music strategy ③
時間が迫る。
ここからが本番。
バンドメンバーみんなからも、緊張の様子が伺われる。
「おい!大丈夫か?」
俺がそう言うとみんながこっちを見た。
「お前が言うな!」
「ちひろくんが言うな!」
「サウロさんが言うな!」
「ちひろが言うな!」
どうやら、みんな大丈夫そうだ。
最後の準備。
俺は、イスに座りギターのチューニングを始めた。
各々別々のことを始めている。
ステージを見に行く姫星と雄太。
俺と一緒にチューニングをする蓮弥。
天井を見ながら、スティックで、そこにないドラムを叩いている蒼馬。
暑さは、もう自分の熱さと混ざり合って瞼の裏の観客へとピッグに気持ちを合わせ始めた。
ふとセットリストを見ると、そこにはあらかじめバンドメンバーみんなで決めたリストが置かれてあった。
「なぁやっぱりここに、あの曲入れられないかな?」
「あぁ…でも未完成というか…納得いかなかったんじゃなかったんすか?」
「いいんじゃないか?もう。それで」
そう言って俺が笑うと、蓮弥は、みんなを集めて話し始めた。
「うん!いいと思う!あーしは、もともとこれやりたかったし!」
「でも大丈夫?あんまりみんな納得してなかったし」
「だから、いいんじゃないか?」
蓮弥は、笑ってそう言った。
「俺もいいと思う。この曲は、この日の為にあった様に感じるし」
雄太は、あまり曲に関して意見を言うことは、なかったが初めて聞いた気がした。
「いいだろ!俺達のリーダーがそう言ってるんだしな!」
蓮弥がそう言って俺に言葉を投げた。
なんでだろう。
あの時から、これは、決まっていた様な気がする。
あいつ(姫星)のギターに頭を殴られていてから俺は夢を見ているのかもしれない。
───────バサッ
タイミングよくテントに人が入ってきた。
「待ってました!出番だぞ!お前ら!」
佐山が俺達を呼びに来たみたいだ。
俺は、深呼吸してバンドメンバーもう一度みんな見ると、みんなは俺を見て笑っていた。
「行くぞ!おまえら!」
「だっせぇ」
姫星がそう言ったのが聞こえた。
ステージへの階段一歩ずつ上にあがる。
不思議と足が軽い。
「珍しいな、サウロ。緊張してんのか?いつも通り行こうぜ」
ステージ横で小さな身長から俺の肩に手を伸ばす姫星は、とても頼もしくて、いつまでも一緒にいた相棒の様に感じた。
「姫星!ここからが本番だぞ!」
「おう!」
俺達は、ステージに立つ。




