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羞恥心ブレイク③

朝10時に駅に集まると俺達は、ライブハウスに向かおうとしていた。

みんな口数が少なく、眠そうだ。

俺達は、歩きだした。


いつもの駅の一つ先、親孝行通(おやこうこうどお)りなんて呼ばれている。

そんな、家族仲良くしていそうな通りの路地裏にライブハウスBLESS(ブレス)がある。

そこは、キャパ100人ぐらいの場所だが、今日はそんなに有名なバンドも出ない。

ブルースターでチケットを売った分30人程度。

他のバンドがどれぐらい売っているのか、それ次第である。


これでもだいぶ増えた方だ。

最初は、2、3人だった。

0人なんてのは運がいいのか味わったことはないが、そんなのは当たり前の世界だ。


今日の俺達の初舞台。

気合いが入る。



路地裏のビルを地下に降りて行くと、木造のオシャレなドアがある。

ドアを開くと、バーカウンターがあって、すぐ隣に黒い重たそうなドアがある。

そこが、ライブ会場になる。

俺達は、その隣の白いドア。

そこが控え室だ。

20畳ほどの部屋に、大きなテーブルとイスがあって、棚や、床を陣取って機材を置いていく。


6組も出るとなるとかなり狭い。

俺達は、スタッフパスシールを受け取って、機材を置いて一度外へ出た。

好きな箇所にシールを貼ってスタッフに見せるとライブハウスを行き来できるのだ。


休日、昼の部のバンド数は6組。

俺達の出番はトリだ。


11時にリハーサルがあって、14時スタートになる。



車通りの少ない外には、他のバンドの人達が散り散りにいる。


「姫、受付大丈夫か?」

俺は、姫にライブハウスの受付を頼んでいた。

受付には各バンド交代で入らないといけない。

姫と蓮弥に今回は頼んだが少し心配していた。


「蓮弥、姫をみててくれよ」

俺がこっそりとそう言ったのを見られていて、姫は俺を睨みつけた。


「それぐらい大丈夫だわ!バカ!」

姫は、自信満満に言った。



しばらく各々(おのおの)路地やベンチに座り喫煙所でタバコやスマホを見たり休憩していると、ライブハウススタッフから呼ばれ、リハーサルが始まった。




舞台に立ち、みんな機材の準備をする。

マイクテストから始まり、一度演奏して、楽器ごとに、PAに希望を言う。


「ドラム3点お願いしまーす」

蓮弥がそう言って音を確認した。


「ギターの方何かありますか?」

PAの人がそう姫に聞いてきた。


「あ、あ、あ、あた、アタアタアタアタアタアタあたあたしも、同じものを…」

昔の有名マンガの必殺技みたいに姫は言った。

クスクスと外野から声が聞こえ、姫は顔を真っ赤にしていた。

そりゃそうだ。

居酒屋のビール注文のじゃないんだから。


観客も数人、出演者しかいないのに、姫の異様な上がり様が心配になってくる。


演奏は、問題なかった。

おそらく人と喋ることが苦手なんだろう。

少し前も、バンド練習の休憩で二人でコンビニに寄った時だった。


お買い計の時に、あんまんが食べたいとあまりにも言うもんだから、

「自分で言えよ」

と俺が言うと、うつむいてレジの人に小さな声で、あんまん…ブツブツと言い出した。

と、まぁそんな感じだったから、結局俺が頼んだことがあった。


あとで、フォローしておくか。

俺は、そう思い自分の番に音の指定をした。


リハーサルも終わり、俺達は本番まで近くのファミレスで、バンド名を決めることにした。


蓮弥と蒼馬は、出演している同郷の人と飯に行くらしく、雄太は、ライブハウスの店長と話すというこでハンド名候補をメッセージアプリで俺に送り決めといほしい。

ということだった。


俺と姫は、近くのファミレスへ向かい、対面で座っていた。


「ねぇ、サウロ!あんたこのバンド協調性なさすぎじゃない?」


俺は、何も言えなかった。





俺達は、コーヒーを頼んで一息ついていた。


「で!どうするの?あーしも考えてきたんだけど…」


「一応聞くぞ。みんなちゃんと考えてきてくれたみたいだからな」

全員が考えてくれたたんだ、無下にはできない。


考えてくれたバンド名はこうだ。


蓮弥 HITORASU

蒼馬 恐竜ギャオーズ

雄太 SAUNDO OF RAIN



「こんな感じだが、どれもいい…いや、蒼馬はないか…」


「で…姫は?」


「フフフフ」


「もったいぶるなよ」

俺は、そう言ってツッコミを入れる準備をしていた。

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