今後の展望
居酒屋みかんの準備中の札を横目に見ながら、俺達は扉を開いた。
「こんちわー。大将います?」
俺は、店に響く様に声を張った。
「おーぅ」
店の奥からタカさんがノシノシとやって来る。
あいもかわらず、アフリカゾウの様だ。
一般のゾウとの違いは、わからないが。
「三人で来たのか、まぁいい。座れや」
そう言って俺達は、座敷に案内された。
「なんか飲むか?」
「え?あー…はい。じゃウーロン茶で」
「あーしは、コーヒー」
「俺もウーロン茶で」
「コーヒーなんてねぇけど、今日は特別だぞ?」
ニコニコとそう言ってタカさんは、オープンキッチンでお湯を沸かし始めた。
今日は、機嫌がよさそうだ。
静かな店内から、鍋で水を沸かしている音が響いている。
「雄太から聞いたんですけど、お祭りってフェスかなんかですか?」
「あぁ、そうだな。」
グツグツと沸く水の音が聞こえて、カランカランとコップに氷を入れる音がした。
「そうだな…まぁ飲めや」
そう言ってタカさんは、持ってきた飲み物をを俺達渡してきた。
それを一口飲むと、それはどこかいつもよりフルーティな感じで、喉を通る頃には辛みのような好きな感覚があった。
「これ、ウーロンハイ?」
「ガハハハハ。そうだ!」
タカさんは、ニヤニヤと笑みを浮かべた。
「なんすか?今日おかしいですよ?」
「いつもこんな感じだろ」
いつもの姫の言葉にもタカさんは、笑って許していた。
俺を後ろにカウンター席に座ったタカさんは、話し始めた。
「お前らに、ビッグイベントだ。7月にあるライブフェスだ。俺の知り合いがな、お前らを気にかけてくれてる人がいてな。一度ちゃんとライブを見たいのだと」
「7月!?ってまだまだじゃん」
姫は、コーヒーに口をつけて険しい顔をした。
「いろいろと準備がかかるんだよ。それだけ時間があれば、お前らも今よりはちったぁマシになってるだろ?」
確かに、今の現状でフェスにでるのは、はばかられるが半年後だったら、それなりに経験が積めるだろう。
だがしかし、問題はそこじゃない。
どのレベルのフェスなのかということだ。
「どんなバンドが出るか決まってるんですか?」
「あぁ、【エックスライブ】が主催する新しい野外ライブらしいぞ。有名なバンドも出るんじゃないか?俺も開催の手伝いをお願いされたわけだ」
エックスライブとは歌手やアイドル、バンドなど数多くいる大手事務所だ。
そんな野外ライブに出られるなんて、願ってもない。
「ねぇ、エックスライブってなんか聞いたことあるな、どこだっけ?」
「えー!?バンドやってて嘘だろ?」
雄太は、驚いてウーロンハイを少しこぼして姫星の服にかかっていた。
「うげっ!」
「姫星、覚えているか?こないだの、ストリートライブでお前に名刺渡してきた人…」
姫星は、財布を取り出し名刺を取り出した。
「え!?すごっ!スカウトされたの!?」
雄太は驚いて、またウーロンハイをこぼしていた。
「あんたは、あーしをびしょ濡れにする気か!」
しかし、よくよく考えてみたら名刺を貰ったのは、おととい。
話しを聞くと一週間前そこらの話しだ。
どっちにしろ俺達のバンド、flapにとっていい話ししかない。
「おそらく関係あるんだよな?」
「たぶん…そうだよね。どうなんだ?タカ?」
「俺ぁ知らねぇよ。お前らが会ってること初めて知ったからよぉ」
「おそらくだが、関係ないんじゃないか?たまたまが重なっただけだろ。ツキが向いてきている。そう考えよう」
俺は、そう言って今後の予定を雄太と話し合おうと、コップに入っていた残りのウーロンハイを俺は飲み干した。




