music strategy①
「始まりまーす。準備お願いしまーす」
スタッフの言葉で、俺達は、楽屋からステージに向かった。
簡単な、準備を雄太に任せ俺達は、ステージに立つ。
7月の昼間、リハーサルだっていうのに観客がまばらにこちらを見ている。
知らない顔ばかりだ。
しかし、その目は輝いて見えて笑っている様に俺は見えた。
マイクから声を出して、他の楽器の音を聞く。
ライブハウスと違って、音の鳴り方、空気感が違う。
それは、外だからっていうのもあるのかもしれないけれど、聞く人の心情もなかなか違うものがあるんじゃないかと俺は思う。
結局は、その音が好きかどうか、なのかもしれないけど、それは、とても日常に似て
いて、それでも特別なものなのだと俺は思う。
たとえば、花火なんてその一つなんじゃないかって俺は思う。
一つのものが打ち上がって弾けて消える。
それは、とても大きく、綺麗で、儚くて…
家のテレビで花火を見ている時もそう感じるけれど、外では、よりそれが奇跡みたいに感じられる。
日常では、ない日常。
あの時見た夢が、そこにある様に、現実でそれを体感できる。
だから、それを人は、見るんだ。
見てしまうんだ。
俺は、そう思っている。
「ありがとうございまーす。では、本番もお願いしまーす」
スタッフの言葉でまたリハーサルが終わり、控え室に戻ると俺の目からポタポタと涙が溢れていた。
「おぉい。どうしたんだ?どこか痛いのか?」
姫星が近づいて来て、俺に声をかけた。
「あぁ、よくわからん。なんでだろうな」
「バカ!お前はいつも抱え込みすぎなんだよ!言えよなんでも!」
「なんで、お前になんでも言わなきゃいけねぇんだよ」
少し強い言葉だったかもしれない。
また、俺は距離をとってしまう。
「となりにいるって言ったじゃん。あーし」
そんな言葉を前にも言われた気がする。
いつだったかは、もうわからないけれど。
俺は、身長差のある姫星の肩でいつのまにか泣いてしまっていた。




