないか?」
『分かりました!何でも手伝いますよぉ!』
「助かるよ!なら俺は風の草原のダンジョン、三階層で狩りをしているから」
『すぐ行きます!』
「あっそうだ、なんかアップデートきてたよ。運営からメール届いてると思うから、目を通してたほうがいいかも」
『なるほど。確認してみます!』
ってな感じで、ロックゴーレムとロックタートルを交互に周回しようか。朝はロックゴーレム、夕方はロックタートルみたいな。
武器を鋼戦鎚にすると、雑魚はもちろん一撃で、ロックタートルは二撃で倒せるようになっていた。
三階層で適当に暴れていると
『ダンジョンストーンって黄色いクリスタル?みたいなのですよね?』
「うん、それそれ。それに触れると、俺と同じサーバーのダンジョンに入れると思うよ」
『入れました!』
って事で三階層で合流。狙いはロックタートルだけど、俺の魔物誘引は当然、ロックタートル以外も引き寄せる。なので雑魚敵含め、ロックタートルを、シルクちゃんの眷属で倒して続けてもらおうって事。
「ルヴァンシュさんは何をするのですか?」
「俺は空間魔法のレベルを上げようかなって。周りの雑魚敵はフォルミカさんに任せっきりになってしまうんだけど…」
「それは構いませんよ!私は眷属を召喚するだけで何もしませんので!なので見ていていいですか?」
「……構わないぞ」
見られるのは恥ずかしいが、周りは任せっきりだし、むしろ感謝しかないからな。これぐらい甘んじて受け入れよう。というより、見ていてもつまらないから、あまり見てほしくないのだが仕方ない。
しかし、シルクちゃんの眷属って何回見ても反則級に強いんだよな。シルクちゃんのステータスの3分の1で召喚出来るのはまだいい。40匹ぐらい召喚して、ミカさんがその40匹に〈力の音色〉と〈防御の音色〉を使って30匹を野に放っているのが衝撃だった。残りの10匹はミカさんの護衛で、ただ大好きな虫と遊んでいるだけである
いや、シルクちゃんの眷属でも効果付くのかよ!しかもこれ範囲魔法なので一匹一匹掛けなくても問題ない。効果時間は10分とそれなりに長いしエグくない?って俺は思ってるんだけど、肝心のミカさんはというと
「無理なく戦ってきてくださいねー!数が減ったらまた召喚しますので!あっ、君はこっちですよ!君は人の話を聞かない子ですが、それもまた可愛いですねぇ!」
終始ご満悦である。さて、ミカさんの召喚も終わったことだし、俺はこの時間を空間魔法のレベル上げようと思う。せっかく持っているのだからある程度は活用したいよねって事だ。
で、この〇〇魔法のレベル上げなのだが、魔法の使用回数でレベルが上がる訳だ。つまり、早くレベルを上げるには、クールタイムが短いスキルを使いまくればいいってことだ。
そして、何を隠そうこの空間魔法の初期魔法はクールタイムがめっちゃ短いという事。ストップという魔法は魔物等、生き物に使うことが出来ない。例えば、空中に物を固定したい場合、その物にMPを注ぎ続けることで固定出来るが、MPを注ぐのをやめるとクールタイムが発生して、物が落下する。
クールタイムだが、驚異の2秒!あの火魔法の初期魔法、火球でさえ5秒なのだぞ!
そしてこのストップという魔法だが、空中に物を固定するみたいな魔法なのだが、別に空中に固定しなくてもいい。要はそこら辺に落ちてる石にストップを掛けても、問題なく魔法が発動する。
「じゃあ空間魔法のレベルを上げますか」
「頑張ってくださいね!」
と、ミカさんは言ってくれるが、俺はまだ知らなかった。このレベル上げが恐ろしいほどまでに虚無という事を。ただ落ちてる石にストップを掛け続けるということは――
「ストップ…ストップ…ストップ…ストップ…ストップ…ストップ…ストップ…ストップ………」
こうなる。うん、分かっていたよ。分かっていたし、ミカさんに見ていてもいいか?と聞かれた時は正直悩んだよ?だってこうなる事が分かったし、でも断れないじゃん。
俺が一人でブツブツ言ってる間に、ミカさんは周りの雑魚を排除してくれてるわけだし、もし断ったら「なら仕方ないですね!」(えっ?私が周りの雑魚を倒すお手伝いしているのに、見せてくれないの?やばー)と思われるかもしれない。そんな風に思われたくないよ。でもそうしないと……
………
……
…
……であるかして、やはり卵かけご飯は至高であり最強なのだと思う。なぜ卵を掛け、醤油を垂らす事であんなに美味いのか分からん。他にも卵料理はたくさんあれど、やはり卵掛け――
「ストップ…ストップ…ストップ…ストップ…ストップ…スト――「ルヴァンシュさん!」――はっ…!?えっ?なに?」
肩を揺らされてハッとした俺は周りを一度見渡す。
「も、もぉ!何回呼んでも全然返事してくれませんでしたよ!だからし、仕方なく…その……」
「えっなに?」
「だから、仕方なく肩を揺らしただけです!ルヴァンシュさんに触りたかったわけじゃ…ナイデスヨ……」
顔を下に向けてしまう。なるほど、そういう事か。こんな鎧男に触れるのは嫌だったのだろう。悪い事をしたか。
「すまない。集中しすぎたようだ」
「本当ですよ!魔法レベルを上げる訓練を開始してからもう一時間ですよ?ずっとストップ、ストップって呪いの人形みたいでしたよ?あっ、この場合鎧の人形?それだとただの鎧人形になりますね……いやでも……」
えっ?あれから1時間?そんなに経っているのか?体感5分だが?いやまぁ、確かに心の中で、ミカさんに空間魔法のレベル上げを見せるのは恥ずかしいみたいな事を考えていたが、いつの間にか卵掛けご飯について考えていたし…。
この空間魔法のレベル上げ…危険なのでは?もしこの場にミカさんがいなかったら俺はずーっとストップを言い続ける呪いの人形?鎧の人形?になっていたという事か。
……夜中に出会ったら最悪だな。ストップとずっと言い続けてる鎧が追いかけて――何の話を考えているんだ俺は?そうじゃなくて、何か手を打たないと……
「よし、決めた!」
「えっどんな名前ですか?私は呪いの鎧の人形とかが良いと思うのですよ!ちょっと韻を踏んでオシャレじゃないですか?」
「いや、それはどうでもいいんだよ」
ってか何の話?
「そうじゃなくてだな。ミカさん、もしまた空間魔法のレベル上げをする時、集中しすぎたら声をかけてくれ」
「分かりました!今日はもうやらないのですか?」
「ちょっと休憩。それよりミカさんの大好きな虫の話を聞かせてくれよ」
まぁ一時間も放置してしまったからな。手伝ってもらっているのにずっと放置とか最悪だし。ってか本当にミカさんって優しいよな。ずっと放置していたのに嫌な顔全くしない。申し訳なく思ってしまう。だから罪滅ぼしってわけじゃないけど、思う存分聞いてあげよう。
もちろんその前にシルクちゃんの眷属が倒した魔物のドロップ品を回収だ。ミカさんは眷属が持ってきてくれるのだが、俺は取りに行かないといけない。眷属まじ優秀だな。
ってかこの光の玉で浮遊しているドロップは一定時間で消えるらしいのだが、何分ぐらいで消えるのだろうか?正直、この1時間で消えたのならもったいない事をした。これも何分で消えるか検証しようか。
「いいのですか!?あのですね!まず蜂なのですが――!」
埋め合わせのつもりで軽く言ったつもりだが、凄い眩しい笑顔でニコニコと話すものだから、結局止めれなくて健康タイマー10分前まで永遠に話してた。
眷属ちゃんが倒したドロップ品を一つだけ残して、目印を付けて時間を測ると、30分でドロップ品が消えるのを確認。
あとは眷属ちゃんが倒されて少なくなるので、眷属召喚休憩…休憩?を挟みつつ、俺はその間ドロップ回収をする。休憩?は大体20分ローテーション。
眷属召喚よりも俺のドロップ回収の方が時間が掛かるので、ドロップ回収を済ませて戻ると、それはもうニッコニコの笑顔で嬉しそうに待っているミカさん。犬の尻尾が付いていれば、はち切れんばかりの勢いで尻尾を振っているだろうと容易に想像出来る。
結局、空間魔法のレベル上げは最初の1時間しか出来なかった。まぁその代わり、ミカさんのとびっきりな笑顔を約5時間も見れたので癒された。顔が兜で本当に良かったと思う俺であった。
読んでいただきありがとうございますm(__)m




