表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/37

十話 新しい戦い方はハードモード


天才幼女吸血鬼ことメティスと別れて森熊周回をする事にする。首都ノルジストからエンリット、そしてメティスと出会い、取引の話をしてフレンド登録。ここまで大体3時間ぐらい。


VRヘッドギアは6時間以上のログインは出来ないから残り3時間ぐらいか。時間いっぱいまで森熊周回するか。


って事でエンリットの外に出てやってきました森熊クリスタル。うーん人は居ないな。やはりこの森熊を周回する人はいないのか?まぁAWFがリリースされてから1年以上経っているのだ。逆に周回する人の方が珍しいか。


強い人は強いボスを周回しているのだろうな。俺も早くそこまで行きたいな。


それはそうと今回はちょっと特殊な戦い方をする。森熊を倒す効率は落ちるが、これをマスターできれば効率はグンと上がると思うんだ。


さて、クリスタルに触れて森熊再戦と。あぁ、ボスの登場演出なのだが設定で初の登場時以外はスキップ出来る項目があった。これ運営もボス周回を視野に入れてるだろ。俺としては有り難いが。


登場演出がスキップ出来るから、視界が歪むと目の前に森熊が。おぉ!あの走って来て咆哮の演出スキップ出来るのはデカいぞ!って事でインベントリから鉄剣をもう一本出しまして。


左手に鉄剣を持ってるけど、装備扱いではないのか。つまり左手で攻撃してもカスダメしか入らないのだろう。双剣術というスキルを持ってるとダメージも入るのだろう。


もちろん双剣術を狙ってるわけではない。俺がやりたかったのは――


「上手くいくか分からんが――〈念動〉!」


お、おぉー!浮いた!だがこれ相当難しいぞ!頭でどういう風に動くかを指示しないといけないのだが!森熊と戦いながらはキツイぞこれ!


試しに戦ってみるが


「うーん…念動を動かすのに集中しすぎて被弾が増えてるな」


このスキルほんと難しいんだが…これマスター出来る?言うなれば右手で飯を食べながら左手で絵を描くみたいな。


しかも剣を振るうイメージで攻撃しても、集中が途切れればカスダメになるっていう。だが念動で浮かせてると武器は装備扱いになる。これが種族固有スキルの念動効果だ。


本来念動はバラバラになったリビングアーマーの鎧を人の形として固定する力に使うという設定なのだとか。鎧を固定する他に、色んな物を浮かせたり出来るのだが、武器や盾だと装備扱いになるのだ。つまりちゃんと扱えれば効率は倍になる!


ちなみに念動と似た【念力】というスキルもある。これは誰でも覚えられるのだが、武器や盾を浮かせても装備扱いにはならない。これが種族固有の念動と誰でも覚えられる念力の違いだ。


まぁ当分は直線的な動きか、俺自身が敵の攻撃を受け止めて念動で攻撃するみたいな戦い方で慣れるか。ちょっとハードモードだな。


………

……


森熊と約3時間戦い続けた。VRヘッドギアのログイン時間が5時間50分になるとアラームが鳴る。これを無視して続けると強制ログアウトになる。そして強制ログアウトを3回繰り返すと数日はログイン出来なくなる仕様だ。なのですぐに宿を取って素直にログアウトする。


で、結局約3時間で倒せたのは35匹。1時間で12匹で、5分で1匹ぐらいのペース。念動を使うとかなり効率が悪くなる。念動使わず戦うと2分ぐらいで倒せる。


だが俺は信じてる。これをマスターした時、俺は更に効率を上げる事になると。ちなみに森熊の希少素材は森熊の爪という素材だった。もちろんレアはまだ出てない。


ログアウトするといつもの真っ白い空間。


『お疲れ様ですしゅうと様。良い出会いがありましたね』


「えっ!?」


これってメティスの事を言ってるよな?何で知ってるんだ?


『ふふ。私はVRヘッドギア内のAIですから、しゅうと様のプレイを拝見する事は可能です』


「そ、そうなのか。なんか恥ずかしいな」


『私は映画感覚で拝見してますのでどうぞお気遣いなく』


「俺が気にするんだが…」


『それはそうとしゅうと様はコレクターでいらっしゃるのですね』


「そうなんだよ!いま森熊って敵と――」


『なるほど。レアな装備品が――』


「それでさ――」


『しゅうと様、そろそろ時間が迫ってますのでログアウトを』


俺、夢中になって話してたな。しかもAIに。でも趣味の話を真剣?に聞いてくれるとこっちも話すのが気持ちいいんだよ。それに趣味の話を出来る友達は少なからず居たが、最近まではブラック企業で地獄の日々を過ごしてたからもう何年も話してないしな。まぁAIだから真剣も何もないのかもしれないが、俺は少し嬉しかったのかもな。


「すまない」


『いえ、またお話を聞かせてください』


「あぁ、そうする」


『では健康タイマーを開始します』


その言葉の通り健康タイマーが開始し、俺は強制的にログアウトした。筐体から外に出て時間を確認。今は20時ぐらいか。さて近くに牛丼屋があるからそこで夕飯を済ませてお風呂に入ってもう一度ログインだな。


………

……


ふぅー。牛丼屋で大盛り食べたし、お風呂でさっぱりしたしスッキリだ。今は22時ぐらいか。仕事もしてないしちょっとぐらい夜更かししても大丈夫か。


って事で再度ログイン。健康タイマーはもう終わってるしな。


『行ってらっしゃいませ。しゅうと様』


さぁ戻ってきたよ。早速森熊周回と行きたいところだが、フレンドでメティスはいるかな?…おっいたいた。フレンド一覧の名前が白になっているからログインしてるという事だ。灰色っぽい色だとログアウト中らしい。チャット送ればいいかな?


『メティス聞きたいことがあるのだが、いま大丈夫か?』


これですぐに連絡が来なかったら時間も勿体ないし森熊周回するか。と思ってたけど、すぐに返信はきた。きたが、なんだコレ?画面右端に電話マーク?俺はそれをタップすると


『繋がったのよ』


「おぉ!通話もできるのか!」


通話中のマーク?は邪魔にならないよう右上に自動的に小さくなって表示されてる。凄いな


『聞きたいことがあるのね?通話の方が早いからこっちで話すのよ』


って事で聞きたいを質問する。俺が聞きたいのは有用なスキルがないか。やはり念動を扱うのが難しい。思考をサポートする様なスキルはないか?と聞いてみる。正直自分でもそんなスキルあるのか?ってぐらいダメ元で聞いてる。あるなら取るし、無いなら諦めて練習あるのみだ。


『あるのよ。高速思考ってスキルなのよ。名前の通り高速で思考できるのよ』


「そうなのか!ありがとう!ちょっとそのスキル取ってみるよ!」


『でもそのスキル、スキルレベルを上げるのが大変なのよ』


詳しく聞いてみるとこの高速思考というのはパッシブスキルで、高速思考が発動している時間に応じてレベルが上がるものだという。


ただ、高速思考というのはただ無意識に思考してもレベルが上がらない。レベル上げるには高速思考が必要な場面でないと上がらないのだ。


どういう事かというと、雑魚戦闘ではただ避けて斬ればいいみたいな、無意識でも倒せてしまう様な敵では上がらないのだ。常に極限状態といえばいいか、一瞬の判断が致命的になるような、常に脳をフル回転してる様な状況じゃないと上がらないのだとか。


それは戦闘だけじゃなく、錬金や鍛冶をしてる時にも発動する。要は難しい戦闘や作業に発動するみたいで、その状況を常に作るのが難しいからレベルを上げるのが難しいのだとか。


「なるほど助かった」


それを聞いて、当然俺も取る。良かった、取得出来るスキル一覧にちゃんとあった。必要SPは…10!?たっか!だけど俺は迷わず取る。レベルは森熊35匹倒した時に何回か結構上がったからな。やはり雑魚より経験値美味しいわ。


本当はレア掘りが終わってから、どれだけレベルが上がったか、SPはどれだけ増えたか、スキルはどれぐらい伸びたか、それも楽しみにしてる。基本的にレア掘り終わるまで何も弄らないのだが、今回は特別だ。


と言うことで取得しました。


・高速思考

高速で思考出来るようになる。


ふむ、説明は至って普通だ。先ほどメティスが言ってた、難しい戦闘や作業を常に作るのが難しいからスキルレベル上げは大変とか行ってたが、念動を使えば簡単に上げれるのではないか?と思ったんだ。


じゃあ早速森熊周回だ!で、戦ってみたのだが


「おぉ!高速思考のレベルが1でも恩恵は感じられるな」


念動を少し動かしやすくなった。高速で思考してるからこそなのだろうけど、やはりまだ二つの事をいっぺんに考えるのは難しい。高速思考のレベルが上がればマシになるのかもな。


しかしどういった技術なのだろうな?8時間が1日に感じる時間加速に脳の処理をサポートするとか俺には全く分からない。メティスはそういうの詳しそうだから聞けば分かるかもしれないが、そもそも俺が理解出来るか分からんし聞かないが。


戦いながらこんな事を考えられるのも高速思考を取ったおかげかな?さっ集中して戦うか!


………

……


1体倒すのに3分まで早くなった。念動使わなければ2分だからまだ練習が必要だな。


それでよ!2時間ちょっとで43体狩ったらついに出ました装備品!いやー今回は防具だよ!って事で鑑定


・新緑の革鎧

森の精霊に祝福され、溢れる生命が満ちる革鎧(レザーアーマー)

◆【体力強化(鎧)・小】


……はっ?えっ?この鎧にスキル付いてんの!?しかもステータス強化かよ!めっちゃ強くね!?


ってか俺は他の防具装備出来ないからこの恩恵を受ける事が出来ないのかよ。ズルくない?


――いや待てよ?これ新緑の革鎧を吸収したらどうなるんだ?もしかして俺の鎧にスキル付くんじゃないのか?


いやだが待て、もしこれでスキルが付かなかったら俺は何の為にレアアイテム掘りしてたんだってなる。だがもし付いたら?むしろこの為に防具吸収があるんじゃないのかすら思えてきた。


もし付かなかってもまた70匹ぐらい狩ればまた手に入るだろ。よし、覚悟は決めた!メティスに聞けば教えてくれそうだが、あまり頼りすぎるのもあれだしな。


って事で新緑の革鎧を〈防具吸収〉!新緑の革鎧はリビングアーマーの鎧に吸い込まれていく。不思議な感覚だね。で、ステータス確認してみたらちゃんとリビングアーマーの鎧の下に【体力強化(鎧)・小Lv1】が追加されてた。


すげぇ!この体力強化鎧のレベルも魔物を倒した数なのか?それともまた吸収させるとLvが上がるのか?


うーん分からん。さっきメティスに頼りすぎるのはと言ったが、前言撤回で。これだけ聞いときたい!メティスはまだ起きてるかな?



ステータスに関しては森熊周回が一段落をしたら載せます。


読んでいただきありがとうございますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ