music strategy②
「子供みてぇに泣くなよ」
気がつくと楽屋には、俺と姫星しかいなかった。
「あぁすまん」
俺は、笑ってみたつもりだったが、どうだったかは、姫星しか知らないことなのだろう。
「あーしさ、このバンドで本当によかったと思ってる。はっきり言ってこんなに上手いこといかないでしょ?普通?」
姫星は、タバコに手をかけると、ゆっくりとまた口を開く。
「はっきり言ってあんたのお陰だと思ってんの。あーしが初めてライブを見て…見入ってしまったのはサウロ。あんたなんだよ」
姫星はタバコを吸いながら、天井を見ていた。
「そこに行きたいとあーしは思ったんだ。見せ方、立ち回り、技術。あーしは、とてもそこにはいけない気がして、ライバルなんて勝手に思いこんで、ただ…本当にカッコいいと思ってたんだ」
タバコの火をけして姫星は、恥ずかしそうに俺に言った。
「武道館行くんだろ!?あーしの夢なんだよ!!」
「は?」
たくさんの言葉を言われたが最後の言葉に俺は、耳を疑った。
「だ・か・ら!武道館!このメンバーであーしは、行きたい!!!」
そんなこと、でもないかもしれない。そういう人もいるのだろうと心のどこかで思っていた。けれど、まさかこんな近くにいたなんて。
「ぷっふーすすすすすす」
笑いを俺は、抑えきれなかった。
「な…な…な…何を笑ってるんだ。おまえー!」
顔が真っ赤になって、照れ隠しで怒っている姫星は、久しぶりに見た気がした。
俺は、深呼吸して心を落ち着かせた。
「〝姫星〟ウォーミングアップは、まだ終わってないよな!?」
俺は、そう言ってギターを取り出した。
「おぉう!!」
姫星は、笑顔で返事をした。
─────ガサッ
「近藤さん。もうそろそろいいっすか?」
笑いながら、蓮弥が楽屋に入ってきたと思うと、ニヤニヤした、蒼馬と雄太も入ってきた。
「チッ!…お前らなぁ…」
「サウロ!舌打ち!」
注意を俺にする姫星は、まるで、昔の俺の様だった。




