フラワーネーム
「姫星美人って花を知ってるか?」
俺達は、姫星の考えてきたフレーズを曲にしながら、雑談に花を咲かせていた。
もう、深夜2時を回っていて頭がまわっていない。
俺は、台所でお湯を沸かしてコーヒーの準備をした。
「なんだ?急に、そんな花があるのかぁ?」
姫は、ギターを膝の上に乗せたまま頭をウトウトとして口をあけた。
「少し前に、調べたことがあるんだ」
俺は歌詞を考えて煮詰まった時、本を読むことがある。
もちろん言葉が中心の小説もそうだが、恐竜だったり深海魚の図鑑だったりを見たりすることもあった。
図鑑は子供に戻れる気がする。
その時の鑑賞が、感性に触れて言葉にでてくるフレーズは、なかなかいいものがある。
たとえば、男の子なら誰もが最初に好きになるでだろう恐竜。
はっきり言ってこれは、ファンタジーだ。
存在したのに、存在していない。
それは子供に考える自由を与えている。
空想の動物が何を思って生存していたかなんて、誰にもわからないからだ。
ふと、本屋で花の本を手にとってパラパラと捲っていた時だった。
姫星美人──
ベンケイソウ科多肉植物
花言葉は、不屈の精神
そのページを見て、なんだかあいつにぴったりだなと、俺は思った。
「お前は、あーしが好きかよ!」
姫星がそう言い、俺達は笑った。
コーヒーを一口飲んで、俺は考えておいた新しいフレーズを言う。
その音と言葉に姫星は、頷いて声に出した。
俺達は、徹夜で曲を作った。
「おい!お前ら…」
「んん…おぉ雄太じゃねぇか…おはよ。今何時だ?」
俺は、眠たい目をこすりベッドの上に置いてある目覚まし時計を見た。
「もう11時か…お前仕事は?」
「そんなことは、どうでもいいよ!お前らいつの間にそんな中に?」
え…?
少し考えてみた。
何を言っているのだろうと。
確か昨日は、姫星と曲を作っていて…
そうだ。姫星。
あいつは、どこに…。
そう考えて、横を見てみると俺の腕で安らかにぐっすりと眠る姫星がそこには、いたのだった。
というか、まぁ…いるよね。




