二人のプラグレス①
飛行機というものは、なかなかどうして便利なものだ。
新幹線や、車、自転車、身近な乗り物はいろいろあるが、やっぱり空を飛ぶとは特別だ。
気圧というものを感じれるのは、ここぐらいなもんだし、景色なんてなおさらだ。
そして、窓を開けると限りなく青く日差しがまぶしい。
俺はそっと窓を閉めて眠りに入った。
「いや、閉めんなよ。開けたままで何かを感じろ!」
隣の席がたまたま空いていた姫は、わざわざ俺の隣の席を取って、座っていた。
「いやぁ、飛行機なんて乗りすぎてもうどうでもいい…頼むから俺の睡眠の邪魔をしないでくれよぉ」
「えぇ…そんなこと言うなよ。あーしは、初めてなんだぞぉ。アイマスクをはずせぇー」
口を尖らせ姫は、俺の睡眠を妨害してくる。
まさか二人旅になるとは、思っていなかったが、さすがにうるさい。
「あぁはいはい。で、景色がご所望ですか?それとも何かお話しをしますかお姫様?」
俺は、アイマスクを外し言う通りにした。
「そうだなぁ。やはりここは、5人目のビートルズは、誰か?なんて話はどうだ?」
姫は、まるで遊んでほしそうな猫のように席から身を乗り出して楽しそうに喋っていた。
ほほぅ。なかなかこの女いい話題をぶっこんでくるな。
俺は、そんな顔をしてやった。
「なるほどな。そうだな…有名なのはドラマーだな。ピート・ベスト彼が解雇されて、リンゴ・スターになったんじゃなかったかな」
「そうそう!でも彼は、もともとビートルズでは、なかったんだ。そんな話もある。」
ピート・ベストは、4人の中でも一人浮いた存在だったらしい。
簡単に言ってみればジョン、ポール、ジョージ彼らは、天才すぎたんだ。
ピート・ベストは、普通すぎた。
音楽の才は、あってもそれを輝かせる才がなかったんだ。
そんなことを言うと贅沢だなんて話かもしれないが、あの所謂伝説達の話なんだからしょうがない。
でも、一番俺に近い気がしていた。
音楽の才能が俺にはある。なんて、笑えるぐらい調子づいていると思うけど、それぐらいが調度いい。俺は、そう思っている。
なんてカッコつけすぎかもしれないが、だが、抜きん出て華ないのが俺の短所だ。
「その言い方だと、違うのか?」
「スチュアート・サトクリフ。知ってる?」
「あぁ。聞いたことがあるような…。って感じだな。どんな人なんだ?」
「あーしは、彼が5人目のビートルズだと思うのよ。画家になる為にバンドを辞めたんだよー」
「へー。でも、画家になる為にバンドを辞めたなら、5人目とは言えないんじゃないのか?」
「うんうん。そうなの。でもね、ジョンは引き留めていたの。彼が俺達には必要だ。ってね」
話を聞いていると少しずつ思い出してきた。
確か…ジョンとサトクリフは、友人だった。
みんながジョンの才能に圧倒される中、ジョンは、サトクリフの才能に一目置いていた。
彼は、絵に追求し、薬物に潰れ、脳内出血で亡くなったはずだ。
あくまで、これは俺達が見聞きした話しだが。
ただ、イケメンすぎたのだとか。
「だからね。私は、サトクリフだと思うの。彼がいないとビートルズはなかった。なんて話しもあるぐらいだし」
こういう話を聞くと、すこし自信をなくしてしまう。
俺は、きっとジョンにはなれないし、あんな偉業は果たせないだろう。
せめて、ポールやジョージであろうという気概くらいはもっておこうと、俺はそう心に留めた。
「で、結論は出たのか?」
「物事を知るって大事だよね。」
「急にどうした?」
「知っていることが全てじゃないけど、それだけ答えに近づけるって思う」
確かにそうだ。
よく俯瞰して見ろだの、別の視野を持てだの、言われていたことがあるが、要は情報量の話しだ。
しかし、必ずしもその答えが自分の納得のいく答えにならないのも事実ある。
誰かの話しと自分の話しは、また違う。
「今、姫の出したという答えが重要なんじゃないのか?ホントのところなんて、生きてりゃいつかわかるだろ?」
俺がそう言って隣を見ると、姫はいつのまにか、ぐーすかと寝ていた。
「こいつ!」
─────ピン
俺は、姫のオデコにデコピンをして、アイマスクをした。
「んにゃ!もう!何!気持ちよく寝れたのに!」
横で姫がまた、なんだかんだとしゃべり始めた様だったが、俺は、そのまま意識を眠りに集中した。
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