俺とお前のキーコード①
目を覚ますとそこは、ベッドの上だった。
周りは、カーテンで覆われていて俺の腕には、点滴の針が刺さっていた。
意識はあるが、まだ目の前がぼーっとしている。
あのとき、騒いでいるみんなと、姫星が俺の胸に耳を当て、生きてるかどうか叫んでいたのを覚えている。
せっかくバンドメンバーで集まって初めての年末だっていうのに迷惑をかけてしまった。
今まで、バンドメンバーで集まって年末を送るなんてなかった。
せいぜい、佐山に呼ばれて、新曲を作るとか、佐山と佐山の彼女と飯を食う程度だった。
少し楽しすぎたのかもしれない。
新しいメンバーが入って、学生気分が戻って浮かれていたのかもしれない。
俺がしていることは、仕事だ。
音楽で飯を食う。
それが、俺の課題だ。
いい音楽とは、なんだろう。
そんなことを考えながらカーテンの隙間からうっすらと光が見えていた。
誰かに今の大切さや明るい未来を俺の音楽で伝えたい。
そんな、自己満足を押し付けて誰かが共有してくれればなんて思っていた。
それが、音楽なんだと今でも、そう思っている。
だがしかし、自分らしくなんて考えていると、立ち止まっている自分がいることに、ため息がでてくる。
俺がしたかったことは、何か…
そんなことを考えていると、カーテンが勢いよく開いた。
「おおー起きたか!よかったー!」
姫星が笑顔で、俺のベッドに顔を埋めた。
「…すまん。迷惑かけたな…他の奴らは?」
「うん…雄太が今病院の人と話ししてる。蓮弥達は、帰したぞ!」
「そっか」
「気分悪かったら言えよな!いっぱい心配したんだぞ!」
「あぁ…」
「大丈夫なのか?」
「あぁ…なぁ姫星。本当はお前なんで俺達のバンド入ったんだ?」
前に一度聞いた気がするが無性に聞きたくなった。
こいつと俺達のはじまりを。




