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休日の音叉③

もうすぐ、年が終わる。


お気に入りだった、ピーコートも今じゃ流行(はや)(すた)りの置き去りになり、押し入れのハンガーに掛かったままになっている。


12月23日。

今日は、flapのバンドメンバーで居酒屋みかんで、忘年会をした。


特に変わったこともなく、これから頑張って行こうとお互いに意識を高められたと思っている。


俺達は、俺は、これからどうなっていくのだろう。


星姫と、蓮弥と3人で年を越そうと俺は一人、待ち合わせの寺に向かっていた。

どうやら、二人は除夜の鐘を鳴らしたいらしく、先に行ってしまった様だった。


あまり聞いたことがない様な、しかし、誰もが聞いたことがあるのかもしれない。

そんな鐘の音になんの意味があるのかと、考えていたが、今の俺では何もわからなかった。


結局、やること。

それを物事をしたことに意味があるのかもしれない。

そんなことを思いつつ、鳴り始めた鐘の音に俺は、心を奪われてしまっていた。


歩きタバコは、よくないのはわかっているが1本だけと、火を着けた。

今日は、少し身体が熱い。


「着込みすぎたかな…」


そんな独り言と一緒に、白い煙と息を吐いた。


そこは、街中にある少し大きな明るい寺だった。

中には、数十人並んでいて見知った顔がキャッキャウフフと騒いでいるのが見えた。


「姫ちゃん初めてなの?」


「うん!なんかこういうの興奮する!」


言葉だけ聞くとなんだか、なんとも言えない気がしたが、俺は体ごと姫星にぶつかった。

「よっ!」


「およっ…おぉサウロ!来たか!!」

いつもより笑顔3倍増しの姫星に俺は、少し頬が緩んだ気がした。


「うっす。近藤さん。もうすぐ、年が明けますね。来年は…絶対形にしましょう」

そう言って蓮弥は、握り拳を俺の胸に当てた。


「お…おう」

少し…ではないな。

それなりに嬉しかった。


「なぁ、サウロ!お前も鳴らすか!?鐘!」


「いや、俺はいいよ」

俺は恥ずかしさも有り、首を振った。


「なんでだ!?こんな機会ないぞ!?」

頬を(ふく)らます姫星(きてぃ)に困った顔をしていると、蓮弥が声を上げて叫んだ。


「よっしゃー来年は、結果残すぞー」


一息深呼吸して、蓮弥は俺を見た。


年越しっていうのは、どんな日よりも特別なのかもしれない。

数あるイベントの日や、誕生日なんてあるけれど。

新たな年、新たな自分と出会えるのかもしれない。

そんな期待や希望で満ち溢れている。


「ふぅー。やりますか…」


俺達は、一人一打ずつの鐘の音を何周したかわからなかった。

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