俺とお前のアルペジオ 2
「ちっす。」
糸ノ瀬 姫星は、チュパチャップス食べながら、自分よりも大きなギターケースを背負って入ってきた。
「おじゃましまーす。」
「おい!糸ノ瀬!部外者連れてくんなよ!」
さすがに、俺は頭にきていた。
「いや、違うっす。こいつマネージャー。」
は?何を言っているんだこいつは、有名ですらないお前にマネージャーなんてつくはずないだろ。
そう思い、口の飴をコロコロとしながら話す糸ノ瀬を見て俺は一旦深呼吸をした。
「で、お前は誰なんだ?」
「こんにちはー、俺の名前は、秋山雄太です。」
感じのいいやつっぽいが、俺はイライラがつのっていった。
「サウロさんって本名ですか?俺全然バンドとかわからないんすけど…楽しいっすか?」
俺は、また一旦深呼吸をすることで、気持ちを落ち着かせた。
昔だったら、手が出ていたかもしれない。
俺も大人になったものだ。
「とりあえずお前は、座ってていい。」
ドアのすぐそばにある、小さい丸いイスにそいつを座らせて、糸ノ瀬にギターの準備をさせた。
ギターは、フェンダーアメリカンヴィンテージだ。素人にしては、高すぎる代物だ。
親がギターか何かをしていたのだろう。
練習スタジオもただじゃない。
簡単に自己紹介を終わらせて、練習することにした。
「糸ノ瀬。準備できたか?」
「はいよ。ばっちし。」
「それじゃ始めるぞ。」
練習曲は、
洋楽 ブリンク182
オール・ザ・スモール・シングズ
「お前らも準備は、いいか?」
「はい。」
「うぃ。」
俺はギターを鳴らし始めた。
この曲は、1990年代から2000年代の有名なパンクバンドだ。
テンポはゆっくりだか、カッコよくて弾いていても聴いても楽しい。
比較的、難度は低めでこれぐらいなら、とそう思っていたが…。
やたら、メインギターが遅れてる。
俺もギターだが、サブだ。
メインギターが、できないことをサブで補佐し、音の幅を広げている。
やっぱりか。
確信は、なかったが誰かとセッションしたことない奴は、ここまで合わせられないのかと俺は、痛感した。
自分ができることが、誰しもができるわけじゃないし、誰かができているからといって自分ができるわけでわない。
そんな当たり前のことを人は、よく勘違いをする。
今の俺もそうだ。
曲が終わった。
「チッ。」
糸ノ瀬が舌打ちした。
「お前舌打ちすんなよ!てめぇの実力だろ!」
「へーい。すいませーん。」
「はぁー。」
ため息がでる。
これから本当にやっていけるのか不安だ。
「練習終わりました?それじゃぁこれから、親睦会しましょ!ね?ね?」
秋山 雄太がイスから立ち上がりみんなを誘った。
「俺そういうことなら、帰ります。」
そう言って、拓史は片付けを始めた。
「チッ。」
「おい!糸ノ瀬!」
「今の、あーしじゃないし!」
「おい!蓮弥!」
蓮弥も、片付けを始めていた。
「あーもう。」
どこにぶつけられない感情がそこには、あった。
ギュゥゥゥ
俺は、後ろから抱きしめられた。
「おちついてー。」
人のぬくもりが伝わってきて、自然と気持ちがやわらいでくる。
「ってお前なぁ。」
秋山 雄太だった。
のほほんとしてる感じで、なんなのだろう。
いいやつだと言うことがわかってしまう。
「さ!片付けも終わったし!行こ!行こ!」
なぜ、秋山が仕切ってるんだ。
そう思ったが、グッとこらえた。
まぁ、もともと親睦会は、しようと思っていたし、今からいろいろ聞けばいい。
片付けも終わり、俺達はスタジオの料金支払いを終わらせて、お店へ向かった。
拓史は本当に帰ってしまった。




