羞恥心ブレイク②
俺は、駅に着くまでの帰り、ついてくる雄太を尻目に考えていた。
明日のセットリスト。
いや、糸ノ瀬星姫のことを。
なんだろう、青春時代にあったかもしれない感覚だった。
あいつに感じてしまった気持ちは、昔の知り合った人に似ていた。
高校生の時、音楽で飯を食べていく為にいろんな人と知り合っていった。
その中に、服飾専門学校に通っていた文さんという女の人がいた。
彼女は、ガールズバンドの服を作っていて、そのバンドの応援にライブハウスへ来ていた。
知り合った時は、俺もライブに出ていてライブ終わりに、
「よかったよ。応援してるね」
なんて言われて興奮してしまった俺は、すぐに連絡先を聞いた、
今思えば、恥ずかしい話しだが俺も思春期だったってことだ。
顔は、キツネっぽくて、その時の偏見だが、服装の割に気さくな人な印象があった。
文さんは、ヒラヒラのスカートで、メイド?みたいな格好をしていた。
ゴスロリなんて言葉があることは、あとから知った話しだ。
高校生だった俺は、相手にもされなかったが、よくライブには来てくれていた。
ついで、だったのかもしれないが。
服に無頓着だった俺を、オシャレというものに感心を持つことのできたのも文さんのおかげとも言える。
文さんから言われた言葉がある。
〝音楽と服は、似ている〟
いろんなジャンルがあって、コーディネートで印象が変わる。
音楽にもジャンルがあって、音の印象で変わってしまう。
「音楽が好きなら服もちゃんと好きにならないとね」
彼女の言葉は、俺に響いた。
感性を磨いていい物を作っていく、それは、同じなのかもしれない。
俺は、そう感じた。
昔はダボダボの服だった、俺が、スキニーパンツなんてもの履くなんてその時の俺は、思ってもいなかったし、なんとなく、自分に自信がついて、周りの声が変わっていったのを身をもって感じていた。
ある日、文さんからライブの誘いがあった。
一緒に行くものだと思ったら、俺は一人でライブ会場へ行った。
そこは、どこかの体育館を借りた様な場所だった。
そこの彼女は出演者で、ベースを引きながら歌っていた。
確か、邦楽 557188
C7
だった。
とても、上手いとは言えなかったけれど、
胸に響く音楽でカッコよかった。
文さんは、優しくて喋りも面白かった。
そんな手の届かない人に恋をして、俺の高校生活は、終わっていった。
今では、いい思い出だ。
そのあと、彼女は数人できたけど、女々しいかもしれないが、青春時代のトキメキを越えることは、できていない。
「んーわからんなぁ」
「なになに?そんな独り言めずらしい。俺が相談にのろっか?」
雄太は、相変わらず昔からいる友達みたいに言葉をかけてくる。
ふと疑問に思い聞いて見ることにした。
「なぁ、お前今彼女いるのか?」
「こないだ別れた。今はみんながいるしね」
「そうか…いや、いたのか!?なんで別れたんだよ!」
「えー、最近疎遠気味だったしバンドメンバーといたほうが楽しいしね」
「そうか?」
「ねぇねぇ今日も、ちひろくんの家行っていい?また、マネージャー案件とか、いろんな曲、教えてよー」
「お、おう。じゃついでにバンド名会議も二人でするか!」
そんな話をしながら俺達は、電車に乗った。
雄太は、一度帰って着替えを持ってから来るそうだった。
結局、姫への感情は、わからずじまいだが、まずは、明日だ!
新メンバーでの第一歩。
俺は、家に着くと明日のセットリストを考え始めた。




