俺達のコード進行
家に帰ってくるなり、スマホのメッセージアプリに雄太から連絡がきていることに気づいた。
『おつかれ!話したいことあるから連絡くれ!』
急いでない様子だったので、とりあえず後回しにして俺は、風呂に入って布団に入り目を瞑った。
にしても、今回の仕事はいろいろあった。
まぁ、姫星がいたからかもしれないが、疲れたというか、楽しかったというか、今までにない経験だった。
まさか、昔の友人に久々に会うなんて思っていなかったし、そもそも俺の初恋の人と結婚していたなんて。
意外と世の中は、狭いもんだ。
姫星は、いい意味でいつも通りで、あいつとの距離は縮んだ気がした。
帰りの飛行機の中では、ずっと喋っていた。
電車で別れる時には、お互い疲れていたせいか口数は少なかったが、それでも、隣同士でいる。ただその空間が心地よかった。
「じゃ、また連絡するー」
「おぅ」
そう言って別れた。
疲れている様子だったし今頃もう寝てる頃かもしれないが、少し心配になってくる。
あいつのことだ、途中で力尽きる。なんてありえる話しだ。
そう思うとだんだんとあいつのことを考えて目が冴えてきた。
「はぁー。連絡してみるか」
そう口に出し、充電中のスマホをとった。
──────プルルルル
驚いて、すぐに電話に出てしまった。
「サウロ!?あーしだ!今すんごい曲思いついたんだが!?」
「お、おぅ帰りついた…のか?」
「もうとっくに家だ!お前の家行っていいか?」
「は?え、あ…あぁ」
俺は、言われるがままに住所を教えた。
「すぐ行く!」
そう言ってすぐに姫星は、電話を切った。
なんだったんだあいつは…
ん?あいつが今から家にくる?
もう夜中の0時前だ。
あいつのことだからタクシーで来るのかもしれない。
そう考えると、時間との勝負になる。
俺は、姫星が曲?なんて考えながら、隠さなければいけないものを慎重に考え隠し、バタバタと部屋を走り回った。
───ピンポーン
「マジで来やがった」
そう思いドアを開けると、キョロキョロした姫星がそこには、いた。
「お、お…お前!勘違いするなよ!」
何かに、まぁタクシー中ででも気づいたのだろう。
そもそも、女子が一人でこんな夜遅くに男の家にくるほうがおかしい。
「あぁ、わかってるよ。んじゃまぁ聞かせてもらおうかお前のすんごい曲ってやつを」
俺がそう言うと、姫星は満面の笑みて、笑い返した。
そして彼女は俺のベッドに腰かけて、かき鳴らし始めたギターコードとその歌声。
そんな正面から初めて見る彼女に俺は、目を奪われてしまっていた。




