羞恥心ブレイク④
「flap」
意味は、─羽ばたく─だ。
「へ、へーシンプルで姫にしてはいいんじゃないか?」
「でしょ?でしょ?」
姫は、笑顔でテーブルの向こうから顔を近づけてきた。
「でも、まぁサウロが決めてよ。みんなそのつもりみたいだし」
そう言って姫は、席に深く座りコーヒーを飲み干した。
「あ、あぁわかった」
みんななんだかんだ俺を信頼してくれているのを感じた。
「はー。コーヒー飲んだら、タバコ吸いたくなってきた!」
姫は、立ち上がりタバコをとりだした。
「おい!まだ来たばかりだろ?」
「もう、いいじゃん決めるのサウロだし、蓮弥から連絡きたし、あーしは、戻る。」
そう言って姫は、スマホを見ながら足早にライブハウスへ戻って行った。
俺は、コーヒーを飲みながら考えていた。
この2週間で姫が入って、拓史が辞めて、蒼馬が入った。
そのあと雄太も入ってマネージャーになって
みんなを応援してくれている。
蓮弥もみんなとうまくいっているみたいだし、仲は順調といえるだろう。
演奏の方も、問題は多少なりともあるが、みんな何より上手い。
少しずつ改善していけるだろう。
そんな中、俺は何かできているのだろうか。
俺が一人、一番年上になってしまったが、みんな音楽のこととなると真剣だ。
俺なんかが、なんて言葉を使うつもりはないが、一緒の年代で人一倍音楽と向き合ってきたつもりはあったんだが…俺は、まだまだみたいだ。
このメンバーで、俺は、どうなりたいか。
そのことを1時間ぐらい考えて…考えるのを止めた。
答えは、決まっているから。
ライブハウスに入るとバーカウンターには、雄太と、ライブハウスのオーナーのボスとバーメイドの蘭さんがいた。
ボスには、高校生の時からからお世話になっている。
佐山が辞める時も連絡をくれた。
何かできることはないか、まだバンドは続けるのか?なんて世話を焼いてくれた。
ライブハウス利用者に、ボスなんて呼ばせているが、すごくいい人だ。
「久しぶりだな!サウロ!お前がまだ、バンドやっててうれしいよ!ハハハハ」
そんなことを言ってハグしてくる、この人は、大柄だが小さいのに意外と力がある。
ライブハウス経営者は、フレンドリーの人が多い気がする。
やはり、いろいろな音楽を聞いてるせいか、頭のネジが少し外れているような…
いや、これ以上は、よしておこう。
蘭さんは、もう3年の付き合いになる。
はっきりいってお酒は、あまり得意なほうじゃないんだが、この人からお酒を教えてもらったと言っても過言では、ないだろう。
ビールから、チューハイ、焼酎、カクテル聞いてみると奥が深い。
まぁ、基本ビールしか飲まないのだが。
雄太は、もうすでに二人と仲良くなったみたいだった。
軽快に話している。
これも才能なのかもしれない。
俺もこいつとあった時、雰囲気がいい奴だな、仲良くなれそうな、そんな感じがしてしまっていた。
「HEY HEY!サウロ飲もー!」
雄太は、もうすでに出来上がっている様だった。
4人で、最近の近況をしゃべっていると、
ふと、バーの端から俺達を見る視線に気づいた。
そこには、蓮弥と姫がいたのだった。
蓮弥は、こっちを見て苦笑している。
その後ろに、姫が険しい顔でこっちをみているのだった。
険しい、なんて言葉があっているのだろうか。
もうあれは、怒っているのでは、ないだろうか。
そんな顔だった。
「よ、よぉ!いたのか二人とも!」
そう俺が言うと、姫は、立ち上がり外へと出ていってしまった。
「雄太さんが、ベロベロになって話している時すでにキレてましたよ」
蓮弥に姫を押し付けすぎなのかもしれない…俺は、そう思ってしまった。
俺は、階段を駆け上がり姫を追いかけた。
外に出ると、すぐそばの喫煙所に姫は、立っていた。
「なぁ、姫、何をそんなに怒ってるんだ?」
「あん?」
姫は、振り向いて俺の前まで来て立ち止まった。
「なんだ、サウロか」
俺は、何か違和感を感じた。
「もしかして、お前、目が悪いのか?」
「まーね」
今までの俺は、勘違いをしていた様だった。
睨み付けるとういう行為は、こいつにとっては、見ようとするということだったみたいだった。
メガネかけるように俺が言うと、〝ダサい〟なんて吐き捨てて姫はタバコを吸い始めた。
メガネをかけた姫も、見てみたい、そんなことを俺は思っていた。
「そういえば、お前今日緊張してるだろ?」
俺がそう言うと、ゴニョゴニョと文句を言っているのが、わかった。
「いいか?考えすぎるなよ、緊張したら俺を見ろよ」
そう言うと姫は、コクンと頷いた。
「あれ?サウロさんと、姫ちゃん。もうライブ始まるよー」
蒼馬が何かをコンビニの袋にたくさん入れて戻ってきた。
ライブが始まる。
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