幕間 偽りの自分、偽りの仮面
今回はフォルミカさんの過去です。もっとコンパクトにするつもりが、めっちゃ長くなりました…。
フォルミカさんの名前はこの話の中で出ますが、一応。フォルミカ=村山雫
いつからだろう…私の顔に嘘という仮面を付けるようになったのは。
いつからだろう…本当の私を隠して、偽りの自分を演じるようになったのは。
いつからだろう…他の人は変わり、私は変わらなかったと自覚したのは。
そう確かあれは…
………
……
…
そう、確かあの時はまだ小学生になる前、近くの公園で私と同じぐらいの小さな男の子と女の子と三人で遊んでいた。
「みて!ここにクモさんがいるよ!可愛いね!」
「可愛いか?格好良いだろ!」
「えー可愛いよ!」
「しずくちゃん!こっちはアリさんがいるよ!」
「ほんと!?みる!」
「アリさんは何してるのかな?」
「はたらいてるんだよ!」
「ならしゃちくだな!」
「しゃちく?なにそれ?」
「おれのパパが言ってんだ!会社ではたらくおれはしゃちくだって!かっこいいだろ?」
「んーよく分かんない!」
あの時は楽しかった。何もかもが新鮮で、どんな物にも興味を持った。特に私が興味を示したのは虫だった。男の子と一緒に虫をよく探したり、捕まえたりもした。
異変を感じたのは小学生に入り、高学年になってからだ。私は未だに虫が好きで、よく男の友達と虫を探したりしていた。ドッジボールとかサッカーとかもやろうと言われたけど、私は運動が得意じゃないから断り、図書室か家で虫の本を読んでいることが多かった。
「しずくちゃん、こっちきて!」
仲の良い女友達に呼ばれて私はその子の近くに行く。
「どうしたの?」
「今度、私の家で遊ばない?他の女の子も来るの!」
「男の子は?」
「そんなの来ないわよ!あんた嬉しいんでしょ?」
「えっ?」
「あんた優しいからいつも男共の相手をしてあげてるもんね!たまには女の子同士で遊びましょ!」
「ちがっ――」
「じゃあ明日、家に来て!」
違うと言いたかったけど、一方的に話を切られ去っていく友達。仕方ない、明日は女の子と遊ぼう。そして次の日
女の子同士の遊びは正直つまらなかった。所謂ガールズトークをしたり、女の子の着せ替えをするのを楽しむテレビゲーム、フェルト人形を作ったりと、本当に女の子が好きそうな遊びをした。これだったら家で虫の本を読んでた方が良かったな。と考えながら、一生懸命、蜘蛛のフェルト人形を作っていた。
「村山さんなにそれ?」
よく喋る女友達の他に、あまり喋らない女の子もこの場にいた。その子は私の苗字で名前を呼ぶ
「蜘蛛だけど?」
「えー?蜘蛛なんて可愛くないよ!もっと可愛いの作ろうよ」
「可愛いよ?」
「村山さんっておかしー!」
「ねぇ見て!私のは猫!」
「わー可愛い!」
そこで私は他の人とは違う違和感を感じた。ここにいる女の子達は蜘蛛が可愛くないと言う。それも当然かのように、蜘蛛を可愛いと言ってる私を可笑しいと笑う。
この場にいる一番仲の良い女友達は小さい頃からよく遊んで、一緒に虫を探したりもしていた。その女友達でさえ私を可笑しいと笑っていた。変な子だと言った。私は……悲しくなった。
女の子の間では虫は可愛くないというのは当然で、虫を可愛いという私は異端だと言うことを小学生ながらにして気付いてしまった。そこから女友達の輪から孤立しないように、本当の自分を隠して演技するようになった。
小学生を卒業し、中学生になった。中学生になっても私は未だに虫を好きでいる。やっぱり虫は可愛いし、カイコガとか本当に可愛い。私は虫を更に好きになっていた。でも相変わらず女友達の前では隠し通しているし、男の子も虫には興味をなくしていた。むしろ触るのも嫌という事を言い出す男の子もいた。
そして中学2年生になり、夏真っ盛りの授業中でのこと、
「きゃー!!」
クラスの女性の悲鳴が教室中に響いた。その悲鳴は私の仲の良い女友達の悲鳴だった
「どうした!?」
「は、蜂が!蜂が入ってきた!」
「なに!?」
私も確認してみるとその蜂はミツバチで、間違えて教室に迷い込んだのだろうと思った。なら勝手に出ていくと、あまり気にしていなかったが
「先生、何とかして!」
「待ってろ!ここに……あった!殺虫剤!」
えっ?今なんて?
「先生ここです!」
「よしっ!じゃあ…」
「ちょ、ちょっと待ってください!その蜂、ミツバチですよ?」
私はいつの間にか声を荒げていた。
「はぁ?ミツバチって言っても蜂じゃん。それより先生早くして!」
「大人しくしていれば刺しませんし、そこまでして殺す必要はないのではないですか?」
「し、しかしだなぁ…」
「先生、蜂がいると授業に集中出来ませんし、いつ出ていくか分からないなら早く殺した方が良いのではないですか?」
「俺もそう思います」
仲の良い女友達の言葉に他のクラスメイトも同意する。なんでこの人達は虫を簡単に殺す事が出来るの?虫が何か悪い事をしたの?
「お、おぅ。すまんな村山」
私に謝ってから殺虫剤をミツバチに吹きかける。吹きかけられたミツバチは徐々に弱っていき、力無く地に落ちる。
「これで大丈夫だ!さて授業に――どうした村山!?なんで泣いているんだ!?」
「すいません……私…殺虫剤アレルギーで……」
「だから必死に止めてたのか。すまない、すぐに保健室に――」
「いえ……私…一人でいけます…」
私は授業中に一人で教室を出て、教室から最も遠い、ほとんど誰も使うことのない女子トイレで一人泣いた。
「ごめん…なさい……。わたし……は……」
私に出来る事はあれが精一杯だった。いや、あれ以上の事は怖くてできなかった。小学生の時に理解した自分と他人との違い。私は異端だからこそ、孤立を恐れた。
私は最低だ。虫が大好きなのに、虫を助けたいのに、最後の最後で一人になるのを恐れ、助けられたかもしれない虫を見殺しにした。
人によれば、たかが虫だと思うけど、私からすればそこら辺の人達よりも大切な存在だ。孤立してもいいから、あの場面で強く言ってれば助けれてたかもしれない。
分かってる。虫一匹を助ける為に、自分が孤立してまで助ける事は無いと。あの時の私の行動は何も間違っていないと、世の中の誰かは言うかもしれない。でもあの時、虫の為に本気になれなかった……いや、孤立を恐れて本気にすらなれなかった私が気持ち悪い。
だって思ってしまったんだ。あの時私は、虫が好きな人間でなければ、虫を怖がる反応は何も間違っていないと。だから殺されても仕方ないと納得してしまっていた自分がいた。本当に情けなくて、悔しくて、最低だ。でもやっぱり……一人になるのは怖かった。そんなどうしようもなく中途半端な気持ちが嫌だった。
だからといって、これからの学校生活で何か出来たかと言われると、何も出来てなくて、何も変われなくて中学を卒業した。せめて高校は皆がいない高校に行こうと決めた。
少し遠い高校に入学して、高校では友達も出来て順風満帆…かどうかは分からないが、問題がなく高校生活を送れていた。高校三年生になり、数ヶ月経ったある日、久しぶりに虫の本を読もうと図書室に赴いた。すると同じクラスの男の子が昆虫の本を読んでいた。私は思わず
「同じクラスの人ですよね!虫好きなのですか!?」
と、声をかけてしまった。
「う、うん」
「名前なんていうのですか!」
「ぼ、僕は夢川叶」
「そうなんですか!私は村山雫です!よろしくね夢川君!」
夢川君は挙動不審になりながらも、私に返事をしてくれた。そこから私達は虫きっかけで仲良くなっていた。
夢川君は休み時間はいつも一人で、昼休みになると図書室に行っていつも昆虫の本を読んでいた。
でも私にはそんなのは関係なく、休み時間にも、昼休みにも大好きな虫の話をしたかった。
仲の良い女友達とは三年生になってから違うクラスになったけど、昼休みは食堂に行けば必然と会う。私の家系は料理全般が駄目だからいつもお弁当は買っている。でも虫の話をしたかったから、その日から食堂に行くのをやめて、教室で夢川君とお昼を食べる事にした。
「蜘蛛って可愛いですよね!私、虫の中で蜘蛛が好きなんです!」
「そ、そうなんだ。でも蜘蛛って昆虫じゃなくて生き物なの知ってる?」
「えっ!?そうなのですか!?」
「う、うん。昆虫の定義は足が六本、体の構造は頭、胸、腹の3つに分かれ、触角があることなんだ」
「へぇー!知らなかったです!でも私、蜘蛛の事をずっと虫だと思っていたから少し寂しいですね…」
「あっ、ご、ごめんね!でもね、虫の定義は人類・獣類・鳥類・魚貝類以外の小動物の総称だから、蜘蛛も虫で良いと思うんだ」
「そうなのですか!本当に物知りなんですね!」
「う、うん。虫が好きだから」
夢川君と出会ってから本当に楽しかった。毎日学校が楽しかった。虫の事を話せる初めての友達だと思った。でも、そんな楽しい日は長く続かなかった。女友達と帰ってる最中
「あっごめんなさい!教室に忘れ物しました!」
「もう、雫はおっちょこちょいね。先に帰ってるよ?」
「うん!またね!」
私は急いで教室に戻り、教室に入ろうとすると――
「――てんじゃねぇよ!」
誰かが教室で怒っている?声が聞こえる。私はゆっくり教室の中を除くと、夢川君が三人の男の人に囲まれている。
「何でお前が村山さんと仲良く出来るんだよ!」
「し、知らないよ…」
「村山さんがお前みたいな陰キャでダサい奴を相手にするわけねぇだろ!」
「む、村山さんは虫が好きなんだ。だから――」
「嘘をついてんじゃねぇよ!村山さんがキモい虫なんて好きなわけねぇだろ!いいか?村山さんに二度と近付くな!じぁねぇと分かるよな?」
そう言いながら殴られている夢川君を見て、私は足が竦んだ。怖い…でも助けなきゃ。そんな事を考えていると夢川君は教室を飛び出して走り去っていく。助けれなかった事を後悔した…。幸いあの三人組には見つからなかったけど。
次の日から夢川君の態度は激変した。夢川君は私を避けるようになった。私が近付いても逃げる様に去っていく。逃げるから追いかけて、ようやく捕まえて話をする事が出来たのだが
「も、もう僕に話しかけないでくれ。お願いだ…」
「どうしてですか!?」
「迷惑なんだよ!村山さんは学年で一番可愛いって噂だし、勉強も出来て、運動も出来る。そんな人が僕みたいな陰キャと話すと目立つんだよ…。僕は目立つのが嫌だ…」
「嘘…ですよね…?昨日の事なんですよね?」
「……見ていたのなら分かるでしょ。ああいうのに目を付けられるんだ。だからもう話しかけないでくれ!」
「あっ!待ってください!」
それだけを言って何処かにまた走っていった。それから夢川君とは話したくても話せない、そんな日々が数ヶ月続いた。そんな中、とある男に、屋上に呼び出された。屋上に行くと一人の男が私を待っていた。何を話すのかと思ったら
「村山さん、君の事が好きだ!だから付き合ってくれないか?それが駄目なら友達からお願いします!」
何を言っているんだろうこの人は……。付き合う?友達?ふざけないで……!だって夢川君を殴って、脅していたのは貴方じゃない!
「馬鹿にしないでください。二度と私に近付かないでください」
「…は?村山さん…俺何かした?」
「分からないのですか?」
「……」
「なら教えてあげます。夢川君は私の友達です!夢川君に、私に近付くなと言ってましたけど、なんで貴方にそんな事を言われないといけないのですか?謝ってください!謝るまで私に近付かないでください!」
私はそう言ってその場から立ち去った。これで夢川君も前みたいに話してくれたら嬉しいな。……でも現実はそう甘くなかった。私の行動は最悪な結果になってしまった。
日に日に夢川君の怪我が増えていく。最初は転んだりしたのかなと思ったけど、毎日怪我が増えていく。放課後、一人帰る夢川君に声を掛け――
「夢川君!どうしたんですかその怪我…」
「な、何でもない…放って置いてくれ」
「でも…!」
「でもじゃないんだよ!君が話したから…!僕は一人が良かったんだ……。君さえ話しかけてこなければ僕は……一人で…。――虫なんて……嫌いだっ…!」
その言葉が衝撃で、私は走り去る夢川君を追いかけることが出来なかった。次の日から夢川君は学校に来なくなった。
私もクラスメイトや女友達から避けられるようになった。夢川君を脅してたあの男は学年でも女子から人気で、その男を振った私を、許せなかった女子達が私を避ける様に指示をしている。
クラスの違う女友達も、私と居ると目を付けられるから距離を置くって。後は昼休みに私達と食べるより、夢川君とお昼食べる方が良いのかって、友情より男を取る軽い女とか言われてしまった。
どうしたら良かったの?私が夢川君に話し掛けたから?私があの男に謝ってと言ったから?だって私はただ……また……夢川君と大好きな虫について…語りたかったから……
虫が嫌いと言ってた夢川君は泣いていた。虫を嫌いにさせたのは私…。
ごめんなさい……こうなるなら私は演じてるべきだった――偽りの私を。
ごめんなさい……こうなるなら常に付けておくべきだった――偽りの仮面を。
なら夢川君は虫を嫌いになることも無かった。私のせいで…
「ごめん…なさい…」
どれだけ謝っても、もう変わることはなく。結局卒業まで私は一人待ち続けたけど、夢川君は来なかった。
私は大学生になり、徹底的に偽りの自分を演じ続けた。もうこの世界で本当の自分を出すことは無いだろう。
………
……
…
大学生四年生の休みの日、私は何気なくテレビを付けた。するとAnotherWorldFantasyというゲームのCMを見た。
それはもう一つの異世界で、どんな事をしても良い。そして私が気になったのは魔物を従魔にして良いとの事。魔物には虫型の魔物もいて、私はその世界でなら本当の自分でいられるのではないかと思ってしまった。
私はそう思った時、既に体が動いていた。僅か2日でゲームをする環境が整った。流石に筐体は高すぎてちょっと手が出せなかったけど。
そしてAWFをプレイして分かった。この世界は本当の私でいられる場所だって。蜘蛛の魔物を従魔にしても変な目で見られない。
誰かとパーティを組むってなるとやっぱり嫌がる人はいたけど、なら私は一人でいい。
そんな中、ルヴァンシュさんという人と出会った。ルヴァンシュさんも虫が好きみたいで、私の従魔を可愛いって言ってくれた。
久しく忘れていた誰かと虫を語る楽しさ、この世界でなら私が私でいて良いんだよね?
でも私は浮かれていただけだった。この世界でも人間は変わらないと…。
「ぶっ!こいつテイマーの癖に虫なんか従魔にしてやがるぜ!」
「女が虫好きって俺嫌ですよー!あはは!」
「もう行きましょうよ!こんな役に立たない虫をテイムしてるなんて、女の方も役に立たないっすよ!」
そんな事を言われて悔しかった。でもその事に対して言い返せなかった。私も自分が異端だと分かっていたから。でも、許せない事が一つある。私をいくら馬鹿にしたって良い、でも従魔のシルクちゃんを、虫を馬鹿にする事は許さない!
「わた――」
「女性が虫が好きって言って何が悪いんだ?女性が虫を従魔にして何が悪いんだ?虫が大好きな女性がいてもいいだろ!人が大好きだと思う事に対して、お前らは一体何の権利があって否定しているんだ?」
私は驚いてしまった…。野次馬がいる中でそんな事を言ってくれるんだって。ルヴァンシュさんはその後も人の好きな事を馬鹿にするな、私に謝れって言ってくれた。最後に
「一つ教えておいてやる。人の好きな事や趣味が、自分にとってあまり好感が持てなかったとしても、まずは否定から入るのではなく、その好きな事や趣味を理解しようと努力するとこから入るんだな」
そんな事を言ってくれて嬉しかった。でも…自分にとってあまり好感が持てなかったとしても、否定ではなく理解する努力をしようと言った。
ルヴァンシュさんは虫に対して本当はどう思っているのだろうと私は考えてしまった…。その後、宿屋で二人きりになれたので言ってしまった。本当は聞きたくないのに、もし聞いてしまうと全てが終わるかもしれないのに、もしかするとルヴァンシュさんは虫が嫌いかもしれないと、気になって口から出てしまっていた。
本当は虫が好きじゃなくて、私の虫が好きという事に対して無理に努力して、理解しようとしてるだけじゃないのか?って。だから本当に虫が嫌いなら無理してまでパーティを組まなくていいと。でもルヴァンシュさんは
「確かに相手の好きな事や趣味に、自分が好感を持てなかったら理解しようと努力する事から始めるという言葉に嘘偽りはない」
私の言った言葉に肯定したのかと、ルヴァンシュさんの言葉にガッカリしたけど、その後に
「だが、俺はミカさんほど虫が大好きではないが、虫が大好きという人に対して好感を持てるぐらいには虫は好きだよ。だから虫が嫌いだけど、我慢してパーティになったってのは間違いだよ」
「ほ、本当ですか?」
そう言ってくれて私は理解した。あぁ、そういう事だったのかと。この世界だから本当の私でいられるんじゃない、ルヴァンシュさんの前だから本当の私でいられるんだと。
ルヴァンシュさんはそっとシルクを私の頭の上に乗せると
「本当だ。これからもミカさんの好きな虫について、いろいろ教えてくれ。だから…その……泣かないでくれ」
優しい声でそう言ってくる。
だって…!だって…!虫が好きってだけで引かれて、一人になりたくないから偽りの自分を演じて……。でも…でも…!本当は私だって好きな事を好きって言いたかったの!だから……だがら゙ぁ゙嬉じがっだの゙ぉ……。グスッ…これからも好きな虫の事を教えてって言われてぇ…。だがら゙――
「――わ゙がりま゙じだぁ…グスッ…」
「改めてこれからもよろしくな」
「グスッ…よろしくお願いします!」
私はたぶん、久しぶりに心の底から笑っていると思う。ねぇルヴァンシュさん?鎧の顔で見えないけど、ルヴァンシュさんも笑ってくれているのなら嬉しいな。
………
……
…
VRヘッドギアを外して一息つく。
「ふぅ…」
今日の事を思い返して顔が赤くなる。
「〜〜〜ッ!」
テントウ虫の抱き枕を顔に当て、声にならない叫び声を上げる。馬鹿馬鹿馬鹿!嬉しかったからって何でルヴァンシュさんの前で泣いてるんですか!ほんと私は馬鹿なんですか!
でも嬉しかったから仕方なかったじゃないですか!
「えへへ…」
次はどんな虫の話をしようかな?……はっ!?泣き顔を見られたんですよ!?次はどんな顔をして会えばいいのですか?いっそ私もルヴァンシュさんみたいに顔に兜を?あぁーどうしよう!……今日はもう遅いので寝ましょう。そういう事は明日考えればいいのです!
………
……
…
「おばあちゃん!大学行ってきます!」
「はい、行ってらっしゃい」
「村山様、お嬢様はどうしたのでしょう?急に雰囲気が明るくなったと言いますか…」
「前まではただ生きている、みたいな感じだったものねぇ。いいじゃない、何がきっかけでも楽しそうに笑えるようになったのなら。貴方もそう思わない?」
「はい、私もそう思います」
「なら、その内あの子から話してくれるわよ。ふふ」
読んでいただきありがとうございますm(__)m




