beautiful moon
4月中頃、世の中は春だ。
なんて言っている 。
俺は、コートを着て今日もスタジオに向かっていた。
いつも通る公園の隅には、もう桜が咲いている。
これが、何部咲きかは、わからないが普段見慣れない色を見ると穏やかになる。
まだ、時間がある。
俺は、一人公園のベンチに座った。
そこに置いてある灰皿には吸殻が無造作に入っている。
誰かがここに来て俺と同じ様に時間を過ごしている。
風が心地よくて、寄り添ってくれている。
まっすぐに、俺を見つめる。
ここには、俺しかいないみたいだ。
そんなことはないのに。
夢を見たんだ。
誰かが俺に微笑んで、ここにいていいって一緒にいてくれた。
初めて自分の歌を言葉にした時の様にうれしくって涙をながしたんだ。
同じじゃないのに、一緒なんだと。
出会いは、必然だった。
望んだことに、痛みを伴って俺は明日に向かう。
あたりまえになった日々が怖くなることなんてあるだろ?
だけど、そんな毎日でも二度とこないんだ。
前を見ていないなんて、考えたくない。
どこでもいい。
走り続けないといけない。
でも、それは上を見ながらじゃなきゃいけないのか?
下を見ながらじゃないと見えないものもある。
夢を見たんだ。
一緒に居たいって、俺達とこれからを一生懸命考えていた。
初めて言葉を届けられたことが、うれしくて、涙をながしたんだ。
好きなことを好きだと伝えられたことに。
俺は、スマホのメモを閉じた。
ベンチから立ち上がり、俺は、スタジオに向かう。
今までもこれからも、これを続けていきたい。人の気持ちは、わからないけれど、自分に正直であることが、自分らしくということなら、考えながら俺は、音に歌にそれをしていきた。
電車の中、行きしなに晴れた空に月が見えた。
それは、透明で青にいつもあるかの様な白さだった。
できることなら行ってみたいと俺は思った。




