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愛情のジャムセッション④

俺達は、凛さんの親に無理言って凛さんに会わせてもらい、三人で手を合わせた。

凛さんの母さんは、しきりに泣いていて申し訳なかった。

最後にと、俺に凛さんの使っていたギターを渡してくれた。


凛さんは、もういないのに凛さんのカケラだけが残っている。


ギター、思い出、写真、凛さんへの気持ち…

あの時の俺は、何もしてあげれなかったのだろうか。

あの夕暮れ、俺は凛さんをただ抱きしめるだけで、それだけでよかったのかもしれない。


「なぁ蓮弥(れんや)、ギターケースのポケットなにか入ってないか?」

帰りの電車の中、正志(まさし)さんが気づいた。


俺は、ポケットのチャックを開き、それを取り出す。


「曲か…。」


それは、ギターのタブ譜とノートだった。


「これオリジナル曲じゃない?」


Days(デイズ)とかかれた、その曲は、俺と凛さんとで初めて考えたオリジナル曲だった。


中途半端だったその曲は、ほとんど完成していて歌詞もつけてあった。



その歌詞の最後には、『俺達はいつも一緒だ。』と、そう書いてあったんだ。


気持ちが膨らんでくる。

音楽がなかったら、凛さんとも、正志さん、蒼馬さんとも出会えていなかったのかもしれない。


「正志さん、蒼馬さん、バンドやりましょう。」


俺は、二人にそう言って溢れてくる涙をながしながら、笑って見せた。





正志さんと蒼馬さんが、卒業するまでの残り9ヵ月俺達は、3人でバンドを再結成することにした。

俺達は、また練習を重ね、ライブハウス、文化祭、夏祭りに出演したが、蒼馬さんの大学受験もあり、回数は、あまり多くはできなかった。


卒業間近2月だった。


「正志、卒業したらバンドやるの?」

その頃には、俺はタメ口呼びに変わっていた。


「やるけどよぉ、お前も来いよ、音楽専門学校。そん時には、一緒に組んでやるぜ。」


「でも、その学校遠いからなぁ。」

俺達は、人気(ひとけ)のない学校の屋上で空を見上げていた。


「なぁ、お前男が好きなんだよな?」

唐突にまた、切り出してきた正志だったが、少し照れくさそうだった。


「まぁ、どちらかと言うと…」


「へー。」


「じゃぁ俺も異性として…」


「そりゃあない!好みじゃないで。」

俺がそう言うと正志は笑顔で、俺に肩を組んできた。


「だよなぁ。」


そう言ってはいたが、少し寂しそうな表情だったような…

気のせいかもしれない。


卒業式当日最後に、三人で写真を撮ろうと屋上に呼び出された。


「卒業おめでとーう。」

そう言ってドアを開くとそこには、一人、蒼馬が立っていた。


「あれ?正志は?」


「うーん、あとから来るって。」


「そういえば、蒼馬は、医大受かったの?」


「それが、一浪することになったんだよぉ。」

そう言って蒼馬は、笑っていた。


「そんなことより、聞いてほしいことがあるんだけどね。」


「なんだよ、あらたまって…どうした?」




「僕も…男の子が好きみたいなんだよね。」


「へ…へー、一緒(いっしょ)じゃん。はははははは」


────ガチャ

「おぉー早いな二人とも。よし、最後に写真でも撮りますか。」

なんて正志が言って入ってきたけれど、そんなことより、俺は蒼馬が顔を赤らめていたのが、可愛くて仕方がなかった。



そこから一年が立ち、俺は、一人暮らしをして正志のいる音楽学校へ入った。


正志は、別のバンドを組んでいて、一緒にはできなかった。

あいつが組むって言ったくせに。

そのころには、筋の通った強面の先輩から、ただのだらしない奴になっていたから、そこまで、なんとも思ってはいなかったが。


だが、俺はもともとコミュニケーションがうまくない。

感情が表に出るタイプだと思うし気を遣って話すのが苦手だ。

そのせいか、いつのまにか、惰性で学校内バンドを組まされていた。

校内バンドと言っても結成して、校内と隣接しているライブハウスでたまにライブをする程度の文化祭みたいなものだ。


そのバンドの人間とも、口をあまり気かず、外見で判断しているその時の自分は、嫌な奴だったと思う。

結局そのバンドは、コピー曲ばかりやってオリジナル曲の話しなんてしたことなかった。


たまに、正志と遊びに行ってナンパなんていうものを教えてもらった。

女の人と遊ぶのは、嫌じゃなかったし、いろいろな人の話しを聞くのは、楽しかった。

バイトして、バイクも買っていろんな所に行った。


その時は、今が楽しくて少しずつ音楽から遠くなってきているのを感じる暇がすらなかったんだ。


正志は、卒業しても就職せずバイトしながら、バンドをやっていて、そこからできる人間関係も多かった。


そんなある日家で、テレビを見ていた。


【最近連絡くれないけど浮気してない? 】


そんな文章がメッセージアプリに届いた。


蒼馬だった。


【何言っているんだ?】


俺がそう返すと、すぐに連絡がきた。


【え?僕達って付き合ってるんだよね?】


俺は驚きの半面嬉しさがそこにはあった。


【お、おぅ。】

俺は、自然とそう返すことで、彼氏が出来たよころびと、謎の後悔が襲ってきた。


卒業してから、約2年蒼馬は、地元に残っていた。

連絡は、たまにとっていたし帰ったら会うこともあったが、告白なんてされたか…?


しばらく考えて、卒業式のことを思いだした。

『僕も…男の子が好きみたいなんだよね。』

これは、もしかしたら、蒼馬の精一杯の告白だったのかもしれない。


その日の俺は、ニヤニヤと布団に潜り、彼氏ができた興奮で眠るのに時間がかかってしまった。





2年の冬、もう音楽はやめて就職でもしようかな、という頃だった。


3ヶ月に1回していた、校内バンドが集まって最後にライブをライブハウスですることになった。


そこで、出会ったんだ近藤 千尋に。

ここまで、一読して下さりありがとうございます。


続きが気になった方、おもしろいと思った方は、そのまま下の方へスクロールして頂き、⭐️評価、ブックマークよろしくお願いいたします。

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