十九話 チームプレイしてたら宝探ししてた
「さて、じゃあ行きますか」
「はい!」
虫大好き美少女こと、フォルミカさんと蜘蛛の従魔シルクちゃんと一緒にロックゴーレムを攻略することになった。
初めてのパーティプレイだからちょっと緊張するな。
《ボス部屋へ入場しますか?》
はいっと。ゆっくり大扉が開き、俺とミカさんは一緒にボス部屋へ入る。俺の少し前にいるミカさんは扉の先の暗闇に入るとすぐ消える。ボス部屋へ入ったのだろう、俺も続く。一瞬、視界が歪みボス部屋へ突入。
目の前には当然ロックゴーレム。だが――
「あれ?ミカさん?」
ミカさんがいない!どうしてだ?もしかしてボス登場演出を観ているからいないのかもしれない。それならいない理由も理解できる。ただ、もう一ついない理由が、これかもしれないってのがある。
それはパーティを組んでいないって事だ!すっかり忘れてたわ。確かにパーティ組んでないといけないよな。森熊の時もそうだったが、ボスと戦う時は特別なサーバーに移動させられる。つまり、俺とミカさんは別々のサーバーに移動させられているのではないか?
俺としては後者の方が納得できる。じゃあどうするか?それは、このロックゴーレムをすぐに倒せば良い。仮に同じサーバーだったとしても、ミカさんがボス登場演出を観ていて、俺がその間に倒したとしても、登場演出が終われば中央に光の柱が出てきているだろうし、登場演出中に倒せなくても同じサーバーなら何れこのボス部屋にミカさんが現れるだろ。
現れなかったら現れなかったで、違うサーバーに行ったって事だし、俺がロックゴーレムを早く倒して外で待ってればいいだけだからな。って事で――
「さっさと倒させてもらおうか!」
俺は鋼戦鎚持ち、もう一本は念動で浮かし走り出す。鉄剣のスラッシュではヒビが入る程度だったが、こっちはどうだ?
「さぁ、いくぜ!〈スタンプ〉!」
これは剣術のスラッシュと同じで、最初から覚えているスキル。俺は思いっきり振り被り、横から振り抜く形で鋼戦鎚をロックゴーレムの左足に叩きつける。
ドゴォーン――
と、凄まじい音を立て、左足は粉砕される。すげぇ!粉砕された破片を見て分かるが、小さい破片ばかりだ!これはかなり強い衝撃だったことが伺える。当然ロックゴーレムはバランスを崩し倒れる。
コアがある場所は胸の位置にある。俺は跳躍し、まずは念動の鋼戦鎚を振り下ろす。そしてその後、俺も力一杯振り下ろす!鉄剣とは段違いな勢いでHPが削れてる!衝撃がコアにまで届いてるのか?
流石に一度のダウンで倒しきれなかったか。だが、次のダウンで終わるだろ。さぁ、コアごと打ち砕いてやる!
………
……
…
はい、打ち砕きましたと。いや早かったね!僅か3分!どれだけ武器の相性が大事なのか分かったね。まさか俺もここまで変わるとは思わなかった。鋼戦鎚を装備した俺のATKは約300で、その鋼戦鎚が振り下ろされる度にATK300を乗せた火力と衝撃がロックゴーレムに襲いかかっている。そりゃ序盤のボス、ロックゴーレム君からしたらたまったもんじゃないだろうな。
さて、ドロップ品は…ちっ!また破片と土結晶か。それより光の柱に入り、外でミカさんを待ってようか。
俺は光の柱に入り、ボス部屋の前の広場に戻ってくる。ミカさんが戻ってくるまで――
「あれ?ミカさん?」
「あっルヴァンシュさん!ボス部屋に入りましたけど、ルヴァンシュさんがいなかったので、ここで待ってれば合流出来るかなと」
「あーすいません。たぶんパーティを組まなかったから別々のボスサーバーに飛ばされたのかと」
「なるほど!」
いやしかし、倒してここまで戻ってきた?いやまさか…。俺でも3分掛かったのだぞ?いや、撤退したのか?多分そうに違いない。
「ミカさん撤退して帰ってきたの?」
「えっ?ボス部屋って撤退出来るんですか?」
ま、まじか。俺より早く倒してる事が確定してしまった。しかもだ、ミカさんこのダンジョンは初めてっぽいんだよな。つまり、初めてのボスは登場演出があるって事だ。
登場演出で30秒ぐらい掛かったから、少なくとも討伐タイムは2分30秒以下!えっまじ?
「あ、あぁ。入ってきた大扉に戻れば撤退が出来る」
「そうなんですね!」
「どうします?パーティ組んでもう一回行きますか?それともやめときます?」
「せっかくなので行きましょう!私パーティ組むなんて初めてなんですよ!」
「ならパーティ申請送りますね」
って言ったけど、俺もやり方知らないんだよね。メニュー開いてパーティを選択。申請ってあるな。申請を押すと、パーティ申請を送れる名前が表示される。名前が出てきたのはフォルミカさんだけだな。まぁ俺の近くにいる人はフォルミカさんだけだしな。
「送りましたよ」
「来ました!」
なんか申請来ると、画面の右端にパーティ申請が来ました。承諾しますか?みたいなウィンドウが出るらしい。それを見逃してもメールBOXからいつでも確認出来るみたいだ。
そして、画面左端の左上と左下の中間辺り?にミカさんの名前と体力ゲージが表示されるようになった。後はミカさんの頭の上にも体力ゲージ。なるほど、回復職がいた場合、仲間の頭の上にある体力ゲージを見て回復するのか。もし障害物等でキャラが隠れても左端で仲間の体力を確認出来るみたいな感じかな?なかなか親切設計だ。
って事で準備完了したので、一緒にロックゴーレムへ!俺より早く倒したという可能性がある実力を見せてもらいましょうか。
俺とミカさんは再度大扉の中へ。そしてボス登場演出が流れる。あれ?俺オフにしているんだが…あぁ、なるほど。ミカさんがオフにしていないから俺も観ないといけないのか。登場演出が終わり、横にはミカさんが。良かった、今回は一緒に入れた。
「ルヴァンシュさんはハンマーなんですね!」
「剣の方が得意なんだけど、このボスにはこっちの方が相性良くてな」
「なるほどです!ではまず、私からいかせてもらいますよ!シルクちゃん!」
ミカさんが名前を呼ぶと、俺が初めてシルクちゃんを見た時と同じぐらいの大きさになる。
「〈力の音色〉!――♪」
いつの間にか手に持っていた角笛?のような楽器で低音の音を奏でる。するとシルクちゃんの体から赤色のオーラ?が立ち昇る。なんか凄そう!
「シルクちゃん硬糸!」
「ギチチ――!」
凄い!シルクちゃんが腹部をロックゴーレムに向けると、格子状になった硬糸(激ウマギャグ)が飛んでいき、ロックゴーレムの体がバスケットボールぐらいの四角いブロック状に切り刻まれる。
こりゃ強いですわぁ…。今の一撃でロックゴーレムのHP半分以上削れてるのだが…。
「今ですルヴァンシュさん!そのハンマーでコアを潰してください!」
「えっ?あっおう!」
ぽけーと見ていた俺にミカさんの声が響く。俺はその言葉を聞き、反射的に走り出す。
「ってこれどうやってコアを見つけるんだ!?」
えぇい!適当に潰していけば見つかるだろ!俺はそこら辺に散乱している四角いブロック状を片っ端から潰していく。
俺もミカさんに格好良いとこ見せたかったのに何だコレ?俺は宝探しでもやってんのか?ミカさんは離れたところで「頑張れー!」とか言ってるし。
端から見たら俺いまめっちゃダサいだろうな。四角いブロックを一個一個ハンマーで潰していく鎧の男。シュールすぎる。
そりゃ今です!なんて言われたら行くけどさぁ、せめてコアの場所が分かればこんな事にはならなかったと思うんだ。いやまさか格子状のブロックになると思わないじゃん?こうなると分かっていれば俺が最初に攻撃して――あっ…当たり引いた。ロックゴーレムはポリゴンとなって消える。
「やりましたね!流石です!」
「う、うん」
「これがチームプレイですか!私達相性良いかもですね!」
「う、うん…」
駄目だ。ミカさんチームプレイをあまり理解してないでらっしゃる。多分ミカさんはこういうゲーム初めてで、俺よりもゲームに疎いのだろう。俺はゲーム動画とかたまに見たりしてたからチームプレイぐらいは多少だが分かっているつもりだ。
まぁミカさんが楽しければいいか。俺達は各々のドロップ品を回収して光の柱に入る。ドロップ品はお察しである。
「楽しかったですね!」
「そうだなー」
俺は宝探ししてただけだがな。
「そういえばミカさんはずっとソロだったんですか?」
こんなに強いならパーティに入ってくれと引く手数多だと思うんだがな。
「はい…。私を誘ってくれる人はいたのですが、私がテイマー、それも蜘蛛が従魔だと分かるとやっぱり無かった事にしてくれと」
「そうなのか」
「男性の方には蜘蛛が平気な方はいますが、パーティを組んでる女性が耐えられないという事でして」
まぁ確かに蜘蛛を嫌がる人は多いかもしれないな。あの脚が嫌だとかな。タランチュラとか、あの大きさで物凄い速さのスピードで動くのだから怖いと思うし。毒を持ってるかもしれないっていう意味でも怖がる人が多いとおもう。
「先入観に囚われて、怖がる人が多いのだろうな。良く見れば可愛いのにな」
「そうですよね!こんなに可愛いのに…」
ミカさんはシルクちゃんのお尻、正確には腹部を撫でている。ちなみにシルクちゃんはタランチュラっぽい黒い蜘蛛で腹部にふさふさの毛が生えて触り心地が良いのだとか。
少しの沈黙が流れ――
「あのですね…もしルヴァンシュさんが良ければ、これからもパーティを組んでいただけませんか?」
パーティか…。確かにシルクちゃんはめっちゃ強くて、頼りになると思うのだが、俺の答えは――
「すまない、それは出来ない」
ここで終わるのはモヤモヤすると思います。俺もモヤモヤしてます!だけど、この先を書いて切の良いとこまでってなるとめっちゃ長くなると思うので、一旦ここで切ります。次の話でフォルミカさんの種族も書きたいかな?
読んでいただきありがとうございますm(__)m




