表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/64

愛情のジャムセッション②

バンドの名前は、ノスタルジア。

ギターボーカルの(りん)さん、ギターの正志(まさし)さん、ドラムの蒼馬(そうま)さんの高校一年生のビジュアル系の、その時はまだコピーバンドグループだった。


俺は、待ち合わせ場所の喫茶店へ来ていた。


「あのさ、貼り紙ちゃんと見た?俺達が募集しているのってベースなんだけど…」

ギターボーカルの凛さんだけがそこには、来ていた。


彼は、化粧をしていて整った顔立ちをしていた。

〝凛〟の言葉が似合うような、そんな人だった。

その彼の仕草一つ一つ、声が、目が、俺の脳を刺激してきた。



「俺…ベースします!」


このバンドで、俺は人生で変えがたい何かを手に入れるんだ!そう思ったんだ。


なんて違うな、一目惚れだったんだ。


「ベースもできるの?」


「はい。できます!!」


「へーすげぇじゃん。」

凛さんは、くしゃっと笑って褒めてくれた。


俺は、その時に凛さんに気持ちを持っていかれてしまったんだと思う。


それから、俺は、ノスタルジアのメンバーとして活動し始めた。

親父に買ってもらったギターを売って俺はベースに変えた。


ドラゴンフライのフライングV。

昔好きなベーシストが使っていた形だ。

結局お金は、たりなくてバイトもして親父のローンで買ったんだが…。


こんなことで、ベースに楽器を変えたのか。

なんて周りは言ったし、親父の怒りは限界点を超えていた様だったが、なんだかんだみんな優しかった。

今考えたら楽器が変わるってそんなもんだけど。


はっきり言ってノスタルジアのメンバーは、みんな下手だったし、俺がベースを(いち)から練習して上手くなる頃には、ようやくみんなが、ライブに出れるくらいになっていた。


その時には、もう俺は中学を卒業して、ノスタルジアのメンバーと同じ高校に入学していたんだ。


高校に入ってからは凛さんに、いろいろなことを教えてもらった。

音楽や服、化粧の仕方まで、俺と凛さんは、自然といつも一緒にいた。


ライブハウスのブッキング方法を誰も知らなくて、俺と凛さんで、怖がりながらもライブハウスに聞きに行ったのは、今でもいい思い出だ。


ライブハウスで月1の出演をこなしていた、高校1年の冬、ライブ後の12月24日だった。


「なぁ蓮弥(れんや)、今日は二人で打ち上げしないか?」


「どうしたんすか?(りん)さん?全然いいですけど。」

今日は、一年で特別な日だ。

俺は満更(まんざら)でもなかったが、凛さんもきっと、俺と同じ気持ちだったんじゃないかって思う。


俺達は、ほかの二人に適当に理由をつけて、二人だけで凛さんの家で打ち上げをすることにした。


凛さんの実家は、最近引っ越したらしく、新築の二階建てで、部屋に入るとバンドのポスターや、ギター、ベッドが置いてあって綺麗な部屋だった。

「今日のライブは、よかったな。どんどんみんな上手くなってきてる。」

凛さんは、テーブルにお菓子やコーラを用意して、もてなそうとしてくれていた。


「はい!まだまだこれからですけど、頑張りましょう。」


俺と凛さんは、今後のバンド活動や将来について語り合った。


「なぁ、蓮弥。」

夜も、もう遅く終電で帰ろうかな、そう思う時間帯だった。


「どうしたんですか?凛さん。」


「ちょっとこっちに座ってくれ。」

そう言って凛さんは、ベッドに座ってポンポンと隣に座る様に俺を(うなが)した。


俺は、笑いながらも息を飲み、隣へと座った。

「どうしたんすか?凛さん。」


「なぁ、もうそろそろいいだろ?」

凛さんは、そう言って真剣な眼差しで顔を近づけてきた。

俺は、吸い込まれる様だった。


彼の(くちびる)(せま)ってきて…俺は凛さんに身体を預けた。



なんとなくわかっていた。

今までわからないフリをしていた。


その時に、ようやく俺は、しっかりと自分自信を認識できたんだと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ