俺達のscore①
練習後、雄太がみんなに声をかけた。
「ねぇ、ライブしようよ!遠出してさ!」
週に3回の練習に月2回のライブをこなしながら、みんなバイトや自分の生活をおくっている。
俺も考えては、いたがなかなか言葉にすることができなかった。
「あぁそうだな、ぼちぼちするかなぁ」
俺がそう言うと少し場の空気間が変わったのが分かった。
「…でもさ、もっと今までもライブできたんじゃないかな?姫も全然練習こなくなってさぁ」
「どうしたんだよ?急に」
俺は、戸惑っていた。
あれから数ヶ月、雄太と距離をとっていた。
だが、それも慣れてきていて今は、距離があっただけの様に感じる。
そうなってしまっていた。
「お前がおかしくしたんだろうが!」
「は?俺が?」
「はっきり言えよ!何が気にくわないんだよ!」
「別に普通だろうがよ」
「ちひろくん。俺は、このバンドが好きで入ったんだ。今は、ただ好きでいようとする自分が嫌なんだよ」
そう言って、下を向き雄太の声は、震えていた。
俺は、冷静だった。
「だったら辞めろよ」
そんな言葉が自然に出てきた。
俺は何かを雄太に伝えたかったのに。
それが何かがわからなくなっていた。
─────ガチャ
重い扉がゆっくりと開く音がした。
雄太は、スタジオから無言で出ていった。
「それでいいの?」
優しく蒼馬の声がスタジオ中に響く。
「もう、そろそろちゃんと話ししたほうがいいんじゃない?雄太くんと姫ちゃんとも。僕はさ、普通の友情や恋愛なんてしたことないけどさ。時間が解決するなんてことは、ないんだよ?それは、気にならなくなっただけ、音楽より先に向き合わなければならない問題があるんじゃない?」
俺は、雄太を追いかけた。
もう近くには、いないかもしれない。
それでも俺は、雄太が最近よく停めている地下駐車場へと向かった。
そもそも、車で来る必要はないのに何であいつは、いつも車で来ていたのだろう。
みんなに自慢したいから?
遊びに行きたいから?
あいつはそんな奴じゃない。
そんなことは、わかっている。
あいつは、あいつなりに、いつもこのバンドのことを考えてくれていた。
必死に楽器のことや、バンドのことを覚えてくれて。
今じゃ、ライブのリハーサルには、率先して考えを言葉にしてくれていた。
俺の気持ちなんてものは、最初からあいつにはどうでもよくて、でもそれが好きでいてくれて…
そんなことは、ただの俺の気持ちでしかなくて…
駐車場につくと、車のドアの前でうつむいている雄太がいた。
俺は、ただ言いたかった言葉を
「雄太。このバンドに入ってくれてありがとう」
言ったんだ。




