休日の音叉④
「そろそろ行くか?」
俺がそう言うと、お寺の畳の上でくつろぐ二人がこちらを向いた。
蓮弥は大の字で寝転がり、姫星は、鐘を鳴らす人達の写真をスマホに撮っていた。
鐘を鳴らすのに疲れる。
なんてことは、人生で他にないのかもしれない。
「そうっすね。あいつら待ってるし」
「うん…」
あとの二人は、用事があってあとから合流することになっていた。
重い腰を上げる二人に呆れていると、スマホに連絡があるのに気づいた。
『もうすぐ年越すよ!早く来て!』
蒼馬から、三人に送られている様で、蓮弥は頭を抱えていた。
「よし!早くいきましょう!姫もいくぞ!」
どうやら、何か言われたのかもしれない。
蓮弥の顔から焦りが見えた。
あと10分で待ち合わせの神社に着くかというと、はっきり言って難しい。
外に出た。
年越し前、開けた道に出たとしても通るタクシーは予約車ばかり。
今年は、この三人で年越しかぁ。
なんて思っていた。
─────プルルル
雄太からスマホに電話がかかってきた。
「どうした?蒼馬と一緒なんだよな?」
「うん!もうすぐそっち着くよ!」
「?どういうことだ?」
俺がそう言うと一台のバン車が俺達の前に止まった。
「やっほ~」
そう言って蒼馬と雄太が車の窓を開けた。
「おま…これ…」
「バンドと言えばバン車かな…なんて」
笑顔ではにかむ雄太だったが、俺は素直に嬉しかった。
いや、自分に都合がよかっただけなのかもしれない。
そう思ってしまったんだ。
それだけのことだった。
………………
みんなの会話が聞こえてくる。
─────バタン
どうやら俺は、倒れてしまったらしい。




