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八話 クリスタルと謎の幼女

少し長くなってしまいました。


エリアボスと戦う前に、鉄の鎧セットを種族スキル【防具吸収】に食わせてみた結果、なんと凄い!何も起こらなかった。いや種族スキルどうなってんの!?まさか種族スキルがゴミスキルなんて事はないよね?防具吸収にはレベルが存在しない。つまりユニーク級のスキルなはずなのだが…。


ステータスの変化も無し、レベルが上がったっての無い。まぁまだ鎧セットしか食わせてないからやり方が間違っていたのかもしれないが…。


そんな事より森熊だ。睨み合いが続いてるなか、先に動いたのは森熊だ。体長2m以上ある熊がそれなりのスピードで迫ってくる。


「おわっ!?」


その場から飛び退いて避ける。死なないと分かっていてもこれは怖い。思わず反射的に飛び退いてしまった。


だが思ったより森熊は速くないし、避けれる。今度は俺の目の前で立ち止まりそのまま爪を振り下ろしてくる。俺はそれを自分の剣で受け止める。


「おや…?」


少し違和感が…今はいいか!爪を受け止めていた剣に力を入れて爪を弾く。


「おらっ!さぁいくぜ〈スラッシュ〉!」


「グオッ…!」


えっ…?森熊の体力が3分の1削れたぞ。じゃあスラッシュあと二回入れたら終わる?ボスってそんなに弱いのか?そんな事を考えていると


「グガァァ!」


「また爪の振り下ろしか?そんなの受けて止めて――しまっ…!」


森熊の右手で爪を振り下ろし、剣で受け止めたのを見計らって森熊の左爪で俺の横腹を思い切り叩かれた。


森熊的には引き裂いたつもりだろうが、意外に硬かった俺の鎧は叩かれてふっ飛ばされた。


「あ…つつ…あれ?痛くない?」


ってか俺の体力が少ししか削れてない!?さっきの違和感もそうだがやっぱ森熊弱くないか?いや俺が強くなりすぎたのか?


それはそうとなかなか頭の良いAIだ。俺に剣を受け止められると学習したのか?この世界のNPCもそうだが、本当に人間みたいだし、ほんとどうなってんだ?いや考えるのは後だな。今は森熊に集中だ。痛くないと分かったのならゴリ押しでいく!


………

……


って事であっさり勝利。最初はちょっとおっかなびっくりだったが、そこまでダメージが無いと分かれば怖いものなんて無い。


それにしても何故ここまで弱いのか。少し調べたらなんて事はない当たり前の事だった。俺はレベルを上げすぎた。初心者応援キャンペーン中ってのもあるが、レベル20でも高い方だ。ソロなら20で適正ぐらいでパーティだと15が適正らしい。


俺?36だが。ATK?100超えたが。そりゃ楽勝ですわな。VITも100近くあるし。この時点でATK50でも高い方なんだとか。まぁ風の指輪出るまで雑魚を乱獲しすぎたからな。それも風の指輪を落とすウルフだけじゃなく他の雑魚も。


何はともあれドロップ確認だ。このイベントエリアは60秒経ったら強制的に追い出されるからな。追い出される前にちゃっちゃと確認だ。


森熊がポリゴンになった場所に光の玉みたいなのが落ちている。それに触れると


■森熊のドロップ品

・森熊の肉

・森熊の厚皮


目の前にホログラム画面の様なものが表示され、そこに森熊のドロップ品が書かれている。


ふーむ、流石にいきなりレアアイテムは無しか。だがオールオッケーだ!すぐにレアを引くなんてつまらないからな!集めるのも楽しいが、レア掘りをしてる時間も楽しい物だ!このドロップ品を見る時のワクワクが毎回たまらない!


おっと…いかんいかん。変な事を考えてる間にも強制退出時間が迫ってきている。ホログラム画面の右下に全て受け取るボタンがあるのでそこを押す。


強制退出時間までまだ時間はあるが、もちろんすぐに出ることが出来る。


「退出」


こう言えば目の前に退出しますか?というのが出てくるので、[はい]を押す。少し面倒くさいが、これは主にパーティの為に作られた仕様だ。


昔はパーティリーダーだけに表示されてたのだが、まだドロップ品を回収してないのにリーダーが退出してかなり揉めたのだとか。それが運営にまで話がいってみたいな。俺はソロだから関係ない話だが。


はいを押してから視界が歪む。だがそれも一瞬で本当にイベントエリアから退出出来たのだろうか?と思うほどさっきと同じ場所にいる。だが、どうやら本当に退出しているようだ。周りから魔物が大量に近付いてくる気配がする。


イベントエリアに隔離されてたって事なのだろう。さて、まずは周りの魔物に気付かれるのは面倒だから気配を隠すスキルを総動員だ。この辺りはノルジストと変わらないからな。


じゃあまずは第二の街エンリットのポータルストーンを登録しに――


「…なんだあれ?」


森熊と戦った場所に、戦う前には無かった大きなクリスタルの様な物が浮遊している。まぁ危ない物ではないだろう。俺は恐る恐るそれに触れると――


《森熊と再戦しますか?》


えっ…出来んの?いや出来るとは思ってたよ?でもほら、もうちょっとさ、再戦まで30分掛かったりみたいな?リポップっていうんだっけ?それがあったりするんじゃないの?すぐ再戦出来るとか……まじで!?


それなら森熊が絶滅する勢いで狩りまくるよ!?って事で再戦。また視界が歪み周りから雑魚が消える。そして遠くからドスドスと大きな足音が聞こえて、俺の目の前で止まり――「グオォォォー!」と。


あっこれボスの登場演出か。これスキップ出来ないかな?後でちょっと確認してみるか。で、戦闘なのだがもうゴリゴリのゴリ押し。被弾してもとりあえずスラッシュ!クールタイム中なら攻撃!結果2分ちょっとで討伐。んー攻撃をする箇所でダメージが変わるのか。頭は良いダメージ入るが背中とかは微妙だな。ドロップはお察しで参加賞とちょいレアな参加賞だけだ。


イベントエリアから退出して、もう一度クリスタルに触れたのだが


《森熊と再戦しますか?》


まじでノンストップで森熊狩れちゃうよ!エンリットでポータルストーンを登録したらすぐに周回しよう!ちなみに森熊を鑑定したらこんな感じ


森熊(フォレストベア)

本来は森の奥に住む魔物である。自分のテリトリーに入ると容赦なく襲ってくる。その鋭い爪は堅い木ですらいとも容易く引き裂く。

◆ドロップ

森熊の肉 コモン

森熊の厚皮 コモン

???  アンコモン

???  レア


やっぱあるよな!今回の4つ目のレアは期待できそうだ!って事でエンリット到着。ポータルストーンを登録して早速森熊に――


「そこの鎧の者」


鎧の者?俺以外にもそんな奴がいるのか。まぁ同じ種族って事もあるだろ。俺には関係ないことだしさっさと森熊に――


「君の事だよルヴァンシュ君」


「ッ!?…何で俺の名前を?」


「簡単な話よ。君の事を鑑定したのよ」


「なるほどな…!そうやって隠れてこそこそ人を探るとは悪趣味な奴だ。姿を現したらどうだ?」


「姿を現すも何も目の前にいるのよ…」


目の前?確かに子供のようなかわいい声はするが俺の目の前には誰もいない。そもそもこのAWFは15歳以下は親同伴じゃないと出来ない。つまり高校生から1人で出来るようになる。まぁそれも踏まえて目の前から聞こえるかわいい声は明らかに小学生低学年の様な声変わりもしてない声なのだ。


「精神攻撃か?言っておくが俺はそんな言葉には騙されないぞ。そもそも許可なく鑑定するのはマナー違反じゃないのか?」


「精神攻撃?私はそんなスキル持ってないし目の前にいるのは事実なのよ。下を見るのよ」


「…ん?」


下を向いたら何かいた。というより小さい子供だ。身長は100cmぐらいか?4歳ぐらいじゃない?えっNPCじゃないよな?


「君、迷子かな?親御さんは何処にいるのかな?」


「ククク…私が子供に見えるの?」


「いや見えるだろ」


「……私の頭に置いてる手を退かすのよ。それと一つ教えてあげるのよ。フレンドではない知らない者からの接触があると通報が出来るのよ。いま私の目の前に通報画面が出てるのだけど――」


いけねっ…いつの間にか子供と思って頭を撫でてた。いや子供なんだが


「…いやすまん」


「いいのよ。私も許可なく鑑定したって事でおあいこなのよ」


「あぁ…ありがとう」


確かに子供というよりは小さすぎるが、雰囲気が大人だな。たまにクククとか変な笑いするけど。だが見た目やプロポーションは弄れなかったはず。弄れるのは髪の色とか目の色とかだ。


俺はこの小さな女の子を観察する。身長はかなり小さい。目は黒くタレ目だ。気だるそうな目といえばいいか。髪の毛は紫で長いがボサボサで、服はダボッとした白い研究者の様な服を来ている。手とか服から出てないし。やっぱどう見ても子供だよな。子供が無理して背伸びしてるだけの様な


「君が考えている事は分かっているのよ。こう見えても私は二十歳なのよ。……その顔は信じてないのね?このゲームは十歳以下は遊べないのよ。つまり十歳から親同伴であるならプレイできるのよ」


「親同伴が無くなるのは高校生からだったよな。つまり高校生以上か」


「そういう事なのよ。というか周りに親がいないのだから大人と分かるよね。人を見た目で判断するなとよく言うのよ」


「いやぁーそれはそうなんだが…」


優しい人が実は悪い人かもしれないみたいな意味合いで使われると思うのだが、見た目が子供なら、見た目で判断してしまうよ。


「ところでルヴァンシュ。君はコレクターなのね?装備品を集めてるのね?」


「な、何故それを?」


「私が君のスライムジュエルの買い占めたのよ。それで分かったのよ」


「いやなんでそれだけで分かるんだ?」


「それは私が天才だからなのよ!」


腰に手を当てエヘン!ってポーズで胸を張ってるが、この子自分で天才とか言っちゃってるよ。子供の時から自分は天才だー!とか言ってると大人になった時、昔を思い出して恥ずかしくなるぞ。…いやこの子はもう大人か?


「また信じてない顔よ。はぁ…これだから凡人は」


と、何故俺がコレクターなのか語ってくれた。まずスライムジュエルを買い占めたのはこの子だ。その時点で俺が出品してる物が分かった。ノルジスト周辺の素材ばかりで、全てアンコモンの素材だ。


スライムジュエル自体は金策になるが、スライムジュエルで金策するならもっと他の場所でする。スライムが大量に出てくるダンジョンがあるのだとか。それを知らないという事は初心者だ。


そもそも初心者がスライムジュエルをワールドマーケットで売った方が良い事を知ってるということは少なくとも攻略サイトや掲示板を利用したのだろう。


だがスライムジュエルをワールドマーケットで売るという事は知ってるのに、スライムが大量に出てくる金策ダンジョンを知らないという事は金策ではない。


だがノルジスト周辺の雑魚を大量に乱獲している。レベル上げならずっとノルジスト周辺の雑魚を狩るのは効率が悪い。つまり何か目的があって乱獲してるという事だ。ここまで分かればあとは簡単、ウルフから出るレア装備品だろう。


初心者が強い装備を欲したって事もあり得るが、それなら初心者応援キャンペーンでレベルを上げれるとこまで上げ、自分の今のレベルで危なげなく倒せる魔物から狙えばいい。それこそ攻略サイトとかにある程度はどの魔物からどんなレア装備品がドロップするか書かれてるし。


なら風の指輪より性能の良い装飾品を狙えば良い。そもそも俺のステで風の指輪を狙うのはありえないし。じゃあレベル上げでノルジストの雑魚を乱獲してたのか?というのも違うだろう。レベル36ならここら辺じゃ経験値効率が悪すぎだからもう少し先のエリアに行くはずだ。


「ってな感じなのよ。じゃあ後は性能とかそういうの関係なしに欲しいってなり、そういうのってコレクターじゃないのかってね」


「えっ…ワールドマーケットの出品を見ただけでそこまで理解したの?」


「そうなのよ。だからまだ第二の街で来てないと思って待ってたのよ。でもまさか風の草原のダンジョンより先に森熊に来るなんて思わなかったのよ。まぁそのおかげで予定より少し早く会えたのよ」


まじかよ…ワールドマーケットの出品物で俺がコレクターって事までバレたのか。この子…天才じゃったか。


「いやだが待て、そもそも俺を見たこと無いだろ。ワールドマーケットの出品者で名前は分かっても姿は分からないはずだ。この時期の初心者は少ないとはいえ、俺以外にも初心者はいっぱいいるはず。まさかその一人一人に鑑定をしていたのか?」


「それこそまさかなのよ。君がルヴァンシュだと断定して声をかけたのよ。一応鑑定したけどやっぱり当たってたのよ」


「じゃあどうやって…」


「簡単な話なのよ。新しい街にきたら最初に誰もがする事はポータルストーンを真っ先に登録するのよ。じゃあその次は何をすると思うの?」


「そ、それは…」


レア掘り!なんてのは俺だけだろうな。何するんだろう?


「冒険者ギルドか宿屋の確保なのよ。次点で鍛冶屋とか道具屋なのよ。君はそこに行かずまた外に出ようとするのよ?君がもしコレクターならその行動も伺えるのよ。なにしろ、この街から出てすぐの場所に森熊と再戦出来るクリスタルがあるのよ」


「な、なるほどー」


「だから君がルヴァンシュと確信を持って声をかけたのよ」


「そういえば何か用があって俺に声をかけたんだよな?」


「そうなのよ!私は君と取引したくて声をかけたのよ!」


取引?いや俺まだ初心者なんですが?まだ初めて1日も経ってないのですが?早速変な可愛い女の子に目を付けられた。



・ドロップ品(光の玉)

基本的にドロップ品は光の玉で浮遊しています。それに触れるとドロップ品が表示されます。この光の玉は他のプレイヤーには見えません。つまり自分がドロップ品を回収し、光の玉が消えた事は本人しか分かりません。一定時間経つとこの光の玉消滅します。パーティで一体の魔物を倒すとそれぞれのプレイヤーに光の玉が出ますので、ドロップ品は各々違います。


説明が分かり辛かったら申し訳ありません。

読んでいただきありがとうございますm(__)m

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ステータスを看破するなんてこそこそ鑑定が高いのでは?
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