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二人のプラグレス②

飛行機を降りると姫は、ぐったりとしていた。

というか、フラついて歩けていなかったので肩を貸した。


「おい姫、大丈夫か?」

俺達は空港の喫茶店で休憩していた。


「うぅぅぅぅ…オレンジジュースがいぃ」


「はいはい。というか気持ち悪くなるなら酔い止め飲んでこいよな」

俺は、持っていた酔い止めを姫に渡した。


「だって…酔うなんて…おもっ…うぉぉぉ」

今にも何かが姫の口から生まれ出てきそうな…そんな感じだった。


「俺は、今から打ち合わせあるから一緒にいてやれないぞ?大丈夫か?」


「うぅ…ホテル行く…」

ホテルまで送ってやりたいが、さすがに何のために来たのかわからない。

しばらく休んでから俺は姫をタクシーに乗せ、荷物を置く為にホテルへと向かった。





空港も人が多いが市街地に行くにつれて、どこも人が多すぎて滅入ってくる。

住んでいる場所も都会のほうだが、別次元の様だ。

電車を乗り換えて向かった先、そこは、ダイニングバーmaneというお店だった。

静かなシックな落ち着いた色合いの店。


どうもこういう店は、落ち着かない。

女の人は、こういう所の方が喜ぶのだろうか。そんなことを考えながら時間があれば姫と来てみたいと思っていた。


─────ガチャ

店の扉が開いた。


「よ!久しぶりだな。サウロ!」


「おう!久しぶりだな」

ボサボサの頭にオシャレなメガネをかけている彼は、鮫上大志(さめがみだいし)昔の友人だ。


大志とは同じ専門学校で同じ音楽科のギター専攻だった。

もう4年も前の話しだが、よく対バンもしていた。

昔から行動力の(かたまり)みたいな奴だったので、ギターの技術はそこそこだったがみんなから一目置かれていた。

卒業と同時にここ東京にあてもなく行ったとは聞いていた。


「お前の名前がでた時には、驚いたぞ。東京にきてバンドやってるのか?」


「いや、来て基本ライヴハウスとイベントスタッフやらで食って行くのに終われてるわ」


「お前が来てくれて助かったわ。人手不足でなー」


話しを聞くと、どうやらこいつが企画したらしいフェスだそうだ。

フェスと言ったら野外フェスなんて思う人も多いだろうが、一概(いちがい)にはそうでわない。

今回は周辺地域の複数ライヴハウスが連携して行われるフェスになる。


「すげぇな、やっぱお前」


「そんなことねぇよ。やれることはやらねぇとな、時間は有限だからな」

そう言い、大志は疲れきった顔で天井を見上げた。


「そういや、サウロお前彼女いんの?今回出るガールズバンド可愛いぞぉ!」


「あー、はいはい」


そんな、雑談を交えながら打ち合わせをしていった。

俺の担当のライヴハウスでは、主にPAスタッフになる。

朝から夜までライヴがあるので、時間やバンドによって交代する仕組みだ。


「そういえば、お前のとこのバンドの佐山だっけか?辞めたんだろ?」


「なんだよ、お前まで話がいってんのかよ」


「お前のバンド専門学校行ってた頃から異常だったじゃねぇか、さすがに話しが回ってきたぞ」


「異常って…」


「バンドどうなってるんだ?」

そう大志が言った時だった。


─────ブーブーブー

机に置いていたスマホが振動した。


俺は、スマホ画面を見てポケットにしまった。


「なんだよ、スマホでていいぞー」

大志は、そういい自分のスマホを見始めたので、俺はしかたなく電話にでた。


「元気になったぞー!!!」

耳が痛くなるような、姫の声だった。


「うるさい!とりあえず今日は、おとなしくしとけよ」

俺がそう言うと、大志がスマホ越しに口を開いた。


「誰だよー。今日もう終わりだし全然来ていいぞー。なんなら遊びに出ようぜー」


「おー!そうか。着替えてすぐ行くからあーしに住所送っておくこと!」

そのあとスマホの通話がすぐに切られ俺は呆然としていた。


俺をほっといて、スマホ越し会話をするなんて…。

そんなことを思ってしまい、少し子供っぽかったかもしれない。


「誰?女っぽかったけど」


「最近入ったギターのやつなんだけど、見聞(けんぶん)を広めたいらしい」


「はーん、なるほどな。せっかくだからライヴハウスの下見もかねて案内するぞ。お前の話しも聞きたいしな」

大志は興味なさそうに、伸びをして席を立った。

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