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十六話 無双するというのは、はっちゃけるという事

また少し長くなってしまった…


さて、やってまいりました風の草原のダンジョン!首都ノルジストとエンリットの中間辺りから南に行くと、風の草原の地面に、不自然に大きな穴が空いている場所がある。


蟻の巣を想像したら近いか?大きな蟻の巣の入り口みたいな?って事は虫が敵なのかな?まぁいい、入ってみようか。


ちなみに風の草原のダンジョンの入り口の横にポータルストーンがあったので登録しとく。


入って数分歩くと早速気配察知に反応がある。さてどんな敵が来るのか?俺は早めに隠蔽系のスキルを解く。


本当は隠蔽系で近づき、敵を倒し、また隠蔽系で姿を隠し、また敵を倒すみたいな卑怯極まれりみたいな戦法も出来るんだけど、そもそもこの戦法は敵が雑魚だから出来る事であって、強い人や魔物は常に気配察知や魔力察知を発動しているから、この戦法が使えることはほぼ無いだろう。


まぁそれが理由で早めに隠蔽系を切ったわけじゃないが。隠蔽系を早めに切らないとすぐ囲まれるから切っただけなんだがな。そんな事を考えているとわらわらと集まってくる。


おいおい、まだここ通路だぞ?通路が魔物で塞がるぞ?ちなみに通路はかなり広い。三車線あるトンネルぐらいの広さか?通路だけでこんなに広いのだから、ダンジョン全体だとすげー広いのだろう。


攻略サイトで見たが、サーバーはイベント時とかボスエリア以外は1つみたいだし、魔物誘引のスキルもあるからこんだけ広いんだろうな。


おっきたきた。まずは岩のカエル?に今度は岩のトカゲ?どうやら虫ではなく爬虫類系なのか?とおもったら土の塊?が浮遊している敵も現れる。そして地面からヒョコっと現れたのがモグラ?サッと【鑑定】してみる。


・ロックトード

硬い皮膚に覆われた魔物。長い舌で獲物を突いて弱らしてから丸呑みする。ただそれだけ。


・ロックリザード(幼体)

壁とかを這って奇襲仕掛けてくる魔物。まだ幼体だから壁を這う事が出来るが、成体になると自分の重さで壁を這う事が出来なくなる馬鹿。


・ロックエレメント

岩の中にコアがあり、そのコアが周りの岩を引き寄せコアを守っている。遠くから岩を飛ばしてくる。


・ダンジョン土竜

土竜と書いてあるが、名前負けしているただの魔物。ただ数は多いので、ダンジョンのあちこちから現れる鬱陶しい奴。


なんか鑑定さんちょくちょく馬鹿にしてない?いやまぁいいんだけど。もちろんまだ倒してないのでドロップは分からない。


俺がゆっくり歩いて進むと、攻撃圏内に入ったのか、ロックトードが長い舌で鎧を突き刺す。


――ガンッ!


……うん、分かってた。俺の鎧が硬すぎて全く痛くないのだ。次に動いたいのはロックエレメント。浮かした小岩を飛ばしてくるのだが当然全く効かない。軽すぎる。森熊の爪よりも軽いな。


そして上からロックリザードが自分の硬さを活かして落ちてくるのだが、これも当然俺の方が硬い。つまり俺の兜に当たって逆にダメージを受けてるロックリザード君。ちょっと可愛いなおい。


そして最後にダンジョン土竜。鑑定の通りこいつが一番数が多い。俺の足に纏わりついて自慢の爪で俺の足を引っ掻いてくるのだが…うん。なんか俺の足に集まって、皆で爪研ぎしてるみたいな。


分かってはいたんだよ?最初のダンジョンなのだから、森熊を余裕で倒せるレベルの俺が、しかも森熊周回で更に強くなった俺は、この風の草原のダンジョンでは暴力的なステータスになっている。


戦いにすらならない。RPGで最初の村からちょっと外に出て永遠と敵を倒し、レベル99になった勇者が最初のボスに無双するみたいな。ストーリー進まず何してたの?みたいな状況。


だが許してくれ。俺はコレクターなんだ。バトル漫画の様に熱くギリギリの戦いがしたいわけでもない、だからといって作戦を練って戦うなんて面倒な事はしない。そう俺が求めるのは――


「だぁー!鬱陶しい!【回転斬り】ー!求めるのは効率だぁ!おらぁっ!」


象に群がる蟻の如く、数が半端ない!回転斬りで20匹は倒したか?正直剣術のスキル【スラッシュ】が使いやすくてずっと使い続けてきたけど、雑魚狩りは回転斬りのが効率が良い!剣術が大分上がったから覚えてたわ。


ここは土とか岩の魔物が多いな。俺の鉄剣も斬るじゃなくて叩き潰すみたいな感じだ。火力が高いからこれでもいいのだが、火力が低かったら時間掛かっただろうな。


「ふんっ!」


「グエッ!?」


ロックトードに鉄剣を振り下ろす。潰れた蛙のような声がって思ったが、こいつ蛙だったな。そりゃそんな声を出すか。むっ?下からダンジョン土竜が顔を出す。


「こんにちわぁ!そしてさようならぁ!」


これが本当の土竜叩き!なんか無双してると楽しくなってくるのは何なんだ!?動画でしか見たことない、三〇無双の呂布を使うとよく気持ちえぇって知らない配信者が呟いていたのはこういう事だったのか?


これは確かに中毒になるぞ!だが!やめられない!ここの敵を狩り尽くしてやらぁ!


………

……


えーと?下の階層は何処だ?ここ広すぎだろ。はぁーと溜め息を吐く。今の溜め息には二つの意味が込められてる。一つは広すぎ。もう一つはやらかした。


当たり前なのだがこのダンジョン、プレイヤーがいる。いや、NPCも金策するのだからNPCかもしれないが、まぁ人がいるんだ、初心者の。


俺はその事をすっかり忘れて狂乱乱獲してた訳だ。覚えてないのだが、楽しすぎてヒャッハー!とか言ってたかも。


でだ、その様子を知らないプレイヤー?NPC?に見られたわけだ。恐らく魔物誘引のせいで俺のとこに集まってくる魔物を追いかけて来たのだろう。そして狂乱乱獲してる俺を見て一言


「ぎゃー!?鎧の化け物ー!」


俺の涅色(くりいろ)の鎧も相まって恐ろしかったのかな?このダンジョン灯りはあるのだが、少し暗いし。というハプニングがあり俺は冷静を取り戻したのだ。


で、取り敢えず最下層のボスエリアまで行くことにした。もちろん隠蔽系や遮断系を発動してだ。のだが、まぁ広いのなんのって。


通路の先は広いエリアになってて、そのエリアからまた幾つかの通路に続いて、その通路の先もまた広いエリアみたいな構造のダンジョン。


そんなダンジョンを彷徨って30分ぐらいか?ようやく下の階層へ行く階段を見つけた。


「30分彷徨ってようやく1階層下に行けるのか……」


愚痴を零しながら下の階層へ降りていくと


「おっ!?ポータルストーンか!まじ有り難いなぁ!」


ほんと助かる!また30分彷徨って下へ続く階段を探すのかと思っていたところなんだよ!まぁ、こんだけ広いのだからあって当然か?


あと気になったのはチラホラ人がいるな。やはりプレイヤーかNPCか分からない。まぁ鑑定すれば分かると思うんだが、マナー違反だからな。例えNPCであっても、NPCは鑑定されたことに気付くし、それは個人情報を盗み見られたと同義なので怒るのだとか。


なのでNPCと分かっていても無闇矢鱈に鑑定を使ってはいけない。運営的にはプレイヤーもNPCもこの世界の住人として出来るだけ区別を付けないようにしたいのだろう。


さて、この階層に出てくる魔物は1階層と同じで、敵のレベルが少し強くなっただけだ。なのでここもスルーして下の階層を目指そうか。たぶんだけど、また下の階層に降りればポータルストーンがあるでしょ。


………

……


ありましたよ。40分ぐらい探し回ったよ。いや時間が掛かったのは100歩譲ってまだいい。俺がキレそうになっているのは、2階層入り口から右の通路に行けばすぐに階段見つかったのだが、俺は左の通路に行き、その先で迷いに迷って階段無いんだが?と愚痴を言い、ようやく2階層入り口まで戻ってきて、行ってなかった右の通路に行くとすぐに階段見つかった。


そん時の俺?「……フフ……フフフフ」と壊れ、近くに集まってる魔物に八つ当たりしましたよ。恨むなら運営を恨むのだ。


さて、罪の無い魔物をミンチにしたところで下の階層へ進む。3階層の入り口にはやはりポータルストーンがあった。無かったらまた周りの魔物が消えてしまうところだったよ。


ポータルストーンを登録し、また下の階層を探すのだが


「ん?なんだあれは?」


なんかダンジョンには似つかないでっかい岩が置かれている。このダンジョンは通路と広いエリアと灯りぐらいしか無いダンジョンなのだが、不自然に岩が出てきたな。3mぐらいあるなぁ。鑑定してみるか。 


・ロックタートル(幼体)

基本的に温厚な大きな魔物。ただ、敵とみなされると容赦なく暴れまわる。動かない時は寝ている。


いや敵かい!デカいな!これフィールドボスとかいうやつじゃない?フィールドボスは所謂徘徊ボスだ。


エリアボスは文字通り、そのエリアのボスで動く事は無いのだが、フィールドボスはエリアを徘徊している。もちろんいつかフィールドボスも周回したいのだが、周回するにあたって効率が悪い魔物だ。


まず好き勝手動くので何処にいるか分からないし、倒してもすぐにリポップするわけじゃない。まぁそのかわりレアドロップ率は普通のボスより少しだけ高くなってるらしいのだが。まぁ、希少種よりかは周回しやすいだろう。


そのフィールドボスを運良く見つけれるとは!もしこいつを倒して、こいつから出るレアドロップを運良く出れば、ここのフィールドボスはもう周回しなくて良いという事だ!


いや装飾品ならいいのだが、レアが装備なら、その装備にスキルが付いてたら周回しないといけないかもしれない…。そも滅多に出ないフィールドボスが装備品なわけない!装飾品だ!と言い聞かせる。


「まぁともかく、さっさと倒すか!」


俺は走り出し、思い切り足に力を入れて跳躍。やはりステータスの力!3mはある岩よりも高くジャンプしてる!力のステータスが高いからか?今はそんなこといいか。


「おはようございまーす!【スラッシュ】!」


「ガアァ!?」


意外と怖い声してるじゃん。つか風の草原のダンジョンは俺にとって雑魚ダンジョンなのに、この亀、俺のスラッシュで3分の1しか削れてないぞ!?


森熊周回で強くなったステでスラッシュ3回とは。森熊より強くないか?いやまぁ確かに剣とは相性が悪いんだが、それでも3回掛かるのか。


む?魔力察知に反応あり!何か来る?俺はすかさずロックタートルに走り出す。


「俺がさせると――ッ!?」


俺の真下の地面に魔法陣!俺の左右と後ろから岩の突起物が迫る。ちっ!前に飛ぶしか無い!俺は一瞬の判断で前に飛び転がり――上から俺を踏みつけんと、ロックタートルの大きな足が迫る。


「なにぃ!?」


こいつわざと俺の前だけに岩の槍を出さず、俺の回避させる方向を制限しやがった!こいつのAIかしこ――グヘェ!


「ゴアァー!」


「――何を勝ち誇っているんだ?俺はこのダンジョンにおいてオーバースペックだぞ?」


俺はゆっくり力を入れて踏みつけられている足を持ち上げる。やはり風の草原のダンジョン!この亀の力はそこまで強くない。俺のHPはそこまで削れてない。


だが褒めてやる。森熊周回でステータス強化した俺に少しでもダメージを与える事が出来た事を!認めてやる。お前はこの風の草原のダンジョン中では強いと!


「おおおぉぉー!」


足を下から両手で持ち上げ、そのままバレーボールをトスするみたいな感じで足を弾く。するとバランスを崩してロックタートルは倒れる。鉄剣の攻撃力を抜きにしても俺のATKもうすぐ300の力を舐めんなよ!


「ありがとう、踏みつけられる屈辱を与えてくれて。お返しに俺も踏みつけてやらぁ!」


………

……


「ふぅースッキリした!」


あれ?俺いま、このゲームめっちゃ楽しんでた?目の前でポリゴンになって消えていくロックタートル。まさかこの世界で頭を足で踏まれる屈辱を味わうこ事になるとは。頭ではなく体だけど。


まぁ、思う存分頭を踏み返してやったがな!いや、踏み返したというより頭に乗って攻撃してたか。


それよりドロップ品なのだが、ロックタートルの岩爪に銅鉱石だった。うん参加賞。それにしても肉じゃなかったな。まぁいいんだけど。ロックタートルの希少素材は甲羅だろうな。


せっかくのフィールドボスなのに時化てやがるぜ。希少素材ぐらい落とせばいいのに。


まぁいいや。さて、下の階層を見つけますか。


………

……


歩くこと20分ぐらいでようやく見つけた。今回は運が良かったな。早く見つける事が出来た。


でよ、下の階層に探してる時に少し悲しいお知らせが。あのロックタートル、フィールドボスでも何でも無かったよ。そこら辺にいるわいるわ。あいつだけ強くない?解せないわ。


で、4階層に降りると当然ポータルストーンがある。そして通路ではなく、いきなり大広間で、その先には大きな扉。ボス部屋だろうな。ようやくここまで来た。さて、どんなボスやら。



ロックタートルは本来、パーティ推奨の敵です。まぁ風の草原のダンジョンのボスやこれからの強敵の為にパーティ戦を勉強しましょう!という練習用の敵です。主人公君は武器の相性があれなので少し苦戦しましたが、武器の相性が良いと全く苦戦しません。ちなみに森熊は……まぁ練習以下ですね。


読んでいただきありがとうございますm(__)m



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